表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

壱:花婿が花嫁を待つ話

 やあやあ、これは御立派な。馬子にも衣裳と言いますが、中身が(ともな)わねばなかなかどうして、人間と言うものは服に着られてしまうものですからね。

 うん、これは本当にたいした花婿さんだ。衣装も中身もしっかりしてないと、ここまでしゃんとしては見えぬもんですよ。

 ははは、どうしました、このくらいで恥ずかしがってちゃあ、式の間に顔から火が出ちまいますよ。

 おっとなるほど、そちらが気になりますか。

 いえ、もうしばらくお待ちください。花嫁の準備はまだできておりません。女というものは殿方より支度に時間がかかると、相場が決まっております。

 そちらへ腰かけてしばらく楽になさい。暇つぶしの話し相手くらいならば、わたしにも務まりましょうから。

 しかし先ほどからどうも窓の外が騒がしい。ちょいと失礼して……。

 こりゃ驚いた。

 花嫁行列ですよ。今時箪笥(たんす)や長持ちの嫁入り道具まで運んで、まあ仰々しいこと。

 はてな、このあたりであなた様方以外に婚礼なぞあったでしょうか。花嫁はまだよく見えませんが、荷運びの顔には見覚えがあるようなないような。

 こりゃ狐の嫁入りかもしれませんね。

 ああ、御存知ありませんでしたか。この辺一帯は昔から狐が多いのでして。そういう話も多いのですよ。

 ようござんす。ご伴侶の支度を待つ間、ちょいと語らせてもらいましょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