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ネコカブカラス  作者: 山崎 モケラ
13/15

次へ帰宅

やっと前に進む気持ちになった俺。


次に進む場所は。

どんな未来へ歩もうか


どんな道へ進もうか


そのためになにを学ぼうか



そう、考えた夜、俺はワクワクしながら安心して眠りについた。


通信制の高校に行って、高卒の資格を取れば。

大学へ行けば。

何でもできるような気がした。



そのなにを学ぶかの夢は、ゆっくり育てようと思った。

だって、まだなにをしたら良いのかわからないから。



ただ、ゆっくり眠れた俺は、その朝、スーパーから段ボールを持ってきて、荷造りをしていた。

洋服やら本やらほんの少しの荷物だけど。


まとめていた。



部屋でバタバタしていたので、母が見に来た。


『なにしてるの?あんた』と、聞いてきた。


俺は『引越しするんだ。きっと、恭一おじいさんが待ってるから。かずはおばあさんも、ネコもカラスも。だからさ、引越しトラック頼んでも良い?


お願いします!』と、頭を下げた。



母は『オッケー』と、笑い。

単身者用の引っ越しを頼んでおくわと、軽く引き受けてくれた。


その後に。

母はポツリと俺に


『もしさー、もしもよ。


あんたが大学に行かなくてもねー。

というか、高校も行くのやめたとしても。


あんたは大丈夫よ。きっと。

楽しく暮らしていく才能あるから。


だから、自信を持って進みなさい』


と、真面目な顔して急にこんなことを言った。


俺は少し照れて

『楽しく暮らしていく才能って、何だよー!』

と、言い返した。


それにそれに!

俺は高校行くのにー!


今から行くのやめるとか言うなよなー。と、母にプリプリした。




3日後に、小さめのトラックはやってきて荷物を乗せて恭一おじいさんの家へ向かった。


俺はバイクで、行った。


恭一おじいさんには、3日前にトラックが行くことをスマホで言ってあった。

恭一おじいさんは『そうか!待ってるからな!どこの部屋がいいかな。空けておくよ』と、笑ってる声で返事がきた。



2時間ほど走ると、恭一おじいさんの家の前にトラックは着いた。


かずはおばあさんが、車道まで出て待っていた。


トラックに向かい手を振っていた。


俺は、嬉しくて。


バイクから降りると『再びよろしくお願いします!

今度は本格的に!』と、お辞儀した。


かずはおばあさんは嬉しそうに。


『おじいさんは朝からソワソワして何やら、あなたの部屋になる部屋を掃除したり、あなたの部屋に置くものを数え上げたりしている』と、教えてくれた。


『俺の部屋、どこになるんすか?』と、聞いた。


引っ越し屋さんがトラックを開けて、荷物を出そうとしている。



俺の部屋は。


俺の部屋になる部屋は。



今度は南東向きの、朝日がよく見えそうな、玄関に近い大きめの部屋で。


下手したら、恭一おじいさんの部屋と同じくらい広い部屋なんじゃないかなってくらい広い部屋だった。


ここ確か、恭一おじいさんの本がたくさんあった資料部屋だったよな。

あれ?本はどこ行った?などと、思ってる間に。



引っ越し屋さんが元気よく、コレどこに置きますー?と、聞いてきたので。


ここに。ここにこうして。とか言いながら頼んだ。



少し荷物を置き始めた頃、恭一おじいさんがやってきて。


『机があるから、コレもこっちに持ってきてくれないか』と、引っ越し屋さんに頼んだ。



机?俺も見に行った。



それは、立派な机で。


でかいPC乗せたりも、絵も描けたりできそうな、勉強なんかスラスラ出来そうなほどのでかい机で。


どう見ても、新品で。


俺は驚いて聞いた。

『コレどうしたの?』


すると、おじいさんは『買ってきた』と、アッサリ答えて、笑った。


『これから、コイツが必要になるかと思ってな。

引っ越し祝いだよ』と、笑った。



『PCとかそのうちに、やるだろう。

どんなPCにしろスペースがいるから、ここで使うといい』と、机をバンバン叩いた。


俺は嬉しくて『ありがとうございます!』と、頭を下げた。


全部荷物が入って、引っ越し屋さんが帰る頃、かずはおばあさんが部屋を見に来た。


『あらー、荷物が入ると途端に部屋らしくなるわね!ずっと前からあなたの部屋だったみたい!


イキイキしてて、楽しそうな部屋になったわねー!』と、喜んで部屋を見渡していた。


それから一言


『あっちでお茶にしましょう。ちょっと休憩!』


と、言って部屋を出て行った。


俺たちもゾロゾロと部屋を出ていき、かずはおばあさんが淹れてくれた緑茶と、買っておいてくれたおまんじゅうをムシャムシャ食べた。



まんじゅうを食いながら、恭一おじいさんに何気なく聞いた。


『あそこにあった資料用の本は?どこ行ったんすか?』


恭一おじいさんはぬるくなったお茶を飲みながら


『捨てたり売ったよ。ま、処分したって事だな』と、簡単に言った。



俺は驚いて『え!えええ!だって!あんなにたくさんあったじゃん!えええ!要るもんじゃないの?』と、叫んだ。


恭一おじいさんは『うるさいなー。要るならまた、買えばいーじゃねーか』


と、言ってお茶のおかわりをかずはおばあさんから、もらっていた。


2人はなーんか、クスクス笑ってる。


なんか変だ。


『なになに?』と、まんじゅうをを片手に俺は聞いた。



そしたら、次の恭一おじいさんの言葉に俺は驚いた。


『お前のPCも買っちゃった。大きな画面のやつ。

お前の母さん、絵を描くんだろ?勉強にも使えるようにさ。なんか、デカイやつ。


絵を描くならさ、このデカイ画面のがいいって、電気屋の兄さんが教えてくれて。


それ。買ったよ。』


リビングのはじにデーンと置いてある、PCの箱を指さした。


なんの箱だよと、さっきから思っていたら本当にPCだった。


まんじゅうを食い終わった後。

恭一おじいさんと二人がかりで箱から出して、新ピカのPCが出てきた。



机の上に乗せたら。



それだけで、なんか、勉強だか、仕事だか、できる人に見えた。見えるのは机だけだけど。


俺と恭一おじいさんで、立ち上げて設定とかして。


2人でウハウハ笑いながら、綺麗な画面に2人で夢中になっていた。


そこへ、マコトが5時ごろ、遊びにやってきて。


PCを見て、3人で大騒ぎしていた。


マコトが『コレさ!音楽も作れるんじゃない?動画も編集できるんじゃない?すごいね!』と、興奮して、そのうちにコレで遊ぼう!ということになった。



なんでもできる。

なんでも。


俺たちにできないことはない。


一台の大きなPCは、俺をそんな気持ちにさせた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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