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ネコカブカラス  作者: 山崎 モケラ
9/15

ハーブティー

ついにマコトくんに恋人が。


はじめての恋人は楽しいのか楽しくないのかも分からなくて。

そして、ある日を境に急にマコトくんは来なくなった。


一本のメールはあった。

『実は今日遊びにいけない。ごめんね』


短い、それだけのメール。



そして、3週間後。

俺が腹にネコを乗せて昼寝してると、いきなりマコトくんが『こんにちはー!』と、何事もなかったかのようにやってきた。



俺は飛び起きて


『おい!心配したんだぞー!今まで3週間くらいかー?なにやってたんだよ!?』


と、一気にまくしたてた。


マコトくんは意外な返事をした。


『実は女の子と初めて付き合っていた』



俺は『はーーーー???』と、大声を上げて『それとさ、よくわからないメール一本だけなのと、どう関係すんだよ!?それならそう言えよ!!』と、ワーワー言った。



マコトくんはポツリポツリ言い出した。


ベースを弾いてる女の子に告白されて、可愛かったので、付き合うことにしたんだ。


そしたら、その子が、あたし以外の人と仲良くするな!と、無理難題言ってきて。メールまでチェックされて。


しかも、付き合うってどうすると付き合う何だろーねー?よく分からなかったんだ。



もう、、俺いやんなっちゃって。


今日さー、その子に『付き合うのやめたい』と、言ったんだ。

そしたら、良かった。あたし先輩と付き合おうと、思ってるの。だって。ホッとしたよ。



と、つまらないことを言うような顔をしながら言った。


とても、今日まで恋をして、付き合ってきた楽しさはどこにもなかった。

なんか、つまらないことに巻き込まれていた大変さが滲み出ていた。


俺は『そっか。大変だったな。でもこれも経験だな』と、なぐさめた。


マコトくんはようやく笑い『そうだな。経験だな』と、言った。



近くで俺たちの話を聞いていた恭一おじいさんが、大爆笑していた。


そして、マコトくんに言った。

『マコトー!それは恋でも付き合うでもないぞ。好きならなー、本当に好きなら付き合うってどうゆうことかわかるもんだ。』


『次はしっかり恋しろよ』と、笑って言った。



それから1週間くらい、毎日、マコトくんはまた毎日きた。

部活が終わってからだから、6時くらいだろうか。

それでも顔見せにそして、笑って話をしにきた。



そんな夕ご飯前の時間にその日もマコトくんがやってきて。



『腹減ったー。何かかずはおばさん!食べるものもらえますか?あ!ありがとうございます!』


とか、わーわー言いながら今日のおかずの一つになる予定のポテトサラダを食パンで挟んだものを食い出した。


俺はなんかいつもと違う気がして『なんかあったのか?』と、聞いた。



すると、マコトくんが俺に背中を向けたまま、食パンを両手で握りしめながら驚くことを言った。



『好きな子から告白された』





その後のことは、もう、ただ大笑いしたり。

よかったなー!って、叫んだり。

大騒ぎだった。


恭一おじいさんまで『今夜はとっておきのワイン開けるぞー!』と、笑っていた。


俺たちは炭酸ジュースを自販機で買ってきて、皆で乾杯した。


たまたまこの日のメニューはみんなの好きなハンバーグだった。



かずはおばあさんはみんなの前で『どう?この日にハンバーグを作るあたしの勘の良さ!!大したもんじゃない?』と、言って皆からの拍手を浴びていた。



俺はずっと笑っていた。


笑ってないと、嬉しすぎて泣いてしまいそうだったから。ずっとずっと笑っていた。




そして、恋してるマコトくんは家に帰っていった。




次の日、普通に夕方6時にマコトくんはやってきた。


驚いたのは俺だけじゃなかったと思う。



でかい声をあげてこう聞いた。


『あれ??お前!

昨日告白されたんだろ??なんで、ここにきてるんだよ!付き合ってんじゃないのか?』


するとマコトくんは恥ずかしそうに笑って


『なんだよー。きちゃいけなかったのかよー。

俺付き合ってるよ!今日、お昼ご飯をさ、一緒に食べたんだ!』と、嬉しそうに話していた。


え、それだけ?


