怪文書
部室の窓から見える外の風景はどんよりとしていた。
グラウンドには多くの水たまりができており、野外で活動する運動部はとっくに帰路についていた。
しかし外の暗澹とした空気とは相対するかのように、この部室の中はディスプレイからの色とりどりの光に照らされていた。
「右!そいつめっちゃローだから絶対逃がさないで!!!」
と、不意に可愛らしくも芯の通った声が部室の中に甲高く響いた。
声の出どころには絹糸のような美しい銀髪を二つ結びにした少女。
その視線はディスプレイに向いており、噛みつかんばかりに箱の中の映像に集中している。
ここは"私立虹色学園"。
個性豊かな生徒や教師が多く在籍し、他の高校とは一線を画すような魅力的な人材が多く集まる学校である。
そしてこの部室は我々、「虹色学園ゲーム部」のものである。
「いやーーー!!すっごい惜しかったー!!めっっっっっちゃ悔しい!!!!もーーーー!!!」
「ごめんなさい、僕のカバーが遅れたせいで・・・」
長い髪を振り乱し、見た目には似つかわしくない挙動で感情を露わにしているのは、虹色学園きっての美少女である先輩だ。
つい先ほど他校との練習試合で惜敗したことが非常に悔しいらしく、何度も机を叩いたりリプレイを繰り返し眺めたりと、非常にせわしなく動いている。
今しがた試合が終わったこのゲームは5vs5で爆弾の爆破、解除を競うFPSゲームであり、先日には日本でも多くのメディアに取り上げられるほど現在注目されているゲームだ。
我々「虹色学園ゲーム部」はこのゲームをメインに活動しており、