プロローグ
賢狼と喋るバイク(モトラドを指す)が大好きです
ここはとある森の奥深く、緑濃く月の光の通らぬ場所。1匹と1人が囲むは小さな焚き火、パチパチと爆ぜる木の棒の上には、夕食だろうか、スープが入った鍋がゆっくりと、かき混ぜられている
「のう、ヒト」
口を開いたのは、体長10セチ程の毛玉…もとい小狼。
それに答えるは、身丈140セチ程度の人
「何だい?ヨフ、お腹でも空いた?」
ヒトと呼ばれた人は、作っていた鍋から顔を上げ、小狼に訊き返した
鍋からはスープの匂いが漂い始めている
「いい加減名を省略するのはよして欲しいけど、まあいいさ。長い付き合いだ」
ヨフと呼ばれた小狼は、眠たそうな眼を器用に擦りつつ、大きな欠伸をすると、鍋の煙を嗅いで幸せそうな顔をした
それを眺めていたヒトは、鍋をかき混ぜる手を止める事なく、苦笑する
「ソレを言いたいのはこっちなんだけど…で、何?」
「ヤツラが近づいてきてるよ」
ヒトのかき混ぜる手がピタリと止まる。中性的な顔を不機嫌に歪めながら、周りを見渡すが、周りは立ち並ぶ木だらけだ
「………見えないんだけど…距離は?」
「ざっと200メル」
ヨフは少し目を逸らして言った
「ちょぉ〜っと、ヨフさ〜ん?見張り、お願いしてたよね?」
額をピクピクさせながら、イイ笑顔でヨフを見る
そんなヒトを既に気にする様子もなく、ヨフはスープを嗅いで、体長程もある尻尾をゆらゆらさせている
「こんなに木の匂いが濃いところだと流石にキツイさね。狼の身にもなって欲しいよ、まったく」
実際のところは、スープに夢中で気づかなかったのだが、ヒトがそれを知る由はない
少し考え込んだように見えたヒトは、すぐさま顔を鍋に向けた
「とりあえず食べようか」
「そうさね」
その後、スープを堪能した1人と1匹の行く先は闇夜に紛れて消え失せた。
期限が嫌いなので完全不定期更新です。
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泣いて喜びます。




