保健室のペット
「失礼しま-す」
保健室に入ってきたGL
「イトウさん、いらっしゃいますか?」
「居るよ」
「椿姫さんが「薬草を貰ってこい」と…」
「いや、その薬草が品切れでね」
「今から採取に行くんだけど…」
「じゃぁ、また後で来ますね」
「いや、ちょっと待って」
「?」
「コイツの面倒を見てくれないかな…?」
イトウの頭に白い何かが居た
その何かには頭に黄色いアンテナが生えている
「えっと…、これは?」
「モッチ-だ」
「モッチ-?」
「俺のペットでね」
「突然変異種」
「そ、そうなんですか…」
「何時もはメイスが世話してるんだけど…」
「そのメイスも今日は居ない」
「で、私が?」
「ああ、そうだ」
「良いですけど…、私も仕事が」
「じゃぁ、あの子に頼めばいいかな?」
「火衣良ちゃん」
「ダメです!」
「どうして?」
「何か危ない気がします!!」
「いや、大人しい奴だよ?コイツは」
「キュプ-」
妙な鳴き声を上げるモッチ-
「まぁ、危険性はないから、預けても大丈夫だよ」
「アレさえ、与えなければ…」
「アレ?」
「…いや、何でもない」
「まぁ、任せてみれば?」
「…解りました」
「危険はないんですね!?」
「ああ、無いよ」
「遊んであげれば十分だ」
「…火衣良ちゃんに言ってきます」
1年寮
「火衣良ちゃ-ん!居る-?」
「何?GLお姉ちゃん」
「実はね…」
「キュプ-」
GLがモッチ-を差し出す
「可愛い!」
「今日1日、この子の遊び相手をしてくれない?」
「うん!良いよ!!」
「でも、寮の中はダメだから、外でね」
「は-い!!」
「じゃ、私は仕事に戻るから…」
「いってらっしゃ-い!!」
バタン
外に出て行くGL
「何して遊ぼっか!?」
「キュプ-」
「とりあえず、外に出なきゃダメだね」
「キュプ!」
ガチャ
カンカンカン
外に出て、階段を下りていく火衣良ちゃん
1年寮前
「何したい?」
「キュププ!キュプ-!!」
「…?」
モッチ-が左右にゆれる
「波ごっこ?」
「キュプ!?」
「違うの?」
「キュプ-…」
「う-ん…、言葉が分かればなぁ…」
ため息をつく火衣良ちゃん
「キュピプ-!!」
モッチ-が頭のアンテナを近づける
「?」
「キュププ!!」
「握るの?」
「キュプ!」
アンテナを握る火衣良ちゃん
「キュ-プピ----!!」
「え?エネルギ-を流すの?」
「キュプ!!」
「んっ…」
シュゥゥゥウゥ…
モッチ-に、だんだんエネルギ-が流れ込む
「はぁはぁ!コレで良いの…?」
「はい、十分です」
「!?」
そこには火衣良ちゃんと同じくらいの少年
「…誰?」
「誰って…、モッチ-ですけど?」
「あの!?」
「はい、「あの」」
「エネルギ-の量に応じて、体を変形させられるんです」
「火衣良ちゃんがくれたエネルギ-だと、コレが精一杯」
「そうなんだ…」
「じゃ!遊びましょう!!」
「…うん!そうだね!!」
「追いかけっこ、しますか?」
「うん!する-!!」
楽しく遊ぶ2人
1年寮前、渡り廊下
「…誰だろ?あの子」
「表!お前でも知らないのか?」
「う-ん、この学園の大抵の子は知ってるんだけどなぁ…」
資料を運ぶ天鹿和
「って言うか、速く行かねぇと会長に殺されちまうぜ!!」
「「殺される」はオ-バ-じゃない?」
「そうか?」
「うん、そう思う」
生徒会室
「会長!資料、取ってきました!!」
「遅い!!」
「すいません…」
「仕方ねぇだろ!?こんだけの量だったんだぞ!!」
謝る表と怒る裏
ドゴッ…
「さて、裏!遅くなった理由は何かしら?」
「いや、だから量…」
ドゴッ…
「裏!もう一度、言ってくれるかしら?」
「…それがな、見知らねぇガキを見たんだよ」
「…嘘?」
「いやいや!本当!!」
「秋雨の所のガキと遊んでたぜ」
「ふ-ん…、どんな子?」
「白髪で、服も白かったな」
「あと、尻に黄色い尻尾」
「…嘘でしょ?」
「いやいや!本当だって!!」
「会長!僕も見ました!!」
「…」
「本当ですって-!!」
「会長、天鹿和が言ってることは本当だ」
鬼怒が呟く
「知ってるの?鬼怒君」
「俺も、一度だけ見たことがある」
「保健室でな」
「保健室?」
「イトウの助手が、白髪の子供を着替えさせてたな…」
「泣いて嫌がっていたが」
「そうなの…」
「ごめんなさいね-!天鹿和君!疑ちゃって」
「まったく!鈍くせぇ女だぜ!!」
ドゴッ…
「さて、作業に取りかかるわよ-」
会長の足下には、天鹿和だった何かが倒れていた…
1年寮前
「はぁはぁ…疲かれましたね」
「うん!でも楽しかったよ-!!」
「それは良かった」
「ん?見慣れない子だね」
「あ!首狩お兄ちゃんと秋雨お姉ちゃん!!」
「久しぶり!火衣良ちゃん」
「お久しぶりです」
「見慣れないけど、君は、何処の会に所属してるんだい?」
「してませんが、イトウさんのお世話になっています」
「そうなんだ」
「可愛い子供ですね」
夜風が火衣良ちゃんとモッチ-の頭をなでる
「夜風さん、アナタも首狩りさんとの間に子を作れば良いのでは?」
「2人は、そう言う関係と聞いていますけど…」
「!!!」
顔を紅くする夜風
「いや、まだ速いよ」
「そ、その通りです!!」
「そうですか?残念ですね」
「さて、鏡燕先輩に呼び出されてるから、もう行かないと」
「じゃぁね」
「失礼します」
普通に歩いて行く首狩と早歩きで去っていく夜風
「そ、その…首狩さん?」
「ん?何だ?夜風」
「子供…、欲しくないですか?」
「ん-、まだ速いんじゃないかな?」
「「まだ」って事は…」
「そのうち作ろうな」
冗談交じりに笑う刃影
「は、はい…」
さらに顔を紅くする夜風であった…
「お-い!モッチ-!!」
「あ!イトウさん!!」
「帰ったぞ-!!」
「お帰りなさい!!」
「今日は速く取れたからな」
「いつもより早く帰ってきた」
「そうなんですか」
「もう帰っちゃうの?」
「すいません、そうみたいです」
「また遊ぼうね!!」
「はい!遊びましょう!!」
「ん-、モッチ-が人型になってるけど、心配ないか」
「イトウおじさん!人型になると何かあるの?」
「いや、希に衣服を着てないときがあるんだよ」
「理由は不明だけどね」
「そうなんだ-」
「まぁ、今回は着てるから良いけどね」
「それじゃぁ、バイバイ」
「バイバ-イ!!」
そうして、モッチ-とイトウさんは帰っていった…
数時間後
「ただいま!火衣良ちゃん!!」
「お帰り-!GLお姉ちゃん!!」
「どうだった?変なこと無かった?」
「うん!今日は服、着てたよ-」
「!?」
妙な誤解を生む火衣良ちゃんであった…
読んでいただきありがとうございました