魔が差しました。
同時投稿二個目です。
「ね。ライトと私、兄妹じゃないんだよ、って言ったら…信じる?」
ふ、と口からこぼしてしまった言葉に、どうして言ってしまったんだろう、とリィナはぼんやりと頭の片隅で他人事のように考えた。
「は?」
言われたフォルテは、珍しく。
本当に珍しく間抜けな声をあげ、口をぽかん、と開けたままリィナを見つめた。
純粋に驚きだけが浮かんだ表情に、リィナはくすり、と小さく笑いを漏らした。
その笑みに我に返ったフォルテは、慎重に喋り出した。
「冗談…ではなさそうだな。聞いても?」
「信じるの?素直すぎない!?」
「こんなことで冗談言うようなヤツではないだろう?」
「……ッ」
なんかすごいセリフ言われた気がする!?
リィナは反射で紅くなった頬を自覚して俯いた。
そのまま気を逸らすようにリィナはフォルテに問いかけた。
「ね?シーリンが私の前に顕れるのはどうしてだと思う?」
「…解らん」
「ライトから聞いてないんだ?」
「ああ。『どうしてだと思う?』と逆に問いかけられた」
フォルテの言葉にリィナはふうん、と頷いた。
「あいつは過保護…いやリィナに執着してると言っても過言じゃない」
「…う」
「知られたくないなら俺が見られる時にシーリンを近付けなければ良かった」
「うん」
フォルテは淡々と続け、リィナはそれに言葉少なに相づちを打った。
「けれどライトはそれをしなかった。そして俺が確信している事には回答した。が疑問には答えなかった」
だから考えている。
フォルテはそう締め括った。
「答え、知りたい?」
真っ直ぐに自分を見つめるフォルテを見つめ返しながらリィナは小さく問いかけた。
静かな、透明なのに深すぎて底の見えない湖面のような瞳に、フォルテは何かを言おうと開いた口を思い直したようにつぐんだ。
数秒無言で見つめあった後、フォルテは小さくため息をついた。
「知りたくないと言ったら嘘になる。…が、不思議だな。聞く気にならない」
「ありがとう」
フォルテの言葉にリィーナは柔らかな笑みを浮かべて小さくそう呟いた。