俺はなんか、心配になった。



『そんなんで、女の子よろこぶのか?』と、言いたかったけど、黙っておいた。


そして、マコトくんは嬉しそうに続けた

『CDを貸してあげようと思って学校に持っていったんだ。

もし、気に入ってくれたらさ、あげたいと思ったんだけど。


ほら、CDって気に入らないとただのゴミだもんね。

だから、貸してあげるよって言おうとしたらさ。


それ持ってるよって言われてさ。


同じバンド好きだったって初めて知ってさ。


この曲がいいよねって、話したんだ。

びっくりしちゃったー。』


そう、まるで何かいいことがあって、お母さんに説明する子供のように夢中で話すマコトくんを見て。



『今度は楽しく付き合ってるんだな』と、思った。


そして、10日ほど。


いつものように夕方6時にやってきて。

いつものように楽しく話して帰っていった。




すると、その日も。

いつもの6時にきて、深刻そうな顔で恭一おじいさんに話があると言った。


恭一おじいさんは優しく『なんだ。言ってみろ』と、まじめに返事したらマコトくんが


『付き合ってる子、ここに連れてきて紹介してもいいですか?』と、言った。


俺と恭一おじいさんは、笑いそうになりながら。

それをこらえ、またまた深刻そうにおじいさんは言った。


『うん!よし!お前がそこまでそう言うのなら、連れてこい!』


そして、恭一おじいさんは大爆笑して


『ケーキかなんか買って待ってるから。

その子を連れてこい』と、優しく言った。


俺も大爆笑していた。



次の日夕方4時にその子は来た。



髪の毛が黒くてサラサラで肩まである。

細めの身長もマコトくんよりちょっと小さめのかわいい子だった。


緊張していたのだろう、小さめの声で自己紹介された。


『マコトさんとバンド組んでて、キーボーボードを担当しています。リエと、言います。


よろしくお願いします。』と、恥ずかしそうに言った。



キーボード!

もしかして、あの入部した時にかわいいと言っていたキーボードの子なのか?!と、思ったんだけど、その場では聞けず。


俺は横にいた恭一おじいさんをつついて、2人で目くばせした。



そして、5人でかずはおばあさんが淹れたミルクティーで、ケーキを食べながらお茶した。


リエちゃんは楽しそうだった。


そして言った。


『ここに来てみたかったんです。

いつもマコトさんがこんなに楽しいところはないんだって言ってるので。』と、笑った。


俺は『マコトー!それ、リエちゃんに失礼だろ!リエちゃんといる時が1番楽しい時って言わないと!』って、笑って言った。


マコトくんは恥ずかしそうに『そうだね』と、顔を赤くして笑った。



すると、かずはおばあさんが、リエちゃんに話しかけた。


『あなた、ハーブティーは嫌い?』


すると、『とても好きです』と、笑顔でリエちゃんが答えた。


『なら、よかった!紅茶ばかり飲んでもね。

カフェインがよくないから、ハーブティー飲みましょうか!


お庭にね、ミントでもカモミイルでもたくさん生えてるから、ほら、マコトくん案内してあげて、たくさん好きなのを摘んできてくれる?お茶にするにはたくさんいるから』と、突然言った。



おばあさんがそんなこと言うのも、頼むのも珍しいなぁと、思いながら。


『俺も行く!』と、言うとかずはおばあさんに『あなたはこっちを手伝って。と、みんなが食べた後のケーキの皿洗いを命じられた。




皿も洗い終わり、かずはおばあさんとおしゃべりしながら、食器棚にしまい、そしたら恭一おじいさんがやってきて3人で、夕ご飯の話が始まった。



今夜は何にしようかなんて、いつもは話さないのに。

ずっと、ひっきりなしに肉がいいとか魚がいいかしらとか3人で相談していた。



気がつくと1時間たってるじゃねーかよ!



マコトくんたちが心配になり、俺は見てくる!と、夕飯の相談から抜け出して庭に出た。


マコトくんの姿が見えて

『マコトー!』と、言おうとした時。2人を見つけた。


マコトくんとリエちゃんは庭にある小さなベンチに座って楽しそうに何やら話してるようだった。



そして、次の瞬間。



リエちゃんがマコトにキスをした。




俺はそーっと部屋に入り。


ハーブを選んで探してるようだったとみんなに伝えた。



恭一おじいさんとかずはおばあさんの2人はとっくにわかっていたのだろう。


そうだと思ったといい、笑っていた。



かずはおばあさんは


『ハーブティーより、アイスカフェラテでも淹れましょうか?』と、恭一おじいさんに聞いて俺にも


『あなたも飲む?甘めにしましょうかね』と、言った。



最後まで読んでいただきありがとうございます

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