欠/ありのままで。
いきなりハザードドライブを渡され、
いきなり神経通達式傀儡に乗せられ、
世界を救うのが自分と知り、最後の計画へと向かう、果たして全ての謎は解かれるのか、誰が何をしようとしているのか。
俺が一通の手紙をもらい、読んで、計画を立てた日からもう2年も経ってしまった。
世界は明らかに混沌へと向かっている。
今までしてきたことは無駄ではない。
そう証明するためにも俺は動かなければならない。
-1年前- 手紙を貰った日から2日後
「失礼します。おはようございます。シン君。」
「あっ、おはようございます。アイさん」
「今日も予定はありません。ですがもうすぐ昏繪娜亞が来るという情報があるそうよ。
一応いつでも行ける準備だけしといてね。」
「また、乗らないといけないんですね。。。」
「そうよ。。。ごめんなさい。でも頼んだわよ」
そう言ってアイさんは部屋を出て行った。
僕は手紙を読んでからずっと考えていたことがある。
"ハザードドライブ"はまだあるのか。
今回の昏繪娜亞との一戦でもしかしたら落としたかもしれない場所に行けるかもしれない。
もちろん倒すことを優先しなければならない。
でももし見つけられるなら倒してからでも見つけるべきだと思う。
そう考えてた時だった。
〈昏繪娜亞が智糾に上陸しました。もうすぐ大陸に上がります!!直ちに用意をしてください!〉
「もう来たか。」
僕は急いで用意をする。
ヘルメットを被り神経を繋ぐ。
「聞こえるミスラよ。いい?今回は前回のようにはうまくはいかないかもしれないわ。前回より明らかに何か違うわ。気をつけて」
「あぁわかってる。」
ミスラの言う通り何か違う。
前回は人型だったが今回は四足歩行だ。
かいらいが地上に上がった瞬間ものすごいスピードで突進してくる。
そのまま押されながら次々とビル、家、沢山の建物を倒していく。
「ドォォォオン!!」
「シン。大丈夫!?」
ミスラの声は聞こえる。だがかいらい自身の体が動かない。
「ミスラ!体が動かない!!」
「どういうこと!?シン!集中して!次の突進でかいらいはダメージで完全に機能停止してしまう!」
そう話している間に数キロ先からものすごく速いスピードで走ってきている。
「動け。動け。動け。動け!」
どんどん近づいてくる。
かいらいは完全に止まっている。。。
「もう、いいから!飛べ!!!」
「ドォォォオン!!」
「シン!!、、、
えっ?。。。かいらいが飛んでる。。。」
目を開けると空を飛んでいた。
ちゃんと飛んでいる。
「えっ。こんなこと聞いてないよ!ミスラ。」
「私も聞いてない。これは何。」
かいらいに羽が付いている。
いや、羽が出てきた。
「なんか。いけるよ!」
そのまま僕は剣を取り出し下降と同時に頭と首の間を切り裂いた。
「ゴッファァァァン」
そんな爆発音が鳴り響いた。。。
「タッタッタッタッタッタッタッタッ」
「失礼します!!」
「父さんあれはどういうこと!かいらいに、神経通達式傀儡にあんな機能があるなんて聞いてない!」
「ここでは父ではない。総司令官だ。
いいか。ミスラよ。お前が知らないことは山ほどある
お前はまだ、真実を何一つも知らない。
何故、神経通達式傀儡が創られ、昏繪娜亞が智糾にやってくるのか。
だが何も急ぐことはない。もうじき知ることになる」
「どういうこと。。いや今は聞くのをやめておきます。
私は必ずあの神経通達式傀儡に乗って救ってみせます。
お母さんを、あなたの手から」
「そうか。それは楽しみだ。」
「それでは失礼しました。」
「とうとう見つけたかシン君。。。」
このダイ総司令官とミスラの会話は穏やかであるべきはずなのに緊張、そしてある意味決意の会話であったことを誰も知らずに終わってしまった。
「あっ。ミスラ、、ダイ総司令官は何か言ってた?」
「いや、あの人はおそらくもっと大きなものを隠し持ってるわ」
「それはどういうこと?」
「異魂はおそらく私たちが思ってるより大きな存在って事。
はい、もう自室に帰って。そんなに女の部屋にいるとか最低よ」
「ご、ごめん!!」
おそらく気づいていたのだろう総司令官は。
僕がハザードドライブを見つけ出したことを。。。
