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第1話
そこは寒い寒い世界。
白い白い雪で覆われた国。
真っ白な雪の平原を限りない方向に向けて進み、
現れた幾つもの雪の丘を越えて、その果てしない白光の彼方に
何も見えず。
しかし、その全ての境目の無くなった点から
連続とも不連続とも思える不思議な世界が始まる。
生でも死でもどちらでもない。
昼でも夜でもどちらでもない。
それらの関係するものから解き放たれて進み、
その先にあるのがサンタクロースの国だ。
これまで、何人かの勇敢な人間がその場所を探した。
だが誰も辿り着く事は無かった。
求めて辿り着かず、ただ夢の中に影を見せる国。
それがサンタクロースの国だ。
しかし、そこは間違いなくあるのだ。
そのサンタクロースの国から
1台のそりがトナカイに引かれて夜空に飛び上がった。
若き青年サンタクロースがそりを操った。
今日はクリスマス。
今夜はサンタクロースが夜空を舞う夜。
雪のような軌跡を描きつつ、そりが街に降りる。