『小説を書くのが辛い』『もうやめたい』と思っている人に読んでもらいたい『やる気が蘇る』エッセイ
最初に結論から言っておくね。
「大丈夫、あなたはまだ書けるから」
「まだ、全然、諦めるレベルじゃないから」
「ただ、ちょっとだけ、方向性を間違えちゃっただけ」
「あなたは才能もあるし、これからいくらでも、素敵な作品を書けるから」
だから、安心して。これを読んだら『また書こう!』って気持ちが、蘇ってくると思うから。
でも、その前に、ちょっとだけ、昔話を聴いて欲しいんだ。とある小説書きが、盛大に失敗して、心がポッキリ折れちゃった話。
ただ、話が結構、長いから(12000文字以上あるんだ)。だから、お茶でも用意して、肩の力を抜いて気楽に読んでみて。お腹空いてる人は、コーラとポテチ用意しておくといいよ。
あとね、敬語を使わずに『タメ口』で話すけど。それは、あなたを大事な『同志』だと思っているから。親しみを込めているだけで、上から目線じゃないの。そこんとこ、ヨロシク。
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読んだら書かずにはいられない混沌のループ
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とある小説書きは、来る日も来る日も、小説を書き続けていた。書き始めたのは高校生の時。山のようにラノベを読んでいたら、いつの間にか書きたい欲求が湧いてきた。
そんでもって、試しに書いてみたら、普通に小説が完成。
「やべえ、自分もしかして、才能あるんじゃねーの?」
割りとよくある、若さゆえの根拠のない自信である。
『この才能を、世に知らしめねばなるまい』と思った、自信過剰な若者は、小説のコンテストに送ってみることにした。
数ヶ月後……。
雑誌に載っているコンテストの結果を見るが、自分の名前が見当たらない――。
「なんだよ、審査員、見る目ないな」
ぼやきつつも、次の作品を書き始め、次々コンテストに送って行くのだった。
数年後……
社会人になって忙しくなったため、彼は書くのをいつの間にかやめていた。小説も、全く読まなくなっていたのだ。読むのはビジネス書ばかり。
しかし、ある日、久しぶりに本屋のラノベコーナーに行って、一冊の本を手に取る。そしたら、見事にラノベにハマった――。
それから、しばらくして、また書きたい気持ちが、ムラムラと沸き上がって来た。
「今の自分なら、昔よりもっと凄い作品が書けるんじゃね?」
相変わらずの、自信過剰っぷりである。
それからというもの、こつこつ小説を書く日々が、再び始まった。そして、あらゆるコンテストの日程を調べ、次々と送りまくって行ったのだった……。
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小説には勝つための技術が必要だ!
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彼は小説をどんどん書き続けた。久々に小説を書くのが、とても楽しかったからだ。そして、どんどんコンテストにも送って行く。
しかし、いくら送っても、予選すら通過できなかった。自分的には、史上最高の作品なのに……。
そこで、彼は考えた。
「楽しいだけの自己流じゃダメだ。ちゃんと勉強して、勝つための技術を学ばなければ」
勢いだけで生きてきた彼にしては、珍しくまともな考えである。
それからというもの、技法書を読み漁った。また、出版セミナーに参加して、編集さんからアドバイスをもらったり。さらには、プロの小説家のもとに通って、直接、指導も受けた。
技術を身に着けるために出来ることは、何でもやってみた。小説を書く以外に趣味もなかったので、時間もお金も余っていたからだ。
その結果、技術面はどんどん成長し、コンテストの予選も通過するようになった。彼自身も、確実に成長していると、手ごたえを感じ始めていた。
来る日も来る日も、つぎ込める時間の全てを、小説の執筆に費やし、次々量産してコンテストに送る。ただ、結果は、予選通過止まり……。
そのころの彼は、あるマズイ状態に陥っていた。技術は向上しているはずなのに、なぜか、書けば書くほど、辛くなっていったのだ。
頭痛・胃痛・肩こり・寝不足に、毎日悩まされ続ける。さらに、常に締め切りとの戦い――。
『締め切りまであと10日だから、1日12枚ずつ書かないと間に合わない……』
『時間がもったいないから、今日は夕飯抜きだな……』
『進行が遅れてるから、今日は徹夜しよう……』
仕事をしながら取れる時間は限られているため、かなり無茶な執筆をしていた。
この時はもう『楽しい』なんて感情は、ひとかけらも無かった。小説の執筆は、ただ『辛いだけの作業』だったのだ。
もう、自分が何をやっているのかも分からない。何を書きたいのかも分からない。何が目的で書き始めたのかも分からない――。
