ネコとカブとカラスと俺の紹介
旅に出よう!でも、どこへ?
行きたいところはー。どこにある?
俺とネコとカラスとカブ号の旅が始まります。
ネコカブカラス
やっとこの日がやってきた。
俺は半年前から計画していたのだ。
ついに願いが叶いそうだ。
俺は17歳。高校生ではない。
もちろん大学生でもない。
高校は昨日やめてきたのだ。
先生に『学校をやめたいのだけど、どうすればいいですか?』と、質問したら驚いていた。
そして、いかにやめてはいけないのか言ってきた。
しかし、俺は全然先生の話を聞かないので、先生ももういいと思ったのだろう。
何枚かの書類にサインして、無事にやめてきた。
学校は嫌いでも好きでもなかった。
やめたくらいなのだから好きじゃなさそうだが。
勉強は少し好きだった。
いじめも別にされてなかった。
彼女もいない。
彼女どころか好きな子もいなかった。
男子と遊ぶ方がめんどくさくなくて楽しかった。
女子と遊ぶとなぜか、おしゃれなパンだのパスタだの食べたがるし。
俺はご飯が好きだったし。
そう、学校は特に興味の湧くところでは無かった。
俺の親は。
一応、こんな俺でも。
父親、母親いるんだけれど。
少し変わっているのか、俺の退学を聞いても驚く様子もなく『おーっし!これからは気合入れてけよ!』なんて言われながら、夫婦で乾杯をしていた。
母は、絵を描いてお金をもらっていた。
そのせいか、たまに『絵なんかやめた!』と叫び、
狂ったように泣きながら紙をばらまいていた。
他の時は、楽しいいい人だったんだけど、やめた!と、叫んでる時だけは要注意だった。
父は、サラリーマンだったが。
好きな言葉は、『自分の常識、他人の非常識』という言葉なだけに、普通という言葉を嫌った。
学校をやめると言った時も『そうか。よし、頑張れ』とだけ言った。
そんな親だから、学校をやめてもこれと言って、変わった様子はなかった。
それよりもオタオタしていたのは、おじいちゃん、おばあちゃんだった。
おじいちゃん、おばあちゃんは母方の親だった。
いつも優しいってわけではないんだけど。
たまに厳しかったから。
でも、まあ、優しいおじいちゃんとおばあちゃんが俺は好きだった。
おじいちゃんはよく、いろんな工具を使って、直したり、何かパッと見にはわからないような修理をしていた。その、修理を手伝ったり、説明を聞くのが俺は大好きだった。
友達は誰も、自転車のパンク修理できなかったけれで、俺はいつのまにかできるようになっていた。
おばあちゃんは、よく母の話し相手をしていた。
2人でお茶しながら笑顔で話していた。
何を話してるのか聞き耳立てていると、ただの夕ご飯の相談だった。
そんなのも、楽しいみたいだった。
そして、おばあちゃんは美味しい煮魚の達人だった。と、思う。
母にも、教えてるみたいだけど。
誰にもおばあちゃんのようにおいしい煮魚は作れなかった。
そして、ペットに名前はネコという黒いネコとカラスという名前の一羽のカラスがいる。
カラスは台風の翌朝、ベランダに落ちていたのをちょっとした小屋を作って世話したらその小屋に住むようになってしまっただけだ。
だけど、餌とかあげてるうちにすぐに懐いた。
カラスは頭が良くて、平気で俺の肩に乗ったりして遊ぶようになった。
ネコという黒ネコは、大雨の日に外で子猫の鳴き声がするのを見つけた。
近寄ると逃げてしまうので、野良猫で捕まえられないかなと諦めた。
すると、明け方鳴き声がまた聞こえて外に飛び出るとうちの車庫にいた。
角に追い詰めて、ダンボールで捕まえた。
黒い子猫に俺は夢中になった。
かわいいこの黒い毛の玉のようなものは、すぐに俺に懐いて、手を親愛の情を込めてガブガブじゃれて噛むようになった。
そして、このネコは一年たって大人になったのだと思う。まだ、もっと大きくなるのかもしれないけれど。
そして、待ちに待ったこの日がやってきた。
俺はずいぶん前から計画していたのだ。
この、ネコとカラスと俺の愛車のカブで旅に出ることを。
カブはバイトで貯めた金で買った。
バイトも学校と同じ。
やめることにした。
だって、いつ戻るのかわからない気がしたんだ。
カブで、試しに日帰りで山の上にある湖とか行ってみたりした。荷台にもちゃんとキャリーケースを付けた。
カラスたちが疲れたり、具合悪くなったらキャリーケースの中の方が楽な気がしたのだ。
ネコ用に、しっかりしたリュック型のキャリーケースを買った。
用意は万全だと思った。
明日の朝、さっそく出かけよう。
でも、どこに?
海なのか?山なのか?
どこに行きたいのか分からない。
どこか西に行きたいとか、北に行きたいとか、なんか特定の場所が思いつかない。
色々な場所を考えてみるんだけど、イマイチビシッとここ!ってならない。
せっかく、学校までやめて決めた旅行の夢がここでつまずいた。
そこで、フト、思った。
日帰りで行った山を越えてみようかな。
あの先には何があるのか知識では知ってるけど。
その先を見たことがないや。
決まった!山を越えよう。
そして、次にも山があったら越えていけばいいや。
そうと決まれば早く寝るとしよう。
俺はあまりに幸せな気分で眠りについた。
山の向こうには何か良いものが待ってるに違いない。
そう信じた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!