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#24 オレはただ、ブランカに笑っていてほしいだけ!

「ブランカがいてもいなくても、オレは君のことは好きにならない。だって、好きになる要素がないもん。ああ、でも、動けなくなったブランカを助けてくれたことは感謝してる。そうだ、ブランカと仲良くしてくれたら、オレは少し君を好きになるかもしれない」


 ブランカは迷惑そうに顔をしかめてるけど。でも、本当だよ、姉妹みたいに仲良くしてくれたら、大事な妹くらいには思えるよ。


 意味が理解できないのか、プレーナはじっとオレの顔を見つめたまま固まってる。


「……無理よ。私、ハヤのことが好きだもん。なのに、他のひとを好きになるなんて無理」


「え、なんで? 好きって、一つだけじゃないよ? オレのことも、ブランカのことも、他のひとのことも好きになればいいじゃん。好きになって、優しくしてあげたら、そのひとはきっとプレーナのことを好きになってくれるよ?」


 ねえ? ってブランカに同意を求めたら、ぷいっとそっぽ向かれた。そこはうなずいてよー。


 でも、これ以上の争いは無用とわかってくれたみたいで、不機嫌そうな顔のまま道化人形を片付けた。


「プレーナ、君の設計図をもとに、ブランカの心の容量を大きくすることはできないかな」


 王立の研究所なら、設計図とか別で保管してたんじゃないかな。それを扱える技術者がいるのかが問題だけど、可能性があるなら賭けてみたい。


「二人がそれぞれ心を持てば、取り合うことないし。ブランカも動けなくなる心配ないし」


「ダメよ。忘れたの? 私は研究所を破壊したのよ。関係者に見つかったら、捕まってどうなるか……」


「じゃあ、その顔はどこで治すつもりだったの? 知り合いに腕のいい技師がいるなら紹介してよ。設計図はオレが探すから」


 だけど、プレーナはイヤだと首を振る。いい考えだと思ったのに。


「ねえ、研究所のやつらには関わらないで。きっとあいつら、ブランカをいい実験材料だって思うんだから」


「実験? なんの?」


「不老不死よ」


 ……なんだか話が大きくなってきたぞ。そういう研究をしていたわけ? じゃあ、お姫様も実験に使われるところだったのか。気分が悪いな。


「……あなたの仕組みを見せてくれたら、自分でやるわ」


「そんなことできるんだ?」


「わからないけれど、創造主マスターから人形作りの知識は受け継いでるもの」


 なんかそれって、医者が自分の心臓を自分で手術するみたいで怖いんだけど。オレもがんばって勉強して、サポートくらいできないかな。


「あんたに身体の中を見せろって? イヤよ、冗談じゃないわ」


「機能を停止させたり、無理に記憶を取り返したりはしないから」


 うん、そんなこと考えてもみなかったし、やめてね。ほら、プレーナが怯えてる。仲良くしてよ……


「あなたがハヤや他の人間たちに迷惑をかけないなら、私はあなたに攻撃するつもりはないの。情報は返してほしいけど、今の私では受け入れられないから仕方ないわ」


「本当に?」


「同じ人形ドールならわかるでしょう? 私たちは、嘘がつけない」


 ブランカはオレに向けるのと同じ笑顔を見せた。プレーナの顔がぱっと輝く。ああ、いいね、美少女二人が少し照れながらほほ笑んでる。幸せすぎる。


「ねえ、ハヤ。早く王都に行こう。私の秘密の工房に連れてってあげる。そこでブランカを改良しよう」


 無邪気に笑ってオレの手を引くプレーナは、いかにも妹キャラって感じで憎めない。静かに後ろを歩くブランカの方を振り返ると、仕方ないとばかりに小さく肩をすくめた。


「ハヤ、ありがとう」


 え、なになに、急に改まって。オレはただ、ブランカに笑っていてほしいだけ。容量が大きくなったら、またデートしてたくさん幸せを教えてあげたいんだ。


 プレーナが走り出そうとするから、オレはブランカの手をとって自分の方に引き寄せた。



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