もうヤダ、恋愛って面倒くさい…
あはは。うふふ。
タダイマぴんちでございますよ〜
よくわかんないけど大ぴんち。
なにがどうしてこうなった?
責任者出てこい!きっちり説明しやがれ!
ダレか助けやがれ、こんちくしょう。
いやいやいけないわ、私。
女子としてあり得ない言葉遣いはいけないわぁ〜
「何か脳内会話してそうだけど逃がさないわよっ!さぁっキリキリ白状なさい」
語尾に音符がついているように楽しそうな声をかけながら、ビーは逃がすものかと、リィナの肩をがっちり掴んで現実逃避しだした彼女を揺さぶった。
異様に楽しそうなビーの態度にリィナは脳内で乾いた笑いを浮かべた。
どこをどう間違ったのか、今までの一連の会話やリィナの態度で、ビーは『リィナはフォルテに好意を抱いている』と認識した、らしい。
好意…えぇ。友人としてなら認めるのも吝かではありませんとも。
ええありません。ですが、そこに恋愛要素はチリの欠片ほども存在してませんが!?
まかり間違って将来うっかりそんな要素が発生しちゃう可能性は確かにゼロとは言い切れませんが、少なくとも現時点では全くこれっぽっちもちっとも有りませんよ!勘違いしないで頂きたくっ!
と、ようやく事態を把握したリィナが必死に主張したが、時すでに遅し。
暴走したビーの思考の前にあっさり敗北して現在絶賛現実逃避中だった。
激しく面倒くさい。
あの妹限定空気読まないシスコンのバカ兄といい、己の回りには、はた迷惑なのしか居ないのか、と後ろ向きに自問自答する。
類友、という単語が浮かびそうになり、己の精神安定の為に脳内辞書からさっくり削除したが誰が咎めようか。いいや咎めない。とリィナは現実逃避しながらやさぐれた思考を展開する。
他人事として考えるなら、こんな面白いネタはない。
女子は基本、恋ばなスキーなイキモノだし。
今まで興味を示さなかったのだから余計だ。
ちょっとテンションあがって盛り上がっても、仕方ない事だろう。
それを楽しそうだねぇと生暖かい視線で遠くから見守るだろう。
が。それが己の身に降りかかるなら話は別だ。
甚だしく面倒くさい。
適当に放置したらどこにどんな風に波及するかわからないが、かといって今の状態で誤解が解けるか、と問われれば、答えはノーだ。
既に玉砕済みである。
さて、どうしたものか、と内心盛大にため息を付きつつ、他に策もないので、リィナはため息混じりに口を開いた。
「だからねぇ〜別に私はフォルテに恋愛感情持ってる訳じゃなくてね…」
「もう!いっくら初恋でその手の経験値なくても気付きなさいよね!アンタのそれは恋愛感情でしょ!?」
…いや、だからどうして本人否定してるのにそこで断定?
どこに断定出来るだけの要素があったと!?
「…もうヤダ。恋愛って面倒くさい…」
あまりのビーの暴走っぷりに疲れはてたリィナはがっくりと肩を落として、そうぽつり、と呟いたのだった。
この場合面倒くさいのは恋愛ではない、と訂正してくれる存在はもちろんなく。
こうしてまた一歩、にぶにぶ天然街道の深みに足を踏み入れる…かもしれない(笑)