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惨面  作者: 死苔妖斎
3/4

 彼女いない歴25年(=年齢)。もちろん童貞です。女の子との接し方もよく分かりません。というか緊張して動けなくなってしまいます。


 そんな私の目の前に、四つん這いの全裸の女性がいるのです。こんなの誘ってる以外にありませんよね。

 しかも相手は恐らく霊⋯⋯ここは私の夢の中なのだから、この女性に何をしても誰に何を言われることもないわけです。


 私も服を脱いで、女性の後ろに行きました。位置を合わせるために、立ち膝になりました。


 両手で彼女の臀部をつかみます。

 彼女は私に見向きもせず、夢中になって畳を舐めています。マタタビ粉でも撒かれているのでしょうか。猫みたいですね。

 でも今からするのは猫じゃなくて⋯⋯。


 ドッグスタイル!!!


 いざ、挿☆入!!!




 [スキップ]




 あー気持ち良かったぁ。夢の中でもちゃんと感触があって最高だったぁ。明晰夢ってやつなんでしょうかね。


 目覚めると、スマホが鳴っていました。半魚人からです。

 電話に出てみると、彼は嬉しそうな声で「今日は夢を見なかった!」と言いました。それもそのはず、あの女は私の彼女になったのですから。


 ということを半魚人に伝えると、すぐに会いたいと言われました。まるで恋人のようです。


 名前は伏せますが、近くのカレー屋さんでお昼に会うことになりました。

 私はロースカツカレーのチーズトッピング甘口、ライス400g、あとイカサラダです。


「甘口って、子どもだなぁ」


 そういう半魚人は水だけでした。


「で、なんの用ですか」


「お前をギッタギタにするんだよ」


 忘れてました。次会ったらギッタギタにするって言われてたんでした。


「昨日例の神社に行ってきました」


「え? マジ?」


 なんとか半魚人の興味を逸らすことが出来ました。なんか野生動物と駆け引きしているみたいです。


「そこでこんなものを拾いました。これ、先輩が仕掛けたんですよね?」


 私は昨日拾った顔写真がモノクロ印刷された紙を広げて机の上に置きました。


「ここに置いたらカレーつくぞ」


「ついてもいいです。汚れてますし。そんなことより、僕の顔写真ぐしゃぐしゃにしないでくださいよ。撮れ高にはなりましたけど、すっごく嫌な気分になりましたよ」


「お前の顔写真⋯⋯? 知らないぞ? なんのことだ?」


 目腐ってんのかな?


「何言ってるんですか。これに決まってるでしょ。あんまりふざけてると目ん玉抉り出しますよ」


「は? 何言ってるはこっちのセリフだぞ?」


 よし、このスプーンで抉ろう。


「お前、これが自分に見えてるのか?」


 えっ?


「いや先輩、何言って――」


 あれ?


 顔写真が50代くらいの知らない男性になっています。


「先輩、すり替えました?」


「なわけないだろ。見てただろ。目ェ覚ませよ。あ、もう覚めてたか」


 半魚人が一瞬笑いました。

 この時、初めて「ヤバいかもしれない」と気がつきました。


 私はサラダを完食して、カレーを9割食べたところで「辛すぎてお腹痛くなってきました。ちょっとトイレ行ってきます」と言って店を出ました。

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