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戒めの品


「秋雨、用事を頼んで良いか?」


鬼怒に呼び出された秋雨


「何ですか?」


「風紀委員長に届け物をして欲しい」


「風紀委員長?」


「そうだ」


「構いませんけど…」


「では、行ってきてくれ」


「はい」



風紀委員会室


「失礼します」


秋雨が入った部屋の中は、生徒会室とさほど変わらない


「秋雨君!」


「えっと…」


恐らく、秋雨と合った事のある人物が話しかけてきた


「覚えてない?鏡燕だよ」


「ああ!鏡燕 御烙さんですか?」


「その通り!!」

「で、何か用?」


「鬼怒さんから、風紀委員長に、お届け物です」


「…鬼怒から?」


「はい」


「いつもより早いね」


「?」


「会長-!!」


鏡燕が風紀委員長を呼ぶ


「何だ?」


奥の部屋から、のそりと出てきた人物


「鬼怒から、届け物だそうです」


「…鬼怒から?」


「ええ、鬼怒から」


「…いつもより早いな」


「秋雨君!この人が風紀委員会長の…」


白刃之シラハノ 斬歌ザンカだ」


「ど、どうも…」


白刃之から秋雨が感じ取ったのは、殺気


「…」


「どうした?一年坊主」


白刃之が秋雨に話しかける


「い、いえ…」


「安心しなよ!秋雨君」

「会長は無意識に殺気を出してるだけだから…」


「…無意識に?」


「無意識に」


「勘違いするようなことを言うなよ、鏡燕」


「あはは!すいませんねぇ」


「ま、配達ご苦労様!!」


「し、失礼します…」


風紀委員室から、小走りで出た秋雨





生徒会室


「はぁ!はぁ!!」


「どうだった?秋雨」


「鬼怒さん…」


「白刃之から、何か感じたか?」


「殺気…を感じました」


「そうか」



「覚えておけ」


「何をですか?」


「白刃之の様な奴も、この学園に居ると言うことだ」


「…?」


「アイツが無意識に殺気を出すのには、理由がある」


「理由ですか?」


「アイツは初対面の人間に対し「どのように殺せば楽しいか?」と、考える」


「…!?」


「「命は大切」と言う常識がないんだよ、アイツには…」

「その精神で、風紀委員長まで上り詰めたわけだが…」


「秋雨、お前は敵地に武装した味方の兵が居たらどうする?」


「えっと…、帰還するように指示します」


「白刃之は「敵将と交渉しろ」と言うだろう」


「交渉なら、安全では…?」


「「交渉中に、持ってる手榴弾を爆発させろ」」

「それが、奴のやり方だ」


「そんな…」


「人の命も自分の命も、ゴミ同然」

「味方を簡単に切り捨てる」


「戦場において、唯一絶対の真実は「勝利」」


「それが、奴の信念だ」


「…何だか、納得できません」


「だが、戦場では、その信念が重宝される」


「その事を、お人好しのお前に知って欲しかったんだよ、秋雨」


「…」


「まぁ、「それが全て」ってワケじゃない」


「?」


「結局、最も強いのは「自分の信念を貫き通した奴」だ」


「解ったか?」


「…はい!!」



「…なら、良い」


「でも、何で急に僕に、こんな話を?」


「…そのうち解るさ」


「?」




風気委員室


「あの一年坊主が、特殊か?」


「そうらしいですよ」


「面白い奴だ」


「…変な事、考えてませんか?」


「妙なことを言うなよ」


「アナタの能力は、気安く使って良い物じゃないんですから」


「解ってるさ」



「で、コレは何だ?」


白刃之が鬼怒からの贈り物を開ける


「…」


「…義眼ですか」


箱には、義眼が1つ入っている



「アイツの贈り物って時点で、予想は付いていたがな」


「今、使ってるのは、もうダメなんですか?」


「いや、まだ使える」


「へぇ、丈夫なんですね」


「まぁな」


「…鬼怒の戒めの品って所ですか?」


「…戒めか」



「あの事件に関わった俺達が留年させられてる理由…、解りました?」


「情報は廻ってきてはいない」


「…そうですか」



「あの事件については他言無用だ」


「解ってますよ」



ガチャッ


風気委員室の扉が開く


「失礼しますわ」


見るからに、お嬢様の様な女子生徒が入ってくる


「治療委員会、会長、椿姫ツバキ 桜香オウカ、ただいま参りましたわ」



「…久しぶりだな」


「鬼怒君に言われて、義眼の取り替えに来ましてよ」


「まだ、使えるんだが…」


「早めに取り替えるに越したことはありません!!」


「はぁ…」


ため息をつく白刃之


「あの事件の情報、廻ってきましたか?椿姫さん」


「気になる情報なら、有りましてよ」


「…何だ?」



「「彼」が、まだ生きている…と」


バァン!!


白刃之が激しく机を叩く


「ふざけるな!!」


「落ち着いてください!会長!!」



「…あくまで、噂程度の物ですわ」

「信憑性は一切ありませんもの」


「…そうか」


落ち着きを取り戻す白刃之


「その情報は、鬼怒にも行ってるのか?」


「解りませんわ」


「たぶん、行ってるでしょうね」

「だから、義眼を届けたのでは?」


「なるほどな…」


「秋雨君に届けさせたのも、それなら納得できるでしょう?」


「確かにそうですわね」


「鬼怒、俺、会長、椿姫さん…」


「あの事件を知ってるのは、この4人ですか…」


「先生方を除けば…ね」


「アイツが生きているというのはガセネタだろう」


「私も、そう思いますわ」


「…だったら良いんですがね」




「さて!義眼を取り替えましょう!!」


「めんどくさいな…」


「良いですの?」


「何がだ?」


「腐らせますわよ?その目」


「…ぜひ、取り替えてくれ」


「物わかりのよろしいことですわね!」


「…苦労しますね、会長」





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