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#25 何がなんだか……こいつ、誰なんだ!

 すっかり日が沈んでしまって、すでに王都の城門は閉められていた。けっこう体力が限界で、このまま野宿はツライ。座り込んでため息をつくオレに、ブランカは缶詰を開けて差し出してくれる。優しいなあ、ブランカ。


「ねえ、ハヤ。これくらいの壁なら私、壊せるよ?」


 ありがとう、プレーナ。でも、そんなことしたら捕まっちゃうからね。


「ハヤ、寒くない?」


「今は大丈夫だけど」


 夜になればさらに冷え込むだろうし、ちょっと心配。


 ブランカはオレの隣に座って、そっともたれかかってきた。少し、温かい。また、情報量がいっぱいになってきてるのかな。


 壁をゴンゴン殴ってたプレーナが、ブランカの真似して反対側に座って身体をくっつけてきた。冷たっ! ちょ、せっかく温まってきたのに!


 でも、オレから奪った熱でほんのり表面の温度が上がって、結局オレは美少女二人に挟まれてぬくぬくする超幸せな状況になったのだ。


 疲れのせいもあってウトウトしていたら、いきなり門が開いた。がしゃがしゃと音を立てて兵士たちが出てきて、オレ達を取り囲む。オレは驚いて飛び起きて、ブランカとプレーナはオレをかばうように身構えた。


「見つけたぞ、プレーナ!」


「え?」


 叫んだ男が手を突き出すと、大きな光の輪が現れてプレーナを捕らえた。


「きゃ! いや、はなして!」


「離さないよ! ずっと探してたんだ。研究所が破壊されて、君は行方不明で……どれほど心配したか……!」


 男は嫌がるプレーナを抱きしめて、ヒビだらけになった顔を撫でる。手が光ったかと思うと、顔は元どおりきれいに治った。


「ありがとう。君がプレーナを見つけてくれたんだね」


 男はにこにこ笑ってオレの方に近付いてくる。何がなんだか……こいつ、誰なんだ?


 プレーナは腕を振りほどこうともがいてるけど、全然はずれそうにない。プレーナが本気出してないのか、こいつが馬鹿力なのか。


「ちょっと! はなしなさいよ、オシャ・レイ!」


 あれ? 顔見知り?


「あは、照れないで、プレーナ。ああ、ごめん。私はオシャ・レイ。この国の王だよ」


 この軽そうなやつが国王? あ、たしかに王冠かぶってる。ってことは、こいつの娘のために、プレーナは……なんか、思ってたのと雰囲気違うな。


「さあ、入って。お礼をしなければ。そちらのお嬢さんも人形ドール? ああ、博士のオリジナルだね。会えてうれしいよ」


 まずい、ブランカも実験材料にするつもりか! このまま街に入ったら、ブランカ達が不老不死の研究に使われてしまう!


 だけど、相手は剣とか槍とか持った本格的な兵士だし、国王は魔法を使うみたいだし、逃げるのも戦うのも無理だ。


「……おとなしく従いましょう」


 ブランカがそっと耳打ちする。きっと、ブランカ一人なら逃げ切れるんだけど、オレがいるからだ。


 オレ達は国王が用意していた馬車に乗り込んだ。


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