心身ともに疲弊して、頭の中が真っ白で、何も考えられない状態になっていた。
そんなある日……。
コンテスト用の原稿を送るため郵便局に行き、ポストに投函した直後、
「もう、やめよう――。これ以上は無理だ……」
あまりに呆気なく、心が折れてしまったのだった。
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小説のない無色透明な生活
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彼は、心が折れて以来、ピタッと書くのを止めてしまった。あれほど情熱を傾けていたのに、一文字たりとも書けなくなったのだ。
しかも、トラウマになってしまったせいか、書くだけではなく、小説も全く読まなくなった。本棚の小説にはホコリが被り、完全に小説のない生活が始まったのだ。
たっぷり空いた時間は、TVを見たり、ゲームをやったり、お菓子を食べたり。自由気ままな生活をしていた。
「うーん、自由って最高! 締め切りもない、人に評価されることもない。何で、こんな楽しい生活を、今までやっていなかったんだ? この生き方のほうが、絶対に幸せじゃん!」
来る日も来る日も、小説に一切かかわることなく、楽しくやっていた。たっぷり寝て、おいしもの食べて、思いっきり遊んで、心身ともに回復して行った。
しかし……。本当に楽しかったのは、最初の2週間ぐらい。だんだん飽きてきて、時間を持て余していったのだった。
元々、小説以外に、趣味のない人間である。余った時間の使い道を、見つけられなかったのだ。小説を書きたいとは、もう思わない。でも、何か物足りない、無色透明な生活。
「楽しいは楽しいけど、なんか物足りないんだよな。ゴロゴロしてるのも飽きて来たし。何をしたいかは分からないけど、とにかく何かしたい……」
そこで思いついたのが、PCのデスクトップ整理。ファイルやショートカットが、大量に散乱していたので、とりあえず整理してみる。
ついでに、小説の原稿やプロット、ネタ帳などが詰まったフォルダも、整理することに。久しぶりも開いたフォルダの中を見て、彼は物凄く驚いた。
「自分、こんなにたくさん書いてたのか……」
書きまくっていた時は、全く気付かなかったが、数百のファイルが、無造作に入っていたのだ。
ファイルを開きながら、
「あー、あったあった」
「うわー、めっちゃ下手くそやん……」
「これ、中々面白いアイディアだったよなあ」
まるで、遠い過去の思い出のように、彼の胸の中に懐かしさがこみ上げてきた。
コンテストに送った作品。プロの先生に初めて添削してもらった、真っ赤に染まった原稿。企画段階で没になったプロット。
「でも、もう自分には関係ないしな。もう、二度と書かないって決めたんだから、全部消しちゃおうか……」
フォルダの削除ボタンを押そうとするも、結局、押すことはできなかった。消そうかどうしようか悩みながら、フォルダの中をあさる日々が続いた――。
そんなある日、1つの作品に目がとまった。タイトル名は『シルフィード~風と共に生きる少女~』
それは、コンテスト用の作品を量産していた時、息抜きに書いていた作品だった。家出した15歳の少女が、異世界で就職して、色々な苦難がありながらも、元気に生きて行くストーリー。
当時は、心が乾き切っていて、書くのが凄く辛かった。なので、元気が出る作品が書きたいと思い、休憩時間に、ちょこちょこ書いていたものだった。
それまでは、全てコンテスト用で、人に見てもらうための作品。しかし、これだけは、100%自分のためだけに書いた作品だ。でも、結局、忙しくて、あまり執筆が進んでいなかった。
その時、彼はふと思った。
「この作品、続きってどうなるんだっけ?」
ストーリー展開は、かなり先まで考えてあり、舞台設定も、割としっかり作ってあったはず。
「二度と書かないって思ってたけど、ちょっと続き書いてみようかな……? どうせ、誰にも見せないんだから、構わんよね。他にやることもないし」
結局、時間が余っていたので、少しずつ書き始めることに。ただ、それまでとは、全く違うスタイルだった。
締め切りも何もないので、今までと違って、かなりのんびりと。また、人に見せるわけではないので、気楽に肩の力を抜いて。
日によっては、気が向かなくて、2,3行しか書かない時もあった。でも、毎日、1日も休まずに書き続けた。『毎日書く』これだけが、最低限のルールだったから。
「人に見せる訳でもないのに、何で書き続けてるんだろう?」
なんて疑問に思うこともあったものの、書いている内に、だんだん楽しくなってきた。明らかに以前とは、心境に変化が現れていたのだった。
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小説を初めて書いた時の気持ち覚えてる?
