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二日後、愛知県警から連絡があった。
大野はるかの同僚の女性がパトロンについて知っていることがあるらしい。
中津が待ち合わせ場所の喫茶店に行くと、25歳くらいの女性が座っていた。
「あなたは、亡くなられた大野さんの家に行ったときに、大野さんと付き合っていた男の顔を見られたそうですね。」
中津はその女性に向かって話しかけた。
「はい、そうです。その時は酔っていたので、間違っているところがあるかもしれませんが・・・」
「その男はどんな顔でしたか?」
「角張った顔の眉毛の濃い中年の男でした。」
「その男について、大野さんから何か聞いていませんか?」
「詳しいことは教えてくれませんでしたが、酔ったときにうっかりしゃべったのを聞いています。」
「どのような内容ですか?」
「『彼はえらい先生で、政治に関係している』と言っていました。私が聞いたのはこれだけです。」
中津は礼を言って、喫茶店を出た。




