狐と時計
「はい、了解しました」
「気をつけて帰ります」
とある任務が終了し、学園に帰る秋雨
しかし、学園の車が故障したため、徒歩で帰ることになった
「あ-、ここからは距離があるな…」
「でも、久しぶりにのんびり出来そうだ」
鼻歌交じりに歩いて行く秋雨
「ちょっと、お尋ねしたいことが…」
「?」
狐のお面を付けた秋雨と同い年くらいの女性が、秋雨に声をかける
「何ですか?」
「ココは何処ですか?」
「はい?」
「迷ってしまって…」
「…それは大変ですね」
「どこから来たんですか?」
「いえ、かなり遠いところから友人と来ました」
「その友人さんは?」
「はぐれました…」
「あらら…」
「まぁ、観光ついでなのでそのうち合うと思うのですが…」
「時間に厳しい奴ですから、怒ってないか心配で…」
「そうなんですか」
「もし、よろしければ一緒に捜していただけませんか?」
「う-ん…」
(帰るまで時間もあるし…)
(困ってる人を見捨てるわけにはいかないか)
「良いですよ」
「ありがとうございます!!」
「じゃぁ、まずは何処へ行きますか!?」
「へ?」
「「観光ついで」なので、観光もして行きたいんです!!」
「あ、ああ…、そうなんですか」
「オススメの場所は何処ですか!?」
「あのたこ焼き屋がおいしいですよ」
「食べましょ-!!」
「は、はい…」
「ヘイ!らっしゃい!!」
「たこ焼きください」
「はい!2つ?」
「はい、2つで」
ジュゥゥウゥウウ…
「ヘイ!お待ち!!」
「わぁ!おいしそうですね!!」
「ウチのは美味いぜ!!」
「カップルさんには、2つオマケだ!!」
「わぁ-い!ありがとうございます!!」
「カップルじゃないんですけどね…」
「公園で食べますか」
「そうしましょうか」
公園
「ベンチでたこ焼きって、悪くないですね」
「それにおいしい!!」
「あはは…、そうですね」
たこ焼きを食べる2人
「そう言えば、お名前を聞いてませんでしたね」
「秋雨です、秋雨 紅葉」
「へぇ、良い名前ですね」
「私は白珠 餡孤って言います!!」
「へぇ、白珠さんですか」
「そんなにアンコは好きじゃないですよ」
「名前通りってワケじゃないんですね」
「はい!その通りです!!」
微笑み合う2人
「あ-!おいしかった!!」
「また、食べたいですね-」
「はい!また来たときに!!」
「そう言えば「観光」って言ってましたけど…、何処から?」
「それは…」
「おい!そこのカップル!!」
不良が秋雨と白珠を怒鳴る
「良い仲、見せつけてくれんじゃねぇか!!」
「ちょっと、金置いてけよ!!」
「…不良ですね」
「う-ん、どうします?」
「とりあえず、逃げた方が良いのでは?」
「そうですね」
ゆっくり立ち上がる2人
「おいコラ!シカトしてんじゃねぇぞ!!」
「安心しろ、お前の相手は俺がしよう」
「!?」
不良の後ろに大男が立っている
ゴォォォォオォン!!
不良の頭が地面にめり込む
「…フン!公共の場に迷惑だろうが」
「あ!迎えに来てくれたの-!?」
「また迷子になりやがって…、白珠」
「テヘヘ-!ゴメンなさ-い!!」
大男が巨大な時計を開ける
「まぁ、集合時間まで1時間49分24秒、有るから構わないが…」
「えっと…」
困惑する秋雨
「ん?白珠、何だ?このガキは」
「秋雨君って言うの-!」
「迷子の私を助けてくれたんだ-!!」
「そうか…」
「俺は、凩 山水と言う者だ」
「相方が世話になったな」
「いえいえ!構いませんよ」
「フム、近頃のガキにしては良い返事だな」
「お前も見習え!白珠!!」
「全く-、そんなに堅い性格じゃ、脳みそまで硬くなっちゃうよ-?」
「フン!お前は柔らかすぎだ!!」
言い争う2人
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて…」
「…まぁ、そろそろ集合時間だ」
「帰るぞ!白珠!!」
「は-い」
「じゃぁ、僕も失礼しますね」
「さようなら」
「うん!バイバ-イ」
帰って行く秋雨
「あ-!楽しかった!!」
「まったく、迷子のプロだな!お前は」
「だって-、凩が手をつないでて恥ずかしいんだもん」
「お前が迷子になるからだろ!!」
「え-…」
「まぁ、どうでも良いか」
「集合時間に遅れちまう」
「早く行くぞ!!」
「あれ?コレはどうするの?凩」
「ん?ああ、この不良か」
地面にめり込み、痙攣している不良
「…まぁ、残しておくのは面倒だな」
ガァァァン!!
不良の横に巨大な時計を置く凩
「Extinction time」
ズゥゥウゥゥン…
鈍く鳴り響く時計
「…まぁ、コレで良いだろう」
「行くぞ!白珠」
「はい、は-い」
シュゥゥゥウ…
2人が去った公園には、ミイラと化した不良の死体があった
読んでいただきありがとうございました