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回想シーンが終わって、ここからが本題なんだ。今までのは、ただのプロローグ。ゲームで言うなら、オープニングやチュートリアル。
『なげーよ!』と思わずに、もう少し付き合って欲しい、我が心の同士よ。ここから、核心部分に入るんで。
それでは、ここで1つ質問するよ。
『あなたは、誰のために小説を書いているの?』
自分の素直な気持ちを、答えてみて。
「そんなの、読者のために決まってるじゃん」
こういう答えが、いかにも模範的だよね。
でも、こう答えた人は、いつか心が折れる可能性が高い。なぜ、長々と前置きの話をしたのか。それは、自分自身が、まさにこの考えで、小説を書いていたからなんだ。
『どうすれば、審査員によい評価をしてもらえるのか?』
これは『読者のために書く』と同じこと。
自分の意思は、作品のどこにも無かった。流行や人気の要素を詰め込んで、淡々と書くだけ。書きたいから書くんじゃなくて『評価されたいから書く』の一点のみ。
もちろん、楽しいはずがない。なぜなら、自分の『書きたい』作品じゃないから。自分の『楽しさ』を求めた作品じゃないから。しかも、常に『読者の評価』を気にしている。
そこには、何の楽しさもなかった。だから、書けば書くほど辛くなっていく。評価される意外に、何の喜びも救いもない。いばらの道を歩き続けるだけ……。
でも、よく考えてみて。小説って、本来、楽しいから書くものだよね? 初めて書いた時って、凄く楽しかったんじゃないの? だって、楽しくないのに、書こうと思うはずないもん。
では、もう一つ質問するよ。
『小説を初めて書いた時、誰のために書いていた?』
ほとんどの人が、
「自分が楽しむためだよ」
こう答えるんじゃないかな。
最初は、ただ自分が楽しむため、ただの自己満足。これが普通だよね。だって、小説を書くのは趣味だから。趣味は『楽しむ』ためにやるのが当り前だもんね。
ちょっと話が変わるけど、ラノベ書く人は、ゲーム好きな人も多いと思う。もちろん、自分も大好きだ。
では、もう一つ別の質問するよ。
『あなたは、ゲームを誰のためにやっているの?』
この問いに対しては、
「そんな自分のために決まってるだろ!」
みんな即答すると思うんだ。
だって、ゲームは『自分が楽しむ』ため。完全に『自己満足』のためにやるものだもん。これが、正しい趣味のあり方だよね。
じゃあ、小説は? 小説だって、趣味でしょ? お金をもらってる訳でも、仕事で書いてる訳でもない。ゲームと全く同じ趣味だよね?
最後に、もう一度だけ質問するね。
『あなたは、誰のために小説を書いているの?』
最初と同じ質問だけど、意見が少し変わった人も、いるんじゃないかな?
「んー……自分のため……かな?」
うん、もっと自信を持って言っていいから。
『小説を書くのは100%自分のため!』ってね。
だって、趣味で書くんだから、楽しくなきゃ、やる意味ないじゃん? 楽しむため、自己満足のために書いてるんでしょ?
「で、でも……読者のこと考えないと、いい評価もらえないし――」
じゃあ、読者のこと考えても、いい評価もらえなかったら、どうするの?
