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いざ、自分達の挑戦へ

 皆様ご無沙汰しております。

 先日一度クラッシュしたと言っていたPCが、持ち直した…と思いきや、今度はバチバチと音を発し始め、キーボードに手を置いていると、しびれや吐き気が出てくるらいずです。

 うじうじしてないで、買い替えないと…危険かもしれないですね。

 少々間を頂きましたが、またガシガシ書いていこうと思います。

 よろしくお願いします!

 今日も変わらず夢を見る。


 最近、何があったのか、カインの繰り出す技が変わった。今までよりも、相手を押せているように見える。

 使っているエネルギーのような何かは変わっていないのだが、その繰り出す形が変わったのだ。

 上手く、未来を変えるレベルの事をやり遂げたらしい。

 向こうも頑張っているみたいだ。

 しかし、だからこそ際立つ。

 カインの身体は、未だ健康とは言い難かった。カインへと集まる光も、多少増えたと言う程度だ。

 多少なりとも変化があったとも言えるが、これはカインの頑張りによるものかもしれないし、そうでは無いかもしれない。俺の王都での活動のおかげと言う事もあり得るし、まだ見ぬ味方のおかげかもしれない。

 そして今日もカインは、暗い塊に飲み込まれていった…。


 まだ、全然足りていない。

 色々とやってきたし、例えばこの村だけに限れば、大きな変化も与えていると思う。

 しかし、この国や世界と言う規模で考えれば、所詮小さなものだ。


 俺は…まだまだ世界を変えていかないといけないんだ。




 とんだ里帰りから数日。

 俺は現状の確認をしながら、次のステップへ向けて準備を進めていた。

「なるほどね…。これが、あの女王様の言ってた注意すべき事か」

 もしくは、そのうちの一つに過ぎないのかもしれないが。

 場所は店の救護室。俺とイエローは、先日の件とこれからについて、話をしていた。

「そう…。ごめんね言えなくて。でもこんな事、どこかから漏れたら一大事だからね」

 そりゃあそうだ。

 ただでさえ魔物と言う驚異によって、国中が暗いと言うのに、あんな得体のしれないものが、突然現れる可能性があるなんて、広まったら大騒ぎだろう。

「大丈夫だよ。話せなくて当然だ。…でも、それも予想とは違ってしまったんだよな」

「うん…。あたしたちの想定していた通りなら、あのよくわからない奴…あれはまだ現れないはずだった」

「でも、ああして俺達は遭遇してしまった」

「うん。だからもう、飛竜に手紙を乗せて、王都には報告してある」

「そうして、何か打てる手があるの?」

「一応ね。まだ準備段階だったけど…そうも言っていられない」

「それで、どのくらいでその対策は打てる? 俺達だって、あの時偶然イエローが到着しなければ、危なかった。他の人里にあれが現れたら、多分最悪…」

 死人が出てもおかしくない。

 あの、夢の中のカインみたいに…。

「そんなに時間はかからないと思う。不完全になっちゃうけど…。内容については、どうせすぐわかるから、国からの開示を待ってて。あたしが言えるのは…複数の町や村での商売の自由化、あれも早くなると思う」

「それは…」

 商売の自由化。

 この国の発展の為、物流の正常化の為に、俺が一刻も早くとお願いしていた件だ。

 しかし、国から出てくる時点では、まだ半年ほどは待ってほしいと言われていた。

「なるほど、その対策絡みで、こんなおかしな状況を、今も国の力で無理やり続けてるんだね」

「正直、国のお金にも限界はあるからね…。この前も、大きな怪我をした人は居なかったし、このまま何事も無ければ、逆に良かった部分もあるかな」

「本当、あの時はどうなる事かと思った…」

「本当だよ。いきなり翔君達が戦い初めて、その相手が例のあれだって気付いて…。もしこれで間に合わなかったら、あたし自分が絶対許せなかった」

「いやいや。間に合わなくったって、イエローのせいじゃないでしょ? 本当、ちょうど追いついてくれて良かったよ」

「…うん」

「…」

「…」

 なんだろうか今の間は?

 思い返してみると、俺が村に着いてすぐ、イエローがちょうど追いついたのは一回じゃない。最初に王都へ連れ去られた時もそうだった。

 地竜と飛竜じゃ速度が違うし、追いつかれるのは当たり前として、タイミングが同じなのは…偶然か?

「…もしかして、狙ってた?」

「な、何をかなー?」

「登場のタイミング」

「まっさかー………って笑えると良かったんだけどね。本当に今は後悔してる」

「い、いやごめん。そんな追い詰めるつもりは無いんだけど…」

「ぜ、前回は本当に偶然だったんだよ? 急いでたし…。でも今回は、山に入る前くらいには捉えてて…でもどうせなら、また村へ降り立って驚かせたいなーとかね? こう…まただ!?って感じで…」

