表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/100

『オブジェクトナンバー“0021”・終幕』

「で、ものの見事に全滅したわけだにゃ?」


「はい、そういう夢だったぜ!オチを加えて」


 いつものごとく【ARTEMIS(アルテミス)】のカウンターでチェシャにミッション報告を入れるレイス。


 今回の【オブジェクトナンバー0021】はチームが全員やられた事であえなく失敗となった。

 改めて調べてみると、とにかくこのミッションは理不尽要素が徹底して配置されており、一部もエネミーも黒幕(マインドマスター)が操作して襲撃してくるなど、かなりの難易度だったようだ。

 なんでもほぼ黒幕(マインドマスター)が常駐してるステージの様で、こちらの動きに応じて罠や敵の行動を細かく調整してくるのも難しさに拍車を掛けているのだとか。掲示板では早々に退場したプレイヤーが「クソニートが!死ね!」などと怨嗟の声を上げていた。


 もっとも、リザとキョウカの足止めのおかげでジェイスとシェルはキャロラインと共に無事に脱出し、数少ないクリア者の仲間入りとなった。

 ただ、全員に「この度は、貴チームに寄生するような形になってしまい~」という出だしからスタートする土下座謝罪動画が送られてきたときは本当にどうしようかと思った。

 なんとか気にしてないし、成り行きでそうなったんだからと大丈夫だよと宥めたはいいものの、ジェイスとシェルはそれでは気が収まらないらしく、アルミアの(余計な)提案のせいでパラベラムバレットの下部組織もとい舎弟となった。


 毎月、こちらに上納金を送るつもりらしい。

 お願いだからチーム・パラベラムバレットをスネに傷のある事務所的なアレにしないでもらいたい。


「でもまぁ、結果として全滅でよかったですね。 死んだら拠点のベッドで復活(リスポーン)の設定が無理なく使えましたし」


「流石のリザっちでもそこは融通利かせると思うけどにゃ~。 死なないでクリアし続けられるアクションゲームなんて普通はないにゃあ」


「うーむ、それは確かにそうですけど……」


 ちょっと心配しすぎだったかもしれないとレイスは頭をかいた。

 どうしても、ビッグマンの件でのへこみ具合を見ているせいで気になってしまうのだ。


「にゃ~、ちなみのその悩みの解決方法は、レっちゃんが徹底的に上手くなって誰も死なせない立ち回りと作戦を立てる事にゃあ」


「ぐっ、今回の経験を次に活かして精進いたします……」


 もちろん可能性をゼロには出来ないけど、限りなくゼロには近づけられる。

 要するに―――頑張るしかないのだ。


「おい! レイスっ!! ちょっとこっち来い!!」


 テーブルでチームメンバーが『悪い夢は飲んで忘れよう会』をおっぱじめている中、リザの大声がレイスを呼んだ。

 ニヤニヤ笑いのチェシャに送り出され、レイスは肩をすくめてカウンターを離れる。


「なんだ? リザ」


「座れ」


 ベシベシと自分の隣のソファを叩く。

 心なしか顔が赤らんでいるように見えるが、まさか酒を入れているわけではあるまいな。


「なに突っ立ってんだ、いいから座れ!」


「はい! はいです!」


 有無を言わさぬ物言いにレイスは慌てて隣に座った。

 もしやこれはあの即死罠に引っかかって件について、手厳しく弾劾されるのか?と心の内で覚悟を固める。


 リザはフンッと鼻を鳴らして立ち上がり―――何故かそのままポスンとレイスの膝の上に収まった。

 Why(ホワーイ)?どうして?とレイスは宇宙顔になった。しかもリザはそのままぐりぐりと後頭部を自分の胸に押し付けてくるし、時折バック頭突きもかましてくる。

 甘えている猫のようにも不機嫌極まりない子供のようにも思える所作に、レイスは訳も分からずされるがままになっていた。


「うふふ~、よーっぽど嫌な夢だったんですね~」


「ウチはそれなりに楽しかったすよ! 最後のリザっちとの一分間の戦いは上がりに上がったっす!」


 その二人を愉快そうに眺めながら、アルミアとキョウカがグラスの飲み物を口に運ぶ。

 だがその二人も、同じように戸惑いきった表情を浮かべるユージーンを真ん中に挟んでいるわけで。


「あの、なんで二人ともおじさんに近いのかな……? あ、ここにいるの邪魔とかそういう?」


「いえいえ~、夢の中とはいえ功労者はもてなさなくてはと思いまして~。 あの時、爆弾を抱えて突っ込んできた時はかっこよかったですよ~」


「ウチも助けてもらった恩があるっすからね! あ、飲み物いるっす?」


「う、うーん……。 二人はそれ以上にすごい活躍してたとおじさんは思うんだけど……」


 なんかそういうお店かと思える光景だ。

 褐色ツインテール元気娘とミステリアス豊満シスターのサンド。ちょっとうらやましいかもしれない。


 ―――ドスッ!と重い頭突きが胸に入った。


「ごっはぁっ!!」


「なに見てんだよレイス……。 いいからお前は椅子になってろ」


「えぇ……」


 理不尽だと口に出して言いたかったが、真っ先に死んだ手前、今回は仕方ないとレイスは諦めた。

 そうして宴会は長々と続き、いつも以上に(?)チーム・パラベラムバレットの親交が深まった……気がした。


【SCP財団】

自然法則に反した存在・物品・場所を取り扱う架空の組織の名称であるとともに、それについての共同創作を行う同名のコミュニティサイト。

2007年の海外のホラー掲示板が発祥と言われている。

現在も多くの超常存在が収容・報告されている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