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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

眠る

作者: 語り手

 眠るのは好きだ。一生眠っていたい。でも、起きたら友人や面白いテレビがあるからそこまでずっと眠っていたいわけじゃない。


「ねぇ、私も一緒に眠っていい?」


 黒いワンピースを着た少女が話しかけてくる。歳が若い子特有の死にたがりでも起こしたんだろうか?


「私ね、死にたいわけじゃないの。貴方と眠っていたいの」


 確かに自分は今から眠るが、少女を引き連れて眠るような真似はしたくない。


「貴方って不思議な考え方をするのね」


 少女は心底面白そうに笑っている。何か可笑しいことでも言っただろうか? それにこんな自分と一緒に寝ても楽しくないだろう。


「私は貴方と一緒がいいのよ。貴方みたいに自分の心の傷が見えない人は中々居ないわ」


 心の傷? 自分は図太く生きてるから、そういうこととは無縁だ。傷なんて入ってるわけがない。むしろ心なんて無いんじゃないのかってくらい他人には無関心だ。


「じゃぁその腕のリスカ痕何? お腹の刺し傷何? 首筋の縄の痕何?」


 自分の体を見ると確かに、首には縄の痕。腹に刺傷。手首から肩にかけてリスカ痕。中々悲惨だな。少女はこんな体を見て嫌がらないのか?


「本当に貴方って優しいのね。他人に無関心なんて嘘だわ」


 優しいなんて言われたことがない。何だか照れる。


「…ねぇ」


 少女が話しかけてくる。その顔は思いつめたようだ。悩みか? 死にたがりもやめたのか?


「やめようよ。ずっと寝てるなんてきっと楽しくない。起きてて楽しいことがいっぱいあるからさ」


 自殺志願者を止めるようなことを言うな。自分は自殺なんかしないぞ。ただ、眠るだけだ。


「またね、今度はちゃんと起きてもらうから」


 バイバイ、と手を振って少女は消えた。何だったんだろう?自分は、起きてる。ちゃんと、目を開けてる。体は痛い傷でいっぱいだけど、痛みも感じない。ただちょっと眠るだけ。ちょっとだけ……

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