 まあ、今回は俺の監視って事で来たらしいし、それならどこで合流しても、そんなに変わらないもんな。

「全然気づかなかった…」

「だから…本当に何事も無くて良かったよ」

「でも、どうやってこっちを捕捉してたの? 結構高いところを飛んでたとか?」

「飛竜じゃ、それほど高いところは飛べないよ。距離が結構あったからね」

「よく見えたね」

「そこはまあ…魔術でちょちょいと」

「…魔術で?」

 この世界の魔術は、何と言うか、かなりシンプルだ。

 火だったり土だったりの元素魔術に、そのまま魔力を運用する身体強化がほとんどで、それ以外なんて見たことが無い。

 しいて言えば、研究所でやってた魔術研究が例外に当たる。

 でもそれ以外で、そういった特殊な魔術は見た事が無かった。

「…やっぱりイエロー、只者じゃないよね?」

「そうかなー? あたしの周りには、こういう魔術使う人は結構いるよ?」

 しらばっくれているけど、むしろ周りにも使える人が居るってところが、すでに只者じゃない。

 村の皆を始め、砦で稽古をつけて貰った時も、王都で知り合った人達も、そんな特殊な魔術を使う人は居なかったんだ。

 研究所のあれは、たった今研究中の、術式を物体に付与する特別な技術らしいし、それを素で使える人なんて見た事が無い。

「…まあ、わかったよ。とにかく、これからもよろしく」

「……うんっ。よろしくね!」

 話もひと段落した時だ。

 イエローの視線が、なぜかドアの方へ向いていた。

 なんだ…?

「あーでも…翔君、ああいうのは無しだよ?」

「ああいうの…?」

「ほらこの前。あたしの着替え覗いたでしょ」

「だからそれはわざとじゃ…いや、気を付けるけど」

 急にどうしたのだろう。

 イエローはこういう事、何度も引き合いに出すタイプじゃないと思っていた。前にこういう話題は苦手だって言ってたし。

 何か理由があるのか?

「いやー…翔君には、初めてを奪われてばっかりだよ」

「え、いやちょっと、何の話」

「ねー? 初めて会った時に、一晩過ごしたのもそうだし、つい最近もー」

 何の前触れも無く、音を立ててドアが開いた。

 俺はビクリと跳ね、その方向を向いた。正直、この時点で予感はしていた。

「お兄さん…?」

「マリー…さん、聞いてたんですね。仕事中では?」

 そこには、にっこりと笑顔を浮かべたマリーが居た。少なくとも、見た目上はそう見える彼女が。

 しかし、圧力がすごい。

 つい最近とは何のことですかまさか本当に王都に居る間そこに居るイエローさんや他の人と―――。

 こんな事を考えているんだろうなあ…。俺はそう感じていた。

 帰って来た時、俺がマリーに感じた大人っぽさはどこへやら。

 懐かしい…でも、少し違って感じる……?

「お兄さん、そんな事は良いんです。それで、どうなんですか? 私としては、色々と聞きたい事はあるんですよ? ええ、それはもう、色々です」

「いやいや、何も無いから…!」

 なんだろうか。この浮気性の夫とその妻のような会話は…っていやいや違う!

 マリーはそういう対象じゃなくて…。

「なにも無い事も無いよーマリーちゃん?」

 ここへまだ燃料を投下するんですか。

「イエローさん、とにかくお話は終わったんですよね? でしたら仕事へ戻りましょう。これからうちで働く以上、早く覚えて貰わないと困りますよ?」

「大丈夫大丈夫。もうほとんど覚えてるし!」

 そうなのだ。

 イエローは、俺達の監視と言う名目で付いてきた。

 でも、ただ居るだけでは暇すぎると言う事で、それならとお店を手伝ってもらう事になった。

 例の…不本意ながら俺が覗いてしまった件も、そういう流れから、イエローが制服の試着をしていて起きた事だ。

「それより…本当はさっきの話が気になるんじゃないの?」

「…いいえ気になりませんよ? ええ気になりません。私だって? お兄さんには色々と初めてをその…ですし?」

「…へぇー?」

 イエローから、そうなのかと言いたげな視線が向けられる。

 いや、断じて違うぞ。後ろめたい事なんて無いぞ多分。

「…二人とも、そろそろこの話は終わり。仕事に戻っ」

「いいからいいから」「少し黙っててください」

 ここは威厳を見せつつ強く言えば、ひとまず収まる。ついさっきまではそう思ってました。

 それにしたって、仕事には戻るべきだろ…。

 そう思い、もうこのままこっそりと、自分は仕事場に戻ってしまおうとした時だった。

 いつから見ていたのか、アンシアとローナまで、ドアの外からこちらを覗いていた。

「わたしは…翔さんと……寝ました」

 そして、燃料どころでは無い大型爆弾が落とされた。

 いいいいいやいや、いつも通りアンシアの声は小さかった。今も言い合いしているマリー達には、聞こえていないかもしれないきっとそう―――。

「お・兄・さ・ん?」

「翔君…ちゃんと、別々に部屋は用意してたよね?」

「いや、確かにこれは本当の事…だけど理由があってね」

 アンシアの事を想っての事だし、決して変な意味では無いし。

「皆いいねぇ。うちは、初めてのプロポーズを奪われたくらいかなー?」

「そ、それくらい私だってそうですから!」

「わ…わたしも」

「ええ!? 何それあたしだけ仲間外れ!!? ……というか、翔君ってそういう」

「それも誤解だから! と言うか、全部仕事の後にしようってば!」

 ついこの前、命の危険にさらされたとは思えない。

 そんな姦しい丸猫屋は、今日も元気に営業中だ。

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