黄色の王都3
あれから待つ事、数十分。
アンシアとも、何事も無く合流し、その時は来た。
通されたのは、まるでコロシアムの様な、周りを壁に囲まれた広い場所だ。
俺は今、そこに一人で立っている。
「…嫌な予感しかしないんだよなあ」
つい、そんな独り言を吐いてしまう。
後ろでは、アンシアとメルが見守っていて、他には誰も居ない。
状況から察するに、これからもう一戦始まってしまうのだろうが、一体どんな相手なのか。こんなに広い場所が必要なのか?
重装備の、ムキムキマッチョとか出てこないだろうな…。
そういえば、結局情報をつぎはぎして、色々考えてはいたけど、この試験って何なんだ?
緊張を紛らわすため、そんな事を考えていた時だった。
「お待たせしました! 準備はよろしいですかー!」
俺が来たのとは逆の、正面の入り口から、先ほどの騎士さんが顔を出した。
「はい! 大丈夫です!」
準備も何も、出来る事なんて無いしな…。使う人は、エンチャント的な魔術を発動したりするのかな。
「では、私も出来る限り注意しますが、怪我など無いよう、十分お気をつけて!」
「わかりました!」
…あれ?
待て。
これはおかしい。
今の台詞、戦うのが騎士さんだと言うならわかる。
でも騎士さんは、そのまま戻っていく。
いやに防具も増えているし、兜も被っている。やっぱり対魔術戦をやらされるのかと思った。
俺にああして声を掛けた以上、騎士さんが戦うのなら、戻ってしまう理由は無いだろう。それが戻っていってしまった。
普通ならここで、試験官は別の人なのか、で済む。
しかし、先ほど騎士さんが言った台詞。
…何に注意するんだ?
自分が戦うのならわかる。やりすぎないようにとか、そういう意味だ。
他の人が戦うのに、騎士さんが注意する理由は?
そんなのまるで、事によっては、騎士さんが割って入らないとならないみたいな…。
背筋が泡立った。
間を置かず、身体全体から血の気が引いた。
もうあれは、一年以上前だったか…?
「は…は…」
本当に、訳がわからない。
俺はこの世界で、まだまだ予定通りに、事を進める事は出来ないらしい。
眼前に現れたそれは、いつかの絶望そのもの。
翼に、大きな腕、その姿は恐怖と共に、心に刻まれている。
「なんなんだ…!」
もう二度と関わりたくなかった。
完全に想定外。
いつかと同じ、魔物が、そこに居た。




