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DiffErenCeScapE  作者: 有紗
第1章
4/11

2-1

 ファイはポツンと一人、森の中にたっていた。

「どこよ、ここ」

 ここに至るまでを思い返してる。

 待ち合わせに来なかったラムダを探しに、街の中に引き返した。

 目撃証言を聞いて回りながら、彼女を探すこと30分。

 困惑顔の彼女を初めに見つけたのはファイで、手を振ったのだ。

 後ろから、スティグマとディガンマもやって来て、反応の無いラムダに3人で駆け寄った。

 けれど。

 そう、行き成りノイズが入ったのだ。

 驚いて、足を止めて。

 目の前が真っ暗になって。

「どうなってるの…」

 行き成り見知らぬ森に放置されれば、誰しもが呆然とするだろう。

 唖然と動かなくなったファイは暫くの間その場にたたずんでいた。

『おい、和泉。生きてるか』

『生きてるわよ、失礼ね!




 …優河!?』

『遅い遅い』

 スキル《テレパシー》で話しかけられたファイは、聞きなれた声に反射的に噛みつき、少しして辺りを見回しながら声を上げる。

『ねえ、今どこにいるの?そっちは無事?お父さんとお母さんは?』

『落ち着け。こっちは無事、母さんも無事、今べそかいてる。父さんは知らん。お前、今どこにいる?』

『森』

『いや、座標を聞いてんだけど』

『あ、そうね、えっと…N4(3621,3276)よ』

『OK.すぐ行く、動くなよ』

 通信が切れて、辺りは静かになる。

 最も、スティグマの声は脳内に響いていただけで、ずっと辺りは静かだったのだが。

「少しくらい、動いてもいいよね」

 動くなと言われたのだが。

 地図を見ると、今ファイがいるのはそれなりの広さの森の中。

 そして、街道が側にあるのを見つける。

 この辺りに中々の要所があるのか、街道の幅はかなりある。

 木が疎ましいが、のんびり歩くのも疲れるので、スキル《駿足》で街道まで一気に駆け抜ける。

 何度かぶつかりそうになりながらも、ギリギリで避ける。

 森を抜けたファイは、軽く、本当に軽く驚く。

 あれ?

 なんか、やけに街道広くない?

 地図を見たときも思ったのだが、この街道、不自然過ぎるくらいの広さがある。

 昔、小さな村があり、家が建ち並んでいたと言われれば、納得するくらい。

 辺りを見回し、観察していたファイの耳に、早馬の足音が聞こえてくる。

「《隠形(おんぎょう)》」

 直ぐ様スキルで身を隠し、馬が来るのを待つ。

 しかし、背後で草の擦れ合う音がし、

「っ!!」

「ファイか?」

 慌てて振り返ったファイに声をかけたのは、

「な、何だ。お父さんか」

 ディガンマだった。

 このスキルは、プレイヤーには直ぐに分かるようになっているのだ。

 そして、ディガンマも蹄の音が聞こえたのか、ファイと同じく《隠形》する。

 南から駆けてきたのは、赤と黄色の鎧を身に纏う、騎士であろう男が通りすぎて行く。

「…お父さん」

 見送った後暫くして、ファイが渋面をディガンマへ向ける。

「…どうした」

「今の家紋、見たことある?」

「家紋?」

 現実の家紋を知るはずがないため、ゲーム内の家紋を思い浮かべてみるが。

「全ては覚えていないが、思い出せる中にあの家紋はないな」

「そう、やっぱり。私、各国の紋章院(カレッジ・オブ・アームズ)を見て回ったんだけどね」

「全部か?」

「うん。まあ、許可貰ったり貰わなかったりしたけど」

 つまり、忍び込んだりしたのだろう。

 ゲーム内に大陸は一つしかなく、島すら存在しないのだ。

 不可能ではない、不可能ではないのだが。

 変なところに情熱を掛ける。

 ディガンマは内心呆れながら続きを促す。

 何となく、予想はつくが。

「うん、でね。見たこと無いわけ、あの家紋」

 やはり。

 記憶力には自信のあるファイの記憶に無い家紋。

 先ほどのおかしな現象。

 見覚えの無い景色。

 それでも似たような大陸の形。

「…取り合えず、二人を待とう」

 考え込み出したファイの意識を引っ張り上げる。

 渋面がハッと我に返る。

「ん、そだね」

 考えても仕方がない。

 気を取り直したファイの頭に、ディガンマはポンと手を乗せた。



そして髪をグシャグシャにする( -`ω-)✧

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