「……」
書いていてつまらない。評価してもらえなくて辛い。ただ、何とも言えない虚しさが残るだけ。そんなの、趣味とは言えないでしょ? そりゃ、書きたくなくなるのは当然だよ。
なんで、一度は挫折して『二度と書かない』と決めた自分が、今も小説を書いているのか? それは、あることを決めたからなんだ。
『もうこれからは、自分のためにしか小説を書かない!』
だから、書いていて超楽しい。だって、趣味で書いてるんだもん。楽しいのが当然なのよ。
『小説を書くって、ゲームをやるのと同じだな』
今はこの気持ちで書いてるんだ。
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自分も読者も一緒に楽しむが正解
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自分のために小説を書くっていうのは、けっして読者を、ないがしろにしている訳じゃないんだ。読者はとても大事なのは当然のこと。
読んでくれる人がいたら超嬉しいし、ブクマや評価してもらったら、天にも昇る気持ちになるもん。自分もブクマ付いた日には、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでるからね。
でも、読者に読んでもらうために、自分の楽しみを捨てるのは、ちょっと違う。もし、読者が喜んでくれても、自分が辛かったら、意味ないから。
だって、小説書くの趣味でしょ? 自分が楽しめなかった時点で、もう、趣味じゃなくなっちゃってるじゃん。
「そりゃ、できれば、楽しく書きたいけど。読んでもらったり、評価もしてもらいたいし……」
うんうん、分かるよその気持ち。ここで活動している小説書き全員が、その気持ちだと思う。
でもさ、何で片方だけしか選んじゃダメなの? 両方がハッピーになれる方法だって、あるんじゃない? 書き手も読者も、両方が楽しいのはダメなの?
両方が楽しめれば『win-win』で、ハッピーになれるじゃんね。
「でも、読者のこと考えないと、楽しんでもらえないのでは――?」
それは、ちょっと違うと思うよ。んー、説明する前に、また昔話するね。
昔、学生時代の友達が、同人ソフト(R18のCG集)作ってて、いつもコミケにサークル参加してたんだ。で、ある日、作ってるところを見学に行ったんだよね。
コミケ前日、友人 K君の自宅にて……。
3人で活動してる無名の小さなサークルなので、資金も無く、全て手作り。一人は翌日ブースに出すポスター作って、もう一人はCG描いて、あと一人はパッケージに貼るシール作成。
で、前日なのに、肝心のCGがまだ完成していない――。T君がノルマ分の枚数終わってなかったので、今まさに描いている最中。
K君は『早くあがんないと、CDに焼けないから急いでくれ』とずっと催促。I君は、その様子を見て笑いながら、のんびりパッケージ作成。
「おいおい、明日が本番なのに、本当に間に合うんか?」
心配して訊いてみるものの『いつものことだから』と、答えが返ってくる。
AM1時……。
「ダメだ、終わんねぇー! おし、こうなったら本気出す!!」
CGを描いていたT君が、ついにスーパーサイヤ人モードに入った。
いや、おせーよ! もっと早く本気出せよ!! だが、彼は追い詰められないと、本気が出ないタイプだ。
しかし、ここから彼の快進撃が始まった。物凄い勢いで線画を描き、これまた凄いスピードで色を塗っていく。そして、あっという間に3枚のCGが完成。
だが、完成したのは、いかにもやっつけ仕事の、落書きみたいなCGだった――。
「おいおい、こんなんでいいんか? これ売るんだよね?」
ときいてみると、
「へーきへーき。最初のほうのCGは、真面目に描いてるから。枚数の数合わせなんて、どこもやってるから」
いかにも当り前そうな表情で、答えを返してきたのだ。
「よし、すぐに焼くからデータくれ!」
「OK、そっち送った!」
「できたやつ、どんどんパッケージに入れてくぞ!」
急に3人の息が合い始めた。
AM5時過ぎ……。
一睡もせずに、何とか作業を終えた3人は、コミケ会場に旅立って行った。その後ろ姿は、まるで、歴戦の傭兵のようであった。
後日『こないだのCG集売れたの?』と、きいてみると……。
「あぁー、完売したよ」
「マジかっ?! よくあんなんで売れたな?」
けっしてクオリティの高いものではなかった。絵も、ハッキリ言って上手くはない。
「エロCGは需要あるからなぁ」
「だから、もっと数作ろうって言ったじゃんか」
「そもそも、お前が締め切り守らなかったのが原因だろ」
3人でワイワイ盛り上がるのであった。
その時、自分は思った。
『あんなふざけたやり方でいいんか? でも、凄く楽しそうだな……』
どう見ても彼らは、買った人(読者)のことなんか、考えていなかった。100%自分たちが楽しむためだけに、作っていたのだ。
ただ、何かしらんけど、全部、売れてた。もしかしたら、作ってる人間たちの楽しい気持ちが、作品から溢れていたのかもしれない。
