省/はじまった、
あれから早1週間が経った。。。
初めて見たこの景色は僕には耐えられなかった。
もう一度地下室に戻るとよく見たら明日だけではなく数日間は暮らせるであろう最低限の食料が配備されてあった。
今の僕には何もできない、そう思い地下室で過ごしていた。
そして母が僕に渡したこの"ハザードドライブ"と言うものも調べなければならない。
"ハザードドライブ"と母とこの戦争にはどんな関係があるのか。。。
1週間経った今はもう食料はほぼない、地下室を改めて探して見たが地下室といっても椅子と食料が地面に置いてあり、ただの四角形の部屋だ。
実際探すもなにもない。
僕が今することは一つしかない。
「旅へ出て、調べることだ。」
まだなにもわからない僕だからこそ今、外の世界に出る必要がある。
今も外では戦争が行われている。
一体何と戦っているのか、なんのために戦っているのか、今何が起きているのか。
それを僕は知らなければいけない気がする。
家の敷地を出てひたすら歩く。
目的地はない。
ただ今起きていることを調べたい。
その一心で旅に出た。
家から出て数時間が経った時だった。
戦闘機が飛んできた。
「なんだ?ここで戦闘でもしようというのか」
そう思ったが違う。戦闘機についてる銃口が明らかに地にいる僕の方に向いている。
「やばい」
思わず声が出る。
ひたすら逃げる。
ほぼ荒廃した町を駆け抜ける。
僕は近くの家の瓦礫に身を潜め隠れた。
戦闘機はそのまま行ったようだ。
今のは確実に僕を狙っていた。
僕が見たのは政府が持っている戦闘機だった。
この状況からして政府が僕を襲ってきた理由は1つしかない。
"ハザードドライブ"だ。
つまり母と政府には何かしらの繋がり、関係があったということだろう。
「でも、何故だ。母は何をしていたんだ。なぜ政府が欲しがっているような物を持っていたんだ。」
僕が今まで見てきた母は穏やかで1人で僕の事を考えてくれていた。
そんな母が僕にそんな危険なものを持たせるとは思えない。
それに母は僕と一緒に地下室で避難したわけではない。母も外に出て行ったんだ。
つまり母は別でやらなければいけないことがあったということだ。
それならなおさら今は"ハザードドライブ"よりも母を探すことを優先するべきだ。
僕はすべての謎を調べるのも進めつつ母を探すことを1番優先な目的にした。
だがその肝心な母の居場所はわからない。
手がかりは何もないのだ。
「いや、待てよ。
母を本当に探すべきなのか。
母は僕に"後は頼んだ"そう言ったんだ。
僕は何を頼まれたんだ。
このハザードドライブ、何に使うんだ。。。」
見た目はまるでUSBの2倍くらいの大きさのものだ。
だが箱状のものでありUSBとは全く違うもの。
「やばい。」
ここで詰まってしまった。
出てくるのは謎ばかりで肝心な謎を解く糸口が見つからない。
そう思ったとき、また遠くから戦闘機の銃声が聞こえてきた。
僕は体が動かなかった。
僕の右腕のほんの少し横を銃弾が走る。
1秒もしない内に僕の左足に銃弾が突き刺さる。
まるでゲームオーバーしたかのように目の前が真っ暗になった。
意識が戻り目を開けるとそこには何もない無の部屋。
これで2回目だ。
何もないただそこには空気しかない部屋だった。
もちろんベッドはあり僕の腕には点滴をされていた。
「病院か?」
独り言のつもりで言ったのだが思わぬ声で返答してきた。
「違うわ。」
京・ミスラ・アン、彼女だった。
「なぜ君がいるんだ、、」
彼女はさほど大きくない声で呟くように答えた。
「あなたを撃ったのは私。
あなたは最初から最後まで背負わなければならないものがあるようだね。」
「シン君。あなたはどこにハザードドライブを隠したの。」
彼女は聞いてきた。
なぜ彼女がハザードドライブについて知っているんだ。
それに撃たれるまで持っていたはずのハザードドライブがない。。。
「まさか、あの時、、、」
おそらく落としたに違いない。
「知らないとは言わせないよ、あなたがハナからハザードドライブを貰ったことは知っているわ」
母の名前まで知っているのか!?
