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超短編

朝の一コマだ。

作者: しおん

タイトルどおりの作品です、よろしければどうぞ。


早朝、僕の家は騒音につつまれる。


(るい)、起きなさい」


いつも通りの母親の台詞と共に、ドタバタと激しい足音。どうやら今日はおまけ付きなようだ。


だだだだだっと駆けてくるのは、恐らく5つ下の弟の正樹(まさき)

今日はというのは、普段は正樹の方が遅く起きるため足音はしないからである。


「るいにーちゃーん、あっさでっすよー」


陽気な口調で起こされても起きる気が失せるだけで効果はない。言ってしまえば逆効果である。


「るいにーちゃん、起きて~」


手で僕の体を一生懸命揺すっているようだが残念な事にこれまた逆効果。


可愛い盛りの正樹の力では僕にダメージを与える事はできない。五つ下だといったが、僕が15で正樹が10、この差はとても大きいものである。


「るいにーちゃん、朝ごはんだから起きて」


手で揺するのに疲れたのか今度は頭をグリグリと押し付けてきたのだが、これも所詮は布団越し。直にされたのなら多少のダメージがあるはずだが、ふかふかの布団に遮られて本来の効果が発揮される事はなかった。

ただ、僕もそろそろ起きなくては学校に遅刻してしまうため思いまぶたを持ち上げる。


「るいにーちゃん起きた?」


楽しそうに笑っている正樹に怒りを覚えるが、ここは兄としてスルーしてやろう。動きたくないと文句をいう体を無理矢理動かし、僕は階下を目指す。スープしかまだ並んでいない食卓を目にし、もう少し寝ていれば良かったかと後悔しつつも僕はテーブルについた。

大概この時間には朝食の準備は済まされていて、母親と正樹と朝食をとっているのだが今日は遅い。何時の間にかとなりに座っていた正樹もお腹が空いているのかスープとにらめっこをしている。


「るいにーちゃん、先にスープ食べていいかな?」


眺めていたことで更にお腹が空いてしまったのか、正樹の腹の虫が泣き出した。食べたい気持ちはよくわかるが、まだ朝ごはんの支度はすんでいないのだ。


「ダメ」


面倒な事になるのだ、我が家では。

母親と父親と俺たち兄弟が揃って食事を取るという決まりが我が家にはあり、それを破ると朝食は消失。つまり朝飯抜きという育ち盛りにはとてつもなき苦行が待ち受けている。るいにーちゃんと、正樹がすがってこようが僕は自分の命が大事だ。ダメというあの言葉を覆すつもりはない。今はただ耐えるのだ、正樹。


今日の朝食はフレンチトーストである。


「類、正樹、おはよう」


うまそうだと涎を垂らしそうになっている僕たちに声をかけたのは我が家の大黒柱である父親。やっと朝食だ、手を合わせて言う事など一つしかない。


「いただきまーす」


スープもフレンチトーストも美味しかった。だがしかし、他に問題はあった。食べ始めたのが遅かったのだから、食べ終わるのも必然的に遅くなってしまった。


「大変だっ、遅刻!!」


靴を履いて家を駆け出す僕の背中に、母親は呑気にいってらっしゃいと口にした。




読んでくださり、ありがとうございます。


しりとりになっていたのですが、気づきましたでしょうか?


んではなく、たで終わってしまいましたが…。

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