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2 あいさつ
『あいさつ』
頭上を飛び交う、憎たらしい言葉たち。
私には許されない。何気ない一言は、暴力に強奪されたから。
ああ、昨日まで孤独という看板を背負って、ご機嫌取りの戦場の端で佇んでいた私。
でも、今日からは違うわ。
「おはよう」
膝の上、すっかり大人しくなった暴力の主犯格へと挨拶をする。
彼が恭しく頭を下げたから、私はとってもいい気持ち。
ほんとの貴方は素直で優しい人なのね。やっぱりこれはいらなかったんだわ。
鋭利な4つの切断面を撫でながら、私は初めての友人を前に期待で満ち溢れていた。