でも、趣味でやるってのは、こういうこと。それに、作った人も見た人も、両方楽しめれば『win-win』の関係だよね。
小説も同じなんじゃん?『WEB小説』っていうと、なんかオシャレな感じするけど、やってることは『同人誌』と同じ。趣味でやってるんだから。
自分が楽しんで書いて、自分と同じ趣味の人が見てくれる。ただ、それだけのシンプルな仕組み。
もちろん、自分の趣味全開で、相手の趣味に合わせる必要はない。趣味の合う人が、集まって来るだけだから。
でも、この関係を作るには、まずは、自分が全力で楽しまないとダメ。だって、自分が楽しくないと、絶対に『win-win』にならないから。
それに、楽しくなかったら、いつか必ずやめちゃうからね……。
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周りを気にせず先頭を突っ走れ
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小説に限らず、創作活動をする時って、周りは絶対に気にしちゃいけない。だって、気にしたら切りがないし、自分の創作に集中できないから。
「でも、評価が凄く気になるし……」
「沢山の人に読んでもらいたいし……」
「他の人の作品は人気あるのに何で自分の作品は……」
うんうん、その気持ち超分かるよ。昔は、自分もそうだったから。常に評価を気にしながら書いてた。というか、評価してもらう為だけに、書いてたからね。
でもさ、意外と気付いてない人多いけど、書いていて辛くなる、一番の理由って何だと思う? まぁ、薄々は気付いているんじゃないかな。
そう『周りを気にする』から、疲れたり、辛くなったりするんだ。ブクマ・評価・感想・PV数。これらは全部『周りを気にする』からこそ考えること。
やっぱり、周りの目や行動を気にすると、必要以上に疲れちゃうんよ。当然、自分のことだけ考えている人と、常に周りを気にしている人とじゃ、精神的な消耗が違うから。
「でも、ついつい気になるんだよね……」
まぁ、気にするなってほうが、難しいかもしれないね。
でも、立ち位置を変えれば、気にならなくなるよ。周りが気になるのは、人が一杯いる所に、身を置いているから。周りに一杯人がいたら、そりゃ気になるのは当然。だから、人のいない所に身を置くのがいいんだ。
分かりやすくいうと、競馬の『逃げ馬』みたいな感じ。ずっと先頭を走ってると、集団に飲まれないし、何より、自分一人しかいないから、周りが気にならない。当然、自分の前にも誰もいない。
誰もいなけりゃ、気にならんのよ。自分一人で突っ走って、先頭まで行っちゃえば、本当に周りが気にならない。人が一杯いる所にいるから、つい見ちゃうんよ。
ちなみに、先頭を突っ走るって言うのは、流行も評価も気にせず、100%自分のやりたいようにやるってこと。自分の趣向が、流行とドンビシャに重なっていない限り、周りがガラガラになって、先頭を走れるはず。
行けるところまで突っ走ったら、何も気にならなくなってくる。あまりに大逃げし過ぎて、誰もついて来れなくなる場合もあるけどね。そん時は『時代が自分について来れなかった』と、割り切ろう(笑)
ただ『評価されたければ、流行のジャンルを狙え』と言う人が多い。確かに、ブクマや評価が付きやすいジャンルはあるから、間違いなく正論。
でも、流行で書くってことは、その時点ですでに、周りの目を気にしまくってるってこと。沢山の人がいる集団の中に入って、常に周りを気にして、足並みをそろえて。疲れながら、苦しみながら、進んで行くってこと。
「自分、鋼の精神力があるんで」
「Mっ気があるから、痛いのとか辛いの大好き」
って人じゃない限りは、息苦しくて、いつか心が折れる。周りを気にして、辛い想いをして、最後は筆を折っちゃう。
だったら、最初から、自分が気持ちよく走れるところで、全力疾走したほうがいいと思う。そのほうが、絶対に長続きするから。
それに、長く続けてりゃ、上手くなって来るし、その内、名作を生み出す可能性もある。場合によっては、今いる場所が、新しい流行の中心地になるかもしれない。
ちなみに、自分は今まで一度も、PV数を見たことがない。だから、どれぐらいの人が、読んでくれてるか、全く知らなかったりする。
最初に『PVは見ない』って、決めてたから。だって、流行の要素、全く入れてないし、誰も読んでくれないと思ってたんで。
でも、ブクマや評価を付けてくれる人もいるから、何人かは、読んでくれていると思う。もちろん、ブクマとかつくと、飛び上がって喜ぶ。でも、そのために、書いている訳じゃない。
あくまで、自分が楽しむため。だって、趣味で書いてるんだから、楽しむのが目的だからね。だから、これからも、誰もいない先頭の景色だけを見て、書いて行くんだ。
もし、周りが気になるなら、一度、思いっ切り突っ走って、先頭まで駆け抜けちゃうといいよ。誰もいなけりゃ、気にならないから。
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思いっ切りふざけろ!
