表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

拾:花婿が花嫁を案じる話

 はてさてすっかり話し込んじまいましたね。外の嫁入り行列も、とっくに通り過ぎちまいました。いやもう影も形もありません。どこへ行っちまったものやらねえ。

 おやどうしました。なにか気になりますか。

 駄目ですよ。さきほども申しましたが、まだ花嫁の準備はできちゃ……。

 ははあ。

 さては怖くなりましたか。

 狐に花嫁がさらわれたんじゃないかと? さきほどの行列は、自分の妻を連れ去っていったのではないかと?

 いいえそれとも花嫁が狐と入れ替わってるんじゃないかと? 今から自分が契りをかわすのは、じつは恋しい人に化けた畜生(ちくしょう)なのではないかと?

 いやいやそれどころか自分が今日まで愛してきたのはそもそも人間だったのかと? 出会い過ごしてきた日々も化生(けしょう)にたぶらかされていたのではと?

 さあどうでしょうか。

 扉の向こうに誰か居るのか居ないのか。居るとしてそれは花嫁なのか。花嫁だったとしても人か狐か。

 さてどうでしょうか。わかりませぬね。おそろしいですね。

 ああいっそ逃げてしまいましょうか。目も耳もふさいで野に駆けてしまいましょうか。

 なあに怖くなどありませんよ。わたくしめがついておりますとも。

 しっかり目を閉じて、握った手を離してはなりませんよ。さあほら尻尾につかまって。

 ふふふ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