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DiffErenCeScapE  作者: 有紗
プロローグ
1/11

1-1

取り合えず一話のせます

お待たせして申し訳ありません

 日本某所。

 とあるマンションの一室で、二人の男女がパソコンに顔を突き合わせていた。

「岡村くんが言ってたって、ホントにやるわけ?あの岡村くんよ?大丈夫なの?」

「お前な、岡村になんか因縁でもあんのかよ。あいつ性格悪いけど根は良いやつだし、流石に変なのは教えないだろ」

 和泉いずみは眉間にシワをよせ、

「別に悪い人だとは思ってないよ。でも、岡村くんって、一風変わってるじゃない。しかも、携帯常備って…何なのよ」

「だーかーらー、クイズに正解しなきゃヘッドに繋げれねーんだってば。俺が問題読むから、お前が検索して答えを教える。OK?」

 優河ゆうがはそういうと、ベッドの上に置いてある、二つのヘッドをみる。


 十三年前に発売され、瞬く間に普及されたバーチャル・リアリティー・オンラインゲームの必需品。

 あのヘッドが無ければバーチャル・リアリティー空間に行くことができない。


 因みに一年前、ヘッドの第三作が発売され、パソコンからソフトをダウンロードせず、ソフトを直接ヘッドに差し込めれるようになった。

 しかし、あまりにも多くの人に第一作が普及し、パソコンとヘッドを繋げなくてもよい第二作や、第三作はなかなか普及しない。

 もちろん、優河も和泉も第一作派だ。


 二人はそのバーチャル・リアリティー・オンラインゲームを漁るのが好きだ。

 優河は特に、習い事が無いときはほとんどゲームの世界に没頭している。

 二人に『DiffErenCeScapE』を紹介した岡村も、廃人並だ。

 それは勉学にも影響を受けており、みごと岡村は受験に失敗した。

 最近は自重しているらしい。


 そしてその、優河の現クラスメート兼和泉の中三時クラスメートの岡村が紹介した第一作、第二作対応ゲームは、何かしらのクイズに正解してからヘッドを繋ぎダウンロードできる手筈になっている。

 クイズといっても、一般人が調べても直ぐに分かる程度だ。

 しかしそれでも、和泉の精度の良い女のカンが先ほどから煩い。

 優河を止めろと言っているのだ。

「でも!…なんか、嫌な予感がする」

「不吉なこと言うなって。大丈夫だよ」

「う、うん…」

 恐る恐る頷く和泉の頭をポンポンと軽く叩き、

「うし、んじゃ行くぞ!」

「OK!」


「第一問、三位一体論を唱えた西方キリスト教会最大と言われる教父は?」

「アウグスティヌスね。この間倫理で習ったわ」

「第二問、古代エジプトの天空神ヌートの夫ゲブは何神?」

「大地神。先生が雑談で言ってたわ」

「第三問、ペスト菌のおよその大きさは?」

「確か1nmだった。うん、絶対そう」

…………

「第十問、モーツァルト毒殺容疑をかけられ、今だ謎が解けていない人物は?」

「サリエリ。アントニオ・サリエリ。最後で有名どころ来たわね」


「何なの、何なのお前。やだ、怖い」

「んなっ…!失礼ね!」

 結局、全問携帯を使う前に和泉が答えてしまい、優河は涙目で幼馴染みから距離をとる。

 和泉は一度優河に噛みつき、けれど、

「一発補助なし正解率0%…一発補助あり正解率13%…」

 攻略サイトの一ヶ所を指差す優河に何も返せない。

 在らぬ方へ視線をさ迷わせた後、

「偶々よ!」

 と言い張った。

 そして、和泉の異常さ以外、おかしなところはなかった。

 だからなのか、和泉も優河も嫌な予感についてすっかり忘れてしまった。


 こうして、文化祭の終わった5月下旬、二人の『DiffErenCeScapE』ライフは始まったのである。

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