第36話失うのは嫌だ
もう金髪美少女には変身できない。あと2週間後にはただの男に戻る。
先生からの死刑宣告に似たような発言が俺を絶望に突き落とした。
浜から帰宅後、俺は部屋で何も出来なかった。体が動かない…仰向けに寝そべり天井を見ていた。
様々なことが頭をよぎった。
美少女に変身する薬は、変身する姿があらかじめ決まっていたこと。
俺が飲んだ薬は金髪美少女になる薬だったこと。
先生は5年間の俺へのカウンセリングを経て、俺にその薬を使用をしたこと。
極秘の薬のため、最終確認として先生は黒髪ツインテール日焼け美少女の薬(使用期限1日)を使い最初だけ俺に接触していたこと。
先生の所見としては、俺への薬の使用は適正だったこと。
美少女に変身できる薬は、多国籍の秘密結社で研究し生成され先生もその組織の一員とのこと。
そして、先生には夢があったこと。
しかし、その夢は美少女に変身する研究が資金難で頓挫したことにより潰えたこと。
田中は先生と連絡を取っていたこと。
ーーーー先生が俺を試すようなことをしたことは、もうどうでもいい。
そんなことより…
また、前の生活に戻るのか?あの灰色の世界に?
何の上がり目が無く、ただ家と仕事場の往復をしていた生活に?
自然と涙が溢れてきた。
いつかはこの日が来るとは分かっていたが、こんなにも早く来るとは…
「頑張ったよな…俺…」
ポツリと想いが溢れ落ちた…と同時にみんなの顔が浮かぶ。
海野うさぎになって出会った人達…
「ーーいや、頑張ったんじゃない…楽しんでいたんだ。」
金髪美少女になってから大変なことだらけだった。
それでも、それはかけがえのない宝物で、俺が望んでいた物だった…
俺が男の姿のままだったら決して手に入れられない大切な物…
ーーーーーもうすぐそれを全てを失う。
何も考えられないまま泣いていた。
気付けば、深夜になっていた…
そのとき、一つの想いが芽生えた。
終わらせるならきちんと終わらせよう。
スマホを握り斎藤へ今日起こったことを説明した。
そして決めた。海野うさぎの最後のライブ…
引退ライブを開催する。
読んでいただきありがとうございます。
TSものが好きで今回思い切って書いてみました。
駄文ですが頑張ります。
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