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ネコカブカラス  作者: 山崎 モケラ
2/15

1日目 出発

とうとう出発する俺。

だけどカッコよくスタートきれない。

しかし、グズグズとだが出発を決心して。

朝の3時半。


まだ外は暗い。あと1時間もすれば明るくなってくるだろう。


そんな時間にこっそり、俺は出かけることにした。



親にもおじいちゃんおばあちゃんにも、別れをつけず。

こっそりと。



部屋を静かに出てトイレだけ済ましたら、もう行こう。

階段をしずーかに降りていくと、驚いたことに、1階はもう電気がついていた。



おばあちゃんかな?最近早起きなんだと、言っていたから。



違った。



母が静かな明け方に、暗闇から大声で俺に話しかけてきて、ビクッとなってしまった。


『ちょっとーーー!、コッソリいくつもりだったでしょー!?』


咎めるような、面白がるような声でさらに続けた。



『そんなねー、かっこいいことはさせないんだから!

世の中、そんなに甘くないよ!』と、言いケラケラ笑った。



すると、リビングからおじいちゃんおばあちゃんに、父まで出てきた。



おばあちゃんは少し泣きそうになってる。

慌てておばあちゃんに『なんかさ、美味しい面白いおみやげ、買ってくるから。』と、どうでも良いことを言った。



おばあちゃんは封筒と、包みを持っていた。

『これね、みんなで書いた手紙が入ってるから。

困った時に開けなさい。それから、これは。』


『おにぎりを6個作ったから。持っていきなさい。

シャケと梅だよ。』と、ズシっとしたラップで1個1個包まれ、ビニール袋に入ったおにぎりをくれた。



手紙ーーーー???と、思ったけど。

しかも、困った時にって、よくあるやつじゃん。

開けたら手紙に頼るなバーカとか書いてあるんじゃないの?

お金の方が良かったな。とか、一瞬思ったんだけど。

でも、親から手紙をもらったことなんて無いから、ちょっと面白いなくらいにこの時は思った。


なので、素直に受け取ることにした。



静かに黙って、かっこよく出かけようと思ってたのに。


なんだか、『おにぎりは今1個食ってけ』とか、『お茶淹れようか』とかワーワー大騒ぎになって、

もう30分以上、リビングの前に5人で突っ立ってる。


『あのさ!もう行くから!』

俺は少しイラついた声で、みんなの方を見ないようにして出かけようとした。



なんか、少し止めて欲しい気持ちがムクムク出てきてしまったので、それを振り払うように大声で言った。



『どこまで行くかまだ、決めてないけど。しばらく帰ってこないから!』



『わかってるよー!』と、笑顔の母。


そして、父が笑顔でこう言った『楽しんでおいで』




俺は、出かけるしかなくなり、よっしゃ!と言って玄関を息を吸いながら開けて、外に出てカラスを呼んだ。



2階から飛んできたカラスは俺の肩に止まり俺の相棒のネコカブカラスに『よろしくな』と、声をかけた。



静かに家のアプローチを出て行った。



多分、父も母もおじいちゃんもおばあちゃんも外に出てきてたみたいだけど。


確認しないで走り出した。



ずっと西に走って。

15キロくらいしか走ってないところで。


まだ、全然山にも辿り着いてない、大きな道路にある大きなコンビニにバイクを止めて、ちょっと気になったことを確認しようとした。



あの手紙。


あれ、本当に手紙なのかな。

お金が少しは入ってるんじゃないかな。

2万円くらいは。もしかして。



手紙だけだったとしても、そんな困った時に読む手紙、本当に困った時に開けて『ひっかかったなー!バーカ』とか、母の字で書いてあったら、それこそ困るじゃねーか。



今、見ておこう。

そう思い、封筒を開いた。




中には手紙と何やら分厚い封筒が入っていた。


手紙を見ると『もう困ったのー?早くない?笑』と、母の字。そして、驚いたことが書いてあった。


『50万円、入れておいたよー。あんたの社会勉強代。大切にそして、自分の正しいと思う方法で使いなよ』


と、書いてあった。




俺は驚いて、入っていた封筒を出してみた。

本当だ。

50万円入っていた。




俺はコンビニの駐車場でなるべく明るいところに移動して。


そして、母に電話をかけた。



『ちょっと!あの封筒お金入ってんじゃん!』

『あんな大金!』てゆうところはボソボソ言った。

周りに聞こえたら物騒なきがしたので。


『俺はさー!』と、言ったら、すかさず母が言った。

『あんたはこれから、いろんな人の世話になるはずよ。その周りの人のために使いなさい。お金が必要な時があるだろうから。』と、ハッキリ言って、笑いながら『たまには自分のご褒美にポテチでも買いなさいよ』


そして、『じゃーねー』と、電話を切った。



俺は。

本当にいくじなしなんだけど。

電話しながら、泣いていた。


そして、家から15キロのこのでかいコンビニの駐車場で、もう帰りたくなっていた。

帰って、リビングに入って、それこそ、ポテチを食って。


そして、なにより家族に会いたくなった。


帰ってしまおうか。

お金は返せばいいし。



その時にカラスが大きく鳴いた。

『アーーーーー!!』って、鳴いてる声が『行くぞ!』と、聞こえた。




俺は『ヨシ!』と、自分に言ってバイクにまたいだ。ネコはキャリーケースの中で眠っていた。



『せめて山は越えよう。行ったことないし。』


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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