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ネコカブカラス  作者: 山崎 モケラ
8/15

スタート

何とかマコトくんをスタートさせようと応援する俺。

少しづつ、物事は動き出して。

マコトくんは急にがっかりした顔になった。


『そんなの無理だよ。勉強もしてないしさ。それに今年の単位たりてないから、行っても来年留年だよ。きっと。』と、マコトくんがポツリポツリ言った。


『自信ないよ』



俺はそれを聞いて笑った。


『あのなー、学校は机で勉強するためだけの場所じゃねーんだぞ。勉強なんてしなくていいよ。

留年なんて気にするな。

勉強してないんだからしょうがねーじゃん。そんなのどうでもいいよ。

教室がイヤならそこには入るな。


学校には図書室も、体育館もあるんだよ。

美術室で絵を描いててもいいんだよ。先生が描いてていいよって言ってくれたらな!』


『そして、学校には必ずな。


よく聞けよ!


部活ってものがあるんだ。そして、必ず!絶対な!お前の学校にもバンドやってる部活があるはずだ。


それに入りに行け。


バンド始めろ。』



そう言った。



マコトくんがポカーンとした顔で『バンド?』と、繰り返した。



『あのなー、ギターだけのバンドってないじゃん。


ベースだのドラムだのボーカルだの必要だろ?

ここで弾いてるだけじゃ、無理だからさ。


お前、明日から学校行け。


お前のギターはすごくいいから。うまいからさ。

すぐにバンドメンバー見つかるよ。



そして、学校でバンドだけやって帰ってこい。


それだけでもな、学校行ってるってことになるから。

マコトくんのとーちゃんさ、きっとギターを認めて買ってくれるよ』と言った。



正直、マコトくんのとーちゃんがギターを買ってくれるのかは謎だけど。


学校に行けば認めてくれると思ったんだ。



マコトくんは急に頬に血の気がさし、大きな声で話し出した。


『バンド!やってみたかったんだ!

ベースとかドラムとさ、音を合わせてみたかった。


いつかバンドの発表できる時があるかもしれないよね!ここには、ライブハウスなんて無いから、公民館かな?そこでもいいや!


明日から学校に行ってみるよ!ギター持ってないけど、学校にあるのかなー?』と、心配そうに言った。



そしたら、ずっと聞いていた恭一おじいさんが今あるギターの3本の中の1本。


そんなに高くないと言っていたPPSを抜き取って


『コレ、持ってけ。マコトにやるよ。久しぶりに学校に行くお守りにしろ。』と言って、笑った。


マコトくんは『ありがとうございます!』と、何度も頭を下げて、嬉しそうに抱えた。



その夜、恭一おじいさんが珍しく俺をほめてくれた。


『学校を提案できたのは良かったなー!

お前、やるじゃねーか!見直したぞ!』と言って、俺の頭をぐしゃぐしゃさせた。




次の日の朝、7時にマコトくんがやってきた。



制服を着て、背中にギターのギグケースを背負って、斜めがけのカバンを持って。



俺に挨拶に来た。



『今から学校に行ってくるよ。バンドのメンバーに入れてもらえるようにさ。しっかり弾いてくる!メンバーに入れてもらえたら、すぐに学校から帰ってくるね』と、笑って言った。


俺も『ガッツリ弾いてこいよー!』と、言いながらお互いの腕と腕をクロスさせた。



マコトくんのお母さんの軽自動車で駅まで行くといい、走り去るのを見守った。



俺は心配でもあった。

バンドに無事に入れてもらえますように。

それだけを願った。



ずっとヒヤヒヤしながら待ち。

その日の夕方の6時に、マコトくんは来た。



『学校にバンドやってる部活あったんだよ!そこに行ってさ、入れて欲しいって頼んだ。


弾けるのか?って、聞かれてね。

弾いてみたら、うまいなー!お前!って、ほめてくれて。


入部も大歓迎って、言ってくれて。

バンド今度さー、新しく組むからお前ギターやれって言ってくれた!


それからね、おじさんからもらったPPSね、いいギター持ってるねって、ほめられたんだ。


ベースの人もドラムの人もいてね。

ボーカルの人は歌がうまくて驚いた。

キーボード弾いてるのは女の子でちょっと可愛かった。』と、照れながら笑って言った。


『マコトー、お前、その子に惚れたのかー?』と、恭一おじいさんが笑って言った。


『俺が惚れてるのはPPSだけだよー』と、焦ってマコトくんが答えた。



その焦りっぷりがおかしくて、俺は笑った。





マコトくんは、毎日学校に行くようになった。

ギターを背負って。


休みの日も、練習しにスタジオに行くようになり、俺との時間は短くなった。



だけど、学校帰りにいつも寄ってくれて、今日あったことを嬉しそうに話してるのを見るのは幸せだった。


勉強も少しづつするようになったみたいで。

テストが近いとギターは弾かないで、ぶつぶつ英単語を暗記してるようだった。



英語は好きだとマコトくんは楽しそうに言っていた。

英語の曲の意味がわかると楽しい!と、いい。

英語の教科書は洋楽の曲だった。


数学や物理は分からないところがあると、俺だって分からないのに俺に聞きに来た。


2人で分からねーって、言ってるのを恭一おじいさんは『俺に聞くなよ!数学とかじんましんでんだから!』と、笑いながら見ていた。



かずはおばあさんはたまに4人分の夕ご飯を作ってくれて。

皆でご飯を食べた。



最後まで読んでいただきありがとうございます

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