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二度目の旅立ちと

 再スタート!

 最近何か書いてないともう落ち着かないので、このまま物書きとして生きていきたい。

 温かい。

 山の中なのも相まって、空気もおいしく、ホッとした気持ちになる。

 この世界に来て、3度目の春を迎えていた。

 そして今日、また次の一歩を踏み出す事になる。


 俺は、旅支度を終え、出発の時を待っている。

「マリー、そんな不安そうな顔しないでってば」

「不安と言うか…心配なんですよ」

 しばらくの間、俺は、マリーと離れて行動する事になる。

 なんだか、すごく心配されてるみたいだけど、こちらからしてみれば、マリーの方こそ心配だ。

 今日からこの丸猫屋に、一時的とはいえ、俺は居ない。本来であれば、まだまだ独り立ちして貰うには早い時期だ。

 ソウさんにも、重ねて頭を下げて、お願いはしてきた。

 それでもあくまで、マリーが店長をやっていく事になる。

「そっちも頑張って…。でも、無理はしないように。店は大事だけど、マリーの方が当然大切で」

「あーはいはい大丈夫です。何があろうと、なんとかしてみせます!」

 このジト目とも、しばらくはお別れだ。

 いや、こんな目で見られるのが日常ではおかしいのだが…。実際そうなんだし、少しさびしく感じるのだから、仕方がない。

 さて、いつも通りなら、そろそろ来る頃だ。

「あ、お兄さん来ましたよ」

「うん…」

 やって来たのは、丸猫屋の仕入れ先筆頭、騎竜便のおじさんだ。今日はうちの入荷日でもある。

 俺は、彼を待っていたのだ。

「いつもお疲れ様です。今日は、よろしくお願いします」

「はあ…。まあ、なぜか許可も下りたし、私は構わないんだけどね。あまり無理言わないでくれよ」

「そうですよお兄さん。道中暴走しないでくださいね」

「マリー本当、俺の事どう思ってるの…」

 さすがに、他人に迷惑かけない程度の自制心はあるぞ…?


 俺は、この丸猫屋のチェーン展開へ向けて、許可証が必要だ。そこで、王都に行く必要がある。

 そこまでの足をどうするかと、方々へ当たってみた結果、意外なところでそれを得ることが出来た。

 なんと、この騎竜便…王都からのものだと言うのだ。

 初めて知った時は、当然驚いた。

 実は、石の町に言った時、騎竜便なるものが無かったので、どこから来ているのかは気になっていたのだ。それを確認してみたところ、判明したという訳である。

 そうなると次に、王都は意外と、村から近いのではないかと思った。

 しかし、それは違うらしい。

 この地竜の脚をもってしても、7日はかかる道のりだと言う。これを遠いとみるか、近いとみるか。

 ただ、普段の様子を見るにこの地竜、かなりの速度で走っている。

 しっかりとした距離はわからないが、とても歩いて行ける距離では無いだろう。

 それに加えて、王都でやる事もあるのだから、かなり長期の旅になるのは明白だ。

 ますます、この世界の商売、流通の現在が謎を帯びてきた。


 この騎竜便は半月に一度。

 おそらく、帰って来れるのは最短でひと月後だ。

 というか…この計算だと、この騎竜便のおじさん、休みが無いな…。

 とてつもなく大変な仕事をしている。初めて会った時、あくどい商売しているかもしれないとか思って、申し訳なかった。

「じゃあマリー、荷卸しも終わったし、行ってくるから」

「はい。…あの」

「うん?」

 マリーが、躊躇う仕草を見せつつ、小指を差し出してくる。

「うん?じゃないですよ。お兄さんが言ってた指切りです。絶対、無事に帰ってきてください」

「指切りは、安易にしちゃいけないって言ってなかった…?」

「そっそれは…その通りですけど…。い、今は私が良いと言ってるんですから、色々気にせずすればいいんです!」

「そ、そう…うん。じゃあ、約束。ちゃんと帰ってくるから」

「それで良いんですよ…」

「そっちも、しっかり頑張って」

 俺とマリーは、久しぶりに指切りをする。

 お互いに、しばらく離れていても、ちゃんとやっていくと誓う。

 にしてもマリーは、ちゃんと帰って来るかって部分ばかり心配してるな。

 俺としては、帰ってこれるかよりも、許可証を手にすることが出来るか。こっちの方が心配だ。

 俺よりもソウさんの方が強いけど、さすがに行ってもらう訳にもいかない。何よりこの村の皆の柱であるソウさんを、離れさせてしまうのは悪手だ。

 アンシアは論外だし、ローナは…こちらも一人で行かせてもな…。

 俺もずっと、訓練は続けてきた。これで駄目なら、今回は下見だったと割り切ろう。


 俺は地竜に乗せて貰い、出発の準備を整える。

 どっしりとしていて、俺が乗ってもびくともしない。まあ、重い荷物を運んできてくれてるんだし、当然か。

「出発しますよ」

「はい。お願いします! マリー、アンシア達によろしく」

「あー…はい。いってらっしゃい。本当、色々気を付けて」

 なんだろう…? なぜか歯切れが悪いけど。

「行ってきます。本当に大丈夫?」

「もう、大丈夫ですから、そっちこそしっかりして下さいね」

「はいはい」

 まあ、大丈夫そうか。ここは、マリーの事を信じよう。

 出会ってからこれまで、たくさん頑張って来たんだから。


 ついに、まだ見ぬ土地へと進み始める。

 力強い地竜の走りに、胸が躍ってしまう。

 なんだか久しぶりに、異世界ファンタジーを体験してる感じだ。

 いつの日か、俺も自分が、元の世界では考えられない何かを出来るように…なるといいなあ。

「…いけない。まずは、現実を見るのが先だ」

 今回は、自分のペースでの旅では無い。道中の寄り道などは無理だろう。

 世界の状況を見て回りたいところだが、仕方がない。


 俺は少々興奮しつつ、一つ先へと進み始めた。

 とにかく目指すは王都…楽しみだ!




「………っ」


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