第3話
トナカイのレッドはそり引きの綱をつけたまま
首だけをサンタクロースへ向けて言った。
「今どき子供達みんな夢なんか持っちゃいない。
TVゲームがあればいいみたいだからね」
「そうだ、僕たちは最近じゃおもちゃ屋さんだ。
デパートの中の商品を配って歩くだけのペテン師だよ」
サンタクロースは、そりを降りようとします。
「レッド、もう僕達には行くところが無いんじゃないかな。
もうでたらめな事をするのはやめよう。」
サンタクロースは雲の平原を歩き出した。
「おい、どこへ行くんだい。熱くなっちゃいけないよ」
「もう僕たちの事を待っている子供なんていないよ」
星空の元、雲の平原の上でサンタクロースとトナカイの言い争いが続いた。
でも今夜はクリスマスの夜。
このままではプレゼントを配る前に朝が来てしまうに違いない。
トナカイのレッドは困りはてた。
そしてこの若いサンタクロースに言った
「この私の鼻で夢を探してみましょう。
このよく効く鼻で、サンタクロースがプレゼントを贈るに相応しい夢のある子供探してみましょう」
サンタクロースはレッドの鼻を信じてもう一度そりに乗ることにした。
レッドはくんくんと赤い鼻を揺らすと夢のにおいを嗅ぎ取っていた。
こんな事ができるのはトナカイの中でも赤い鼻を持つレッドの一族だけだった。
「こっちだね」
レッドは脱兎のごとく、いやトナカイだからこそしなやかに
雲の平原を蹴り、まるで丘を駆け下りるように走り出した。
そりを引いて、まさに夜空を南の方角に駆けたのだった。