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DiffErenCeScapE  作者: 有紗
第1章
9/11

2-6

まさかのアップしてなかった

先月にはできていて、アップしてなかった内容薄い話です

 途中、念のための資金調達、つまり何体かのモンスター退治した後、ヤルセという街に到着する。

 街の露店を見て回り、市場価格なるものを調べることにした一行は、一通り見終わったあと、黙って裏通りに入る。

「見た?」

「見た」

「見たわ」

「見たな」

「どうする?」

「どうもしない」

「どうもしないわ」

「どうもしないな」

「ふむ」

「まあ、いいじゃない。物価が十分の一だったら、今のままでも十分に暮らせるわ」

「……取り合えず、」

「「「取り合えず?」」」

「先に宿を取ろう」

「ふむ」

「あら、宿のこと忘れてたわ」

「同じく」

「同じく。どこがいいか聞いてこようよ」

「どこで?」

「…冒険者ギルド?」

「そうだな。妥当だ」

 結論からいうと、昔に比べ今の物価は下がっているらしい。

 それに加え、今までなかった、鉄貨というものが現れたらしい。

 銅貨の百分の一の価値があるそうだ。


 閑話休題。

 資金に関しては何ら問題なくなったのでー勿論貨幣は同じものだと確認済み。どうやら昔の貨幣の方が信用度が高いらしいー少しばかり値の張る宿を一人一部屋取った。

 連れで一人一部屋なのが余程珍しいのか、宿の者は訝しげな表情を見せたが、母のキラキラな笑顔と話術で今ではすっかり仲良しになっている。

「ふふっ、素敵ねー」

 自分の部屋を見て回った四人は、誰となしにディガンマの部屋に集まった。

 中々雰囲気の良い宿に、ラムダやファイは満足そうに笑う。

 レンガ製の壁に、青や白、クリーム色、ベージュなどの落ち着いた色合いの布がかかっている。

 天蓋付きベッドも深い青や藍色をしていて、女性陣、特にファイの好みにあっていた。

 ベッドに腰を下ろしたり、イスに座ったりしながらリラックスする。

「では、第五回家族会議をはじめます。議題は『今後の予定』です」

「はいはーいっエルフの森に行きたい!」

「もーファイちゃんったら、せっかちねぇ」

「挙手、指名は基本だろ」

「ごめーん」

「ズズ…」

 ラムダの号令で始まり、一連の流れを何時も通りだと思いながら、ディガンマは緑茶を啜る。

 茶葉をアイテムボックスに入れておいて良かったと、心の底から思った。

 落ち着く。

 全員からの視線を受け、仕方なく口を開く。

「ファイ」

「はーいっ。えっとね、さっき冒険者ギルドの掲示板に


『エルフの森―ソングラードの調査

 ランクC:パーティー

 報酬:情報により変動

 1200B〜

 期限:依頼受理より三週間

     それを越える場合死亡判定を下す

  契約違反は罰金2000B     』


 ってあったんだよね。と言うわけで行こう!」



「ん?」

「いや、繋がらねーよ」

「……………ファイ、理由を」

 ディガンマは気づいたようだが、考えるのが苦手な二人は首を振り、理解できないとの意志表示をする。

 仕方ないなぁと呟いて、ファイは誇らしげに笑う。

「エルフなら、何かしらの情報を持ってるはずよ。それに、エルフの森に調査を向かわせるということは、エルフの森に異変があったこと間違いなし。あそこに異変が起きるだなんてよっぽどのことだよ。なんせ、900年の間、名称も位置も殆ど変わらずあるんだから。エルフの、森に対する執念は深い。一寸のことらなエルフたちで片してる」

 ひょいっと肩を竦めたファイは、お茶を口に含み続ける。

「もしかしたら、エルフはもういないかもね」

「それは、」

「逃げたんじゃなくて、滅んだ。そう考えるのが妥当だな」

 息を呑んだラムダを宥めるように、ピトリとファイがくっつく。

 ラムダの真っ青な顔と、困ったファイの顔がかち合う。

「まだそう決まった訳じゃないよ」

「うん、そうね。でも可能性は高いのでしょう?」

「まあ、ね。大体、エルフがいるのなら、エルフの森についてギルドが情報収集させることがおかしい。ギルドはエルフの森と連絡を取り合ってるはずだしね。さっき言ったエルフの情報っていうのは、エルフの持ってる本や日記に書いてあること。エルフ自身からは無理って分かってるし、ギルドからそう簡単に情報は得られないとも思ってる」

「おい、100%滅んだって思ってるって言ってるぞお前」

「100%じゃないよ、99%だよ」

 イスに腰掛けていたディガンマが、足を組み替えながら首を傾げる。

「多数決だ。行くか否か」

 一瞬の沈黙の後。

「行くだろ」

「行きます」

「行くよ、提案者だし」

「………決定か」

 やっと落ち着いたと思ったのに、と残念に思わなくもない。

 背もたれに首を預け、息を吐き、一同に顔を戻す。

「準備だ」

 待ってましたとばかりに、一斉に動き出した。



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