-昏繪娜亞との戦いの時-
「ドォォォオン!!」
「シン。大丈夫!?」
「ミスラ!体が動かない!!」
「どういうこと!?シン!集中して!次の突進でかいらいはダメージで完全に機能停止してしまう!」
「動け。動け。動け。動け!」
「あれ、あれは何だ。」
その時僕は見つけてしまった。
"ハザードドライブ"を
僕が見つけたのと同時にかいらいも認識していた。
僕が見ている画面(目線)に
〈set?〉
そう書いてあった。
僕はそのとうりに〈YES〉と心で決めた。
その瞬間にハザードドライブを手に取ったかいらいは僕が操作してない、自らの意思で腰付近のハザードドライブ専用接続部分に入れた。
その瞬間だった。
「もう、いいから!飛べ!!!」
「ドォォォオン!!」
「シン!!、、、
えっ?。。。かいらいが飛んでる。。。」
「えっ。こんなこと聞いてないよ!ミスラ。」
ここで僕は悟った。
これがハザードドライブの力の一つと。
今回の昏繪娜亞を倒した時の剣に込められた力は明らかにパワーアップしていた。
ハザードドライブはまだかいらいの体の中にある。
ダイ総司令官は必ず取りに行くはずだ。
僕は決めた。
母から頼まれた"ハザードドライブ"は誰にも渡さない。
ミスラが言った通りなにか大きなことを隠しているなら尚更渡さない。
これがたとえ世界のためでも一度母と話さなければならない。
だから僕は今日異魂から出て行く。
僕は深夜警備が1番薄い時間に神経通達式傀儡のある倉庫室は向かった。
意外と簡単にそこまで向かえた。
ただハザードドライブをどう取り出すかがわからなかった。
だから僕は勝手に神経通達式傀儡を起動させた。
起動するのは簡単だが思うように取り出せなかった。
廊下から足音が聞こえる。
明らかに人だ。
こっちに向かっている。
僕は戦闘の準備をした。
ドアが開く。
でも僕は初めて見た顔に困惑した。
「やぁシン君。僕だよ。シューって言うんだよろしく。
おそらく君は僕を誰だろうと警戒してるね?
僕はあの手紙を書いた張本人さ。」
「えっ。。。そんな君が」
どうみても僕と同じぐらいの歳だろうと思う。
「僕はここ10年近くずっと異魂を潜入捜査しててね。
まぁ今はそんな事を話すよりハザードドライブを取り出して僕の秘密基地へ来るといいよ」
シューと名乗るものはあっさりとハザードドライブを取り出し僕と一緒に彼の部屋へ行った。
「いやここただの部屋ですけど。どこが秘密基地なんですか」
「いやまぁ見ときなよ」
そう言うと彼の部屋の冷蔵庫が別の部屋への扉となっていた。
「すごい。。でも冷蔵庫って全部自動で食料が配給されるからバレるんじゃ、、」
「10年前はそんな自動とかなかったんだよ。」
「は、はぁ。」
「聞きたい事はあるだろうけど手短に話すよ」
「僕はハナさんの協力者の協力者だ。
ハナさんの協力者、トキっていう人に頼まれてここの潜入捜査、、、調査かな、をしているんだ。
君がここに来るのもハナさん達の計画通り。ここからは僕が計画通りに君を導かないといけないんだ」
「ちょっと情報量多くてわからないです。。。」
「いいか。昏繪娜亞は敵でも何でもない。あれは人間だ。都器からきたんだ。」
「なんで、人間が都器なんかに。。。
「昔、神経通達式傀儡の実験で失敗した人達の半数は自我をなくし人間としての原型もわからないぐらいの生命体になってしまった。
その理由は誰も知らないダイ総司令官だけが知っているらしいけどね。
世間にその実験自体を隠蔽するために都器にその生命体を打ち上げて送ったんだ」
「でもなんで今智糾に?」
「向こうでも文明が発達した。という事だ。自我をなくしたとはいえ人間としての知能は持っているはずだ、だがら向こうでも智糾のように人間と同じことをしているという事さ」
「僕はどうすれば、、、いいんですか。
そもそも母はどこにいるんでしょうか」
「ハナさんは。。。僕も知らない。ただ君がハザードドライブをもらった日一度異魂本部は来ていたらしい。
隊員の中で話題になったからな。
いいか。君がやれる事はハナさんが救おうとした智糾を救う事だ。
そのために君には残酷な運命を背負う事になる」
「母のためなら僕、やります」
