アホか~!!
間が空いてすみませんm(_ _)m
短いですが続きをUPしました!
「可愛らしい光景の筈なのに…」
とある第三者がぽつりと呟いた言葉に、そこに居る当事者を除いた全員が胸の内で激しく同意した。
ちょこんと、という形容詞がまさにぴったりな姿で座っている幼児の頭はかろうじて机の上に出ており、足は床の遥か上にあった。
時折机の上に広げられた資料を、机の縁を小さな手で掴んで精一杯伸び上がって見ようとする仕草が見られ、小動物のような幼い姿は、大層愛らしい。
話しかけられると大きく丸い瞳でじぃっと見上げ、相手の保護欲をこれでもかと掻き立てる。
事実、リィナに目を止めた教師が説明を求め、ライトが説明している間じっとリィナに見上げられた教師やそれを見ていた周囲が頬を赤らめて狼狽えた。
それに気付いたライトが教師とそして男子のみに向けて笑顔で威圧してからは、視線は向けられても決して彼等に近づく猛者はいなかった。
その威圧をリィナに気づかれる事なく、けれどもリィナ以外には全て気付かれるように仕向ける辺り、流石、と言えなくもない。
とにかく幼女の姿は愛らしかった。
…彼女と椅子の間に居るものを視界に納めなければ。
いや。何も知らない人間が見たらそれ込みでも可愛らしい光景と捉えられる、だろう。
造作は良い方なのだから。
見るだけ、なら文句なく鑑賞出来るレベルなのだ。
愛らしい幼女を自らの膝の上に抱き上げ、とろけそうな程優しい笑みを浮かべる有望株な少年の姿は。
「リィ抱っこしてるとちょっと暑いね」
「子供体温なんだから仕方ないでしょう!っていうか放せば良いでしょ!?」
「丁度良いって言ってるんだよ。気温寒いし」
「人を暖房代わりにしないでよ!放せ!」
「昔は『ライト抱っこ』ってリィがねだってきたのに」
「子供の頃の話でしょうが!」
嫌がる幼女と、目を細めて嬉しそうにリィナを見ながら決して離さないライトのやり取りに、その場の全員が心の中で大きくため息をついた。
朝、ライトがリィナを子供抱っこして登場した時からずっと、二人は注目の的だった。
リィナが幼女の姿、というのもあるが何より注目を浴び続けるのはライトの態度だ。
学年も違うのにライトはリィナを自分の教室まで連れてきて膝上に座らせた。
以来片時も離さない。
そして件の会話。
注目するな、というのが無理な話だ。
「もぉ!いい加減離してよ!バカライト!」
癇癪を起こしたリィナの叫びに、ライトはにっこり笑って飄々(ひょうひょう)と返した。
「駄目だよ。こんな可愛いリィナから目を離したら怖いヒトサライに拐われちゃうからね」
「が、学院にヒトサライが出るかー!!」
アホか〜!と大激怒したリィナに大真面目な表情を向けてライトは言った。
「僕の可愛いリィナに触れようとする奴は全員ヒトサライだから付いていっちゃ駄目だよ?」
「誰がライトのよっ!そういう事は妹じゃなく彼女作って彼女にしてちょうだい!私を巻き込むな〜!!」
「何言ってるんだい。彼女がいたとしてもリィナ構うのは変わらないよ?」
「変わってよ!」
リィナの渾身のツッコミにその場のライト以外の全員が同調した。
本日何度目になるか考えるのも放棄した位繰り返された同調の瞬間だった。