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小説書く時は『ふざける』ことも大事。だって、ふざけたほうが楽しいから。
子供のころとか学生時代、ふざけるの凄く楽しかったでしょ? ふざければ、ふざけるほど、楽しくなる。
まぁ、優等生だった人には、分からないかもしれない。なら、キャーキャー言いながら、楽しそうに走り回っている、子供たちを見れば分かる。みんな、ふざけまくってるから。
でも、ふざけて楽しいのは、子供だけじゃなくて、大人も同じ。だから、楽しくやるなら、ふざけることは必要なんだ。
でもね『100%ふざけろ』と言ってる訳じゃない。ふざけるには、やるべき事はしっかりやり、空気を読むことが大切なんだ。
作品自体は、しっかり書き上げたうえでふざける。やること何もやらんで、ふざけてちゃ、やっぱダメだからね。
あと、シリアスなシーンで、主人公が『プゥー』なんて、おならしちゃったら、間違いなく白ける。だから、空気は読まなきゃいけない。
ただ、ふざけていい所では、しっかりふざける。ネタ・パロディ・濃い趣味・遊び心なんかを、入れてみるわけ。
「でも、自分の作品は、全話シリアスだし……」
という人も、いるかもしれない。
なら、活動報告・エッセイ・短編とかで、ふざければいいと思う。
やっぱ、ずっと真面目にだけ書いてると、疲れちゃうのよ。どっかで、適度にふざけて、息抜きしないとね。
それに、まじめに書けば、良い作品が完成する訳ではない。これは昔、自分がいやってほど、経験してきたこと。真面目に書いても駄作になることもあれば、ふざけて書いて良作ができる場合もある。
あとね、真面目に書くと、
「こんなに一生懸命書いたのに、何で評価されないんだ……」
重く受け止めて、心が折れる原因になっちゃうんだ。昔の自分が、まさにコレ。
でも、ふざけながら書いていれば、
「まぁ、楽しいからいいや」
てな具合に、割り切れる。
だから、もっと、ふざけて書いたほうがいい。ふざけて楽しんで書くのも、長続きする上で、とても大切なことだから。
このコラムだって、結構ふざけて書いてるよ。本来、重くまじめな話なんだけど、まじめに書いたら、書いてる自分も、読む人も、重くなるじゃん。だから、割とふざけて書いてる。
でも、100%ふざけてるんじゃなくて、大事なことは、しっかり書いているつもり。で、どうでもいい部分はふざける。変な中二っぽいルビ振ってある所とかは、ふざけて遊んでるだけだから(笑)
ちなみに『PVが少ない』『反応がない』とかで、お悩みの同志は、なおのこと、ふざけるべき。だって、誰も見てないってことは、ふざけるチャンスだよ。
誰も見てなきゃ、いくらアホなこと書いても、誰もにも突っ込まれないもん。もし、将来、人気者になったら、変なこと書けんよ。すぐに炎上するから。だから、今のうちに、思いっ切りふざけて、楽しんでおくといいよ。
自分も『どうせ誰も見てないんだから』って思って、いつもふざけてるんだ。誰もいないと割り切っちゃうと、何書いても恥ずかしくないから。
もっともっと、ふざけて楽しもうぜ!
