世界からの要求6
身支度を整え、この世界にしては、かなりしかっかりとした食事を頂いた。
いつだったか、マリーにおいしいご飯を食べさせてあげたい…なんて考えていた気がする。困った事に、そのマリーだけ仲間外れになってしまった。多少改善されたとはいえ、まだ量を嵩増し出来た程度だからなあ。
まあ…これは少し違うか。
いつか、自分たちの力で…このくらいのご飯を食べて、笑って暮らせるようにすればいい。
「ん…あぅ…」
「あらら」
とりあえず、今は慣れないナイフに苦戦中のアンシアを、助けてあげるとしよう。こういう小さな事も、良い経験だ。
食べさせてあげるっていうのも良いかもしれない。
どんな反応をするか楽しみ…って、これじゃあ怒られちゃうかな。
実のところ、現状の整理と、自分の計画との擦り合わせは、昨日の時点で終わっていた。あとは、俺の手腕で優先度を決め、実行に移すだけだ。
情報を元に、どう動くか…。
「では翔さん…お返事を頂けますか」
「はい」
改めて、俺は女王様の予定に合わせて対峙した。
「俺の返答は、イエスでもノーでもありません」
俺の考えられる範囲じゃ、そのまま依頼を受けても、逆に断っても、世界を良い方向に進めるのは難しい。
だから、こういう時は、新しく生み出すしかない。
「交渉をしましょう。講師をお受けするのではなく、俺の案に乗りませんか」
「…言うねー翔君」
イエロー、今は静かにしてて。これでも王様相手で、緊張してるから。
「その案というのは?」
「これから約一年、ここで自分が働きます。その代わりに…俺のお願いする物を、開発して欲しいんです」
地位とか、富や名誉とか、そういうものが報酬では、採算が取れなくなる。時間が足りないんだ。
だから、今後のチェーン展開で一番の問題だった物…それをここで解決させてもらう!
俺にとっての新しい生活が、また始まろうとしていた。