なぜ知っている。
そしてなぜそこまでハザードドライブを欲しがるのかわからなかった。
だがどう考えてもハザードドライブを渡してはいけない気がする。
なぜかそんな気がするんだ。
母に頼まれた以上、責任を持ってその何かを達成させなければいけない。
そう思った。
だから僕は言った。
「ハザードドライブなんて知らない」
彼女はその言葉を聞いてすぐに携帯を取り出し誰かに電話をしていた。
その会話は聞き取れず誰と会話をしているかも分からなかった。
1分もしない短い会話が終わった後彼女は
「シン君、これからあなたには偶然という運命を背負わなければならないわ」
そう僕に言った。
"偶然という運命"
僕にはその言葉の意味をまだ理解していなかったのかもしれない。
彼女は僕の点滴を外し連行するように僕を連れ出した。
長い廊下を歩きまた別のドアの前に立たされた。
「はいりなさい」
彼女が言った言葉通り僕はドアを開け部屋に入る。するとそこは部屋ではなく巨大な倉庫のような場所だった。
僕は目の前にいる怪しい人よりもその奥に立っている人型のロボットのようなものに目がいく。
「あの兵器に目がいくのか」
低い声で僕に言った。
「私はダイ。ここの組織、異魂のトップだ」
「今から君はあの人型戦闘機"神経通達式傀儡"(しんけいつうたつしきくぐつ)に乗ってもらう。
詳しいことはミスラから聞くといい」
そう僕に命令しそのまま部屋を出ていってしまった。
「ちょっ、、なんなんだよ。
いきなり乗れって言われてもこの状況もこの巨大なロボットの説明もわけわかんないよ。
わけわかんないよ!!」
わけがわからなすぎる、いきなり目が覚めて知らない人に命令される。
パニック以上にパニックだ。
誰も返事はしてくれない。
「これがあなたの運命なの。受け入れなさい。」
ミスラはそう言って僕に"神経通達式傀儡"の資料を僕に渡した。
「これからあなたはこの"神経通達式傀儡"(しんけいつうたつしきくぐつ)通称かいらいに乗ってもらうわ。
このロボットのような本体には乗らずにここの施設であなたの脳とこのかいらいとの意識を繋げて戦ってもらうわ」
「待ってよ、ミスラ!
戦うって何と?」
「それは乗ってからのお楽しみよ」
僕はもしかしたらどこか、間違った選択をしてしまったのかもしれない。
そう思った。
でも今は乗るしかない、それで何かわかることがあるならやらないほかない。
ミスラに案内され別室で戦闘機の操縦席のようなところに僕は乗った。
正直よくわからないボタンばかりある。
バイクのヘルメットのようなものを被る。
その瞬間に一瞬意識が飛びそうになる。
この時点でもう僕は神経通達式傀儡と連携してあるようだ。
資料にも書いてあった通り目を開けると目線は神経通達式傀儡からみた目線になっている。
これから僕は何を背負わされて何を明らかにしていくのかまだわからない。
それに明らかに展開がはやすぎる。
絶対に何かあるはずだ。
ここの組織が急いでいる理由が。
でも母のためにも、自分のためにも、
やらなきゃいけない事があるならやるべきだ。
僕の使命はここから、
はじまった、
今回の話はとても展開が早かったと思います。
ですがそこに伏線はなくシンプルにはやいだけです。申し訳ありません。
シンの葛藤のシーンなどは個人で想像してくだされば嬉しいです。
活動報告#2においても書いております。
是非ご覧ください。
さて今回はそんなに深い話ではなく次回への繋がりとして描かなければならない話でした。
次回も、よろしくお願いします。