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木梨と永沢の二人は、「こだま」を富士で降りてタクシーに乗り込み、富士川の河原に向かった。
有田と佐野もその後を追った。
木梨と永沢は東海道新幹線の撮影地として有名な富士川の河原に着くと、そこには大柄な若い男が立っていた。
「あんたが木梨さんかね。」
その男が木梨に訊いた。
「そうだ。それでお前は誰なんだ。」
男がトカレフを取り出して、銃口を木梨に向けた。
「これで分かるだろう?」
「撃たないでくれ。なぜ俺を殺す必要があるんだ?」
「ある人から頼まれていてね。恨まないでくれよ。」
男はうすら笑いを浮かべた。
木梨はとっさに逃げ出した。
富士川の河原に銃声が響いた瞬間、轟音を響かせ、新幹線が橋の上を通過していった。
木梨は足を撃たれて倒れた。
「待て!」
男は声のした方に振り向き、銃口をそちらに向けた。
そこには佐野が立っていた。