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小説は技術じゃなくて心で書くもの
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『小説は技術で書くものじゃない。心で書くものだ』
今なら自信を持って、こう言える。
なぜなら、かつての自分は、技術が全てだと思い込み、技術の習得に全てをかけていたから。技法書を読み漁り、プロの小説家に弟子入りまでして、学べることは全て学んでみた。
その結果、見事に心が折れたのは、先ほどお話しした昔話の通り。あれ、完全にノンフィクションだから……。
はっきり言って、技術は小説に必要ない。それこそ、プロになって、必要になってから学んでも大丈夫。
よい作品が書けるかどうかに、技術は関係ない。技術がなくても、よい作品は書けるし、その逆もまたしかり。これは、痛いほど経験してきたこと。
じゃあ、小説を書くのに何が必要なのか?
小説に必要なのは『心』だけ。この心というのが、ワクワクしたり楽しい気持ちになったり、先ほどからずっと言ってる『楽しむ』ってこと。
残念ながら、技術はここ一番では、全く役に立たない。なぜなら、自分が辛い時や、心が折れそうな時、技術は自分を救ってくれない。
自分を救ってくれるのは『心』だけ。『楽しい』という心があるから、毎日やる気を出して、書くことができる。
でも、このワクワク感や楽しさは、実は、誰もが最初は持っていたもの。初めて書いた時は持ってたのに、いつの間にか、忘れ去ってしまっている。長く続けるほど、消えて行くもの。
上手く書こうとして技術を学んだり、良い評価が欲しくて周りを気にしたりすると、いつの間にか、その存在を、完全に忘れてしまうんだ。
始めた時は、誰もが持っていて、なおかつ『最強の武器』なんだけど、意外とみんな気付かない。自分も全く気づかなかった(笑)
でも、安心して。忘れちゃっただけで、なくなった訳じゃない。気付けば、いつでも思い出せるから。
今『書くのが辛い』とか『やめたい』と思っている同志は、初めて書いた時のことを、思い出してみて。かなり下手くそだったかもしれないけど、凄く楽しかったでしょ?
その頃は、まだ技術や評価も、全く気にしていなかったはず。ただ『楽しいから書く』という、真っ白な心を持っていたんじゃないかな? 辛さや大変さを感じ始めたのは、技術や評価を気にし始めてからじゃない?
つまり、余計なものに手を伸ばそうとして、一番『大事なもの』を忘れちゃったんだよね。
心がいい状態じゃないと、いい作品は書けない。これは、ある程度、長く続けている人なら、誰もが分かるはず。
暗い気持じゃ、作品も暗くなる。明るい気持ちなら、作品も明るくなる。作品って、今の心の状態に、物凄く左右されるものだから。
上手く書く必要も、評価されるのを意識する必要もない。唯一、必要なのは、楽しく書くこと。初めて小説を書いた時みたいにね。
楽しく書いていれば、辛いとか、やめたいとかは、絶対に思わない。こういう『負の感情』は、楽しめてないから、発生するものだから。
話長くなったんで、まとめてみるね。
・小説は自分のために書く(100%趣味)
・周りを気にせず先頭を突っ走る(周りに合わせる必要なし)
・思いっ切りふざける(見られてないならなおのこと)
・小説は心で書くもの(楽しむ初心を忘れずに)
こんな感じ。意外とシンプルでしょ? 特別なものなんて、何も必要ない。原点に戻るだけ。
自分も、散々技術や評価にこだわりまくって爆死して、一周回って、スタート地点に戻って来たから。
どう、少しは気持ち楽になった? また、書いてみようって気になれた?
どうしてもヤバくなったら、コメント欄に『もうダメ、心折れそう』とでも書いてくれればいい。『大丈夫、まだいける!』って、応援してあげるから。だから、黙ってエタったりしちゃだめだぞ。
みんな同じような失敗をして、同じような悩みを抱えている。だから『自分だけ』と思っちゃいけない。それに、失敗したら、何度だってやり直せばいい。
思いっ切り失敗して、二度と書かないと心に決めた人間が、また書いてるんだもん。平気平気、あなたは、まだ全然、書けるから。
同志諸君、さぁ、楽しい小説の時間の始まりだ。
今日も思いっ切り楽しんで書こうじゃないか!