「僕が、いや俺が」
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それから2年間僕はシューさんと生きてきた。
あれからは異魂を出て計画を立てた。
この2年間で昏繪娜亞は何度も智糾に来ていた。
だが俺ではない誰かがかいらいに乗って戦っていた。
つまり俺達がいない事はもちろん知っているという事だ。
そして計画実行の日が来た。
「それではシューさんよろしくお願いします」
「うん。任せて」
計画はこうだ。
シューさんはこの2年間もずっと異魂に潜入し続けていた。
シューが僕を神経通達式傀儡のある部屋までうまく運んでくれる。
その部屋までの警備システム、防犯カメラなどを止めてくれる。
その間に僕は神経通達式傀儡に乗りハザードドライブを接続する、ハザードドライブにはもっと大きな力がある事は知っている。
だがその力が何なのかは具体的にはわからない。
ただシューさんが言うには確実に世界を救えるらしい。
だがそれでいい俺がやるんだ。
「シューさんすごいな、本当に警備システムが反応しない。。。
よしっハザードドライブを接続して。。
さぁ乗るか、」
起動した。
後はこのハザードドライブがちゃんと力を発揮するだけだ。
その時だった。
俺の脳が一気に何かに浸食するようだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ」
かいらいが勝手に動いている。
地上にある建物を壊す。
壊す。壊す。壊す。
全て破壊する。
異魂の本部さえも。
「あなた!何してるの!っていうかどこにいたのよ!!」
ミスラの声だ。
たしかにに聞こえる。
だが返事しても届かない、いや声が出ない。
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「来たか。シンよ。戻ってきたのか。一度世界がリセットされる時が。
私の思い通りにはならなかった。
これがハナの選択したいいやシンの選択した未来なのか。」
「そうです。ダイ総司令官。あなたはここでサヨウナです。」
「シューか。君か、君は何回目だ。」
「これでもう6回目ですよ。全く。
あなたの計画は全くもって成功しませんね。」
〈バキュゥゥゥウウン!〉
「また7回目で会いましょう。ダイ総司令官。」
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「シン落ちついて!!シン!!」
「シン君は運命の子です。この世界はリセットされる。」
「あなた誰?」
「私はシュー。あなたも変わりませんね。」
「変わらない?会ったこともない人に言われたくないわ」
「あなたは結局ここで終わります。ダイ総司令官と共にサヨナラです」
〈ドサッ〉
「死体を見るのは何回見ても慣れません」
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「はぁ、はぁ、はぁ、うわぁぁぁあぁぁぁぁあぁあ」
制御できない。体が脳が言う事を聞かない。
「ン、ィン、、シン、」
あれは、、、母、、お母さん。
なぜか懐かしい感じがする。
あまり母と、お母さんと話していなかったのに。。。
「シン。あなたの使命はもう、終わったの。
もう大丈夫だから。もういいの。」
「俺は、僕は何をしてきたの?」
「シンは世界を救ったの。だからもう一度みんなで始めよう。家族全員で。」
そうだ僕には家族がいたんだ。
お父さんがいてお母さんがいて双子の妹がいて。
でも、何で忘れてたんだろう。
大事な記憶なのに。
僕が今までしてきた事は家族のためだったんだ。
もう一度みんなで楽しく過ごせるように。
もっと長く過ごせるように。
だから世界を救うんだ。
もう一度最初から始めよう。
みんなで
始めよう、
みんなが本来望んだはずの未来に、
普通の家族みたいに、何も特別なんかいらない、
飾らなくていいんだ。
ありのままで。
活動報告にて詳しく書いております。
また"智糾の裏。"〈Bautiful as a flower.〉という話も同時投稿しています。
ぜひご覧ください。