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黄色の王都7

 とりあえず、本当は前回の話数にくっ付けたかったところまでお急ぎ便…。

 まだ頭がぐるぐるするので、早く脳内妄想を書き上げていきたい。

 …居た!

 市場から少し離れた町の一角。そこで俺は、小さな人だかりを見つけた。

 件のイナズマと、その横に連れらしい人物が数人。それをこの町の人達が囲んでいる。雰囲気は至って明るい様子だ。やはり例の噂通り、有名人になりつつあるのだろうか。

 これから彼が、あの夢の勇者として、この世界を一身に背負う事になるのか…。

 今はまだ、おそらくマリーと同じ歳くらいの子供なのにな。

 にしても、まさか本当に出会えるとは…偶然だろうか?

 …と、考えていても始まらない。まずは何とかして、コンタクトを取らないと。

 そうは言っても、どうしようか。

 人も多いし、俺は彼の事を知っているけど、向こうが俺を把握しているかは分からない。

 いきなりあの中に入っていって、初めまして、少し話をしたいので一人で付いて来てほしい。そんな事を言った日には、不審者まっしぐらだ。

 そもそも、本当にコンタクトを取ってしまって良いのか。メルからは、特に止められたことは無いけど…。

 いつもはこれでもかと近くに居るのに、こういう時に限って居ない。

 しかし、このまま引き下がりたくはない。これはまさしくチャンスだ。

 俺のするべき事は、商業を発展させる事。

 それは、それ自体も意味があるとはいえ、そもそもの目的は、この世界の未来を救う事だ。

 つまり、あのイナズマを助けると言う事だ。

 ここで知り合いになっておけば、何らかの形で、より助けになる事が出来るかもしれない。

 それにもう一つ。メルによれば、この世界には今、神々の影響を受けている人が複数いるらしい。

 十数年前の神託。それは純粋に力を授かった人や、中には俺の様にどこからか召喚された人も居たと聞いた。

 俺の予想が正しければ、おそらく彼は…。

 そんな事を、またぐるぐると考えていた時だった。

 目が、合った。

 人の壁の隙間から、今確かに、イナズマと視線が合った。そして、それはまだ続いている。

 もしかして、向こうも気付いてる? 確かに俺は一度、あの村で彼に助けられているし、その後どうなったかは、気絶してしまって詳しく知らない。でも、俺の顔を覚えていてもおかしくない。

 どうする? どうすれば、一人連れだせるだろうか?

 そう慌てた俺は、なぜだか親指を立てて顔の横まで持って行き…クイクイっと背中の方を指し示すジェスチャーをしていた。

 うわ、洋画か何かかよ恥ずかしい何やってるんだ。…でも渋くてかっこいいかもしれない。

 俺はこういうのが好きな、痛いおっさんだった。

 そんなどうでも良い事を考えていると、意図が伝わったのか、なんとイナズマが、こくりと頷いてみせた。まじか。

 そうしているうちに、何やら仲間らしい人達と話し、輪の中から抜け出してくる。

 呆けている場合では無い。俺は急ぎ、とりあえず先程指示した方向へと動き出す。

 ハプニング続きの今日は、まだまだ終わりそうになかった。

 

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