護衛任務
「秋雨、手伝え」
「え?」
いきなり、刃影に話しかけられる秋雨
「何ですか?」
「任務だよ、任務」
「人手が足りん」
「は、はぁ…」
「会長には確認は取ってある」
「ついでに、新婚生活真っ最中のアイツも連れて行く」
「新婚生活って…」
「首狩だ」
「やっぱりですか」
「準備ができ次第、校門前に集合だ」
「解りました」
校門前
「お待たせしました!」
「遅い」
「あ、秋雨君!!」
「お久しぶりです!首狩さん!!」
「新婚生活はどうですか?」
「新婚って言っても、結婚してないよ」
「?」
「ま、勘違い結婚式だったから、許嫁って事になってるんだ」
「へぇ~」
「皆は、新婚って騒いでるけどね」
「あはは…」
「ゴチャゴチャ喋ってる暇はないぞ」
「そろそろ時間だ」
キィ!!
何の音もなく、リムジンが校門の前に止まる
「いつの間に…」
「我が家の技術を結集しておりますので、無音など当たり前にございます」
そう言って、立派な身なりの執事が車から降りてきた
「予定時刻通りだな」
「お乗りくださいませ」
「おい、乗るぞ」
「は、はい」
リムジンに乗り込む3人
無音でリムジンが発進する
リムジン内
「任務の詳細を教えてくれ」
「かしこまりました」
「私共が、アナタ方、WG学園支部殿に依頼したのは護衛でございます」
「護衛?」
「はい」
「お嬢様が「本家」に移動されるのを護衛していただきたいのです」
「本家?」
「はい」
「ちなみに、アナタ方には最新の武器を配布させていただきます」
「最新の武器?」
「ええ、いくらでもお好きな物を」
「…まさか!」
「どうしたんですか?首狩さん」
「この家紋だよ!!」
「家紋?」
「この家紋は、如月家の物だ!!」
「如月家って?」
「世界的財閥!!」
「世界の15%の金を所持してるって噂だ!!」
「その通りでございます」
「正確には、16,29%ですが」
「納得いかないな」
不機嫌そうな刃影
「そんな大財閥の奴らが、どうして俺達に任務を依頼する?」
「もっと金を出して、本部や手練れの連中に依頼すればいいだろう」
「そうもいきません」
「何でだ?」
「「金がもったいない」って言うほどの奴らじゃないだろ?」
「いえ、ご主人様は様々な人から恨まれています」
「どうしてですか?」
「世界的財閥にのし上がるのに、何万人という人を蹴落としてきました」
「ある意味、恨まれて当然なのです」
「それが俺達に依頼することに関係があるのか?」
「大いにあります」
「上層部だと、今まで蹴落としてきた方と繋がってる可能性が有ります」
「様々な依頼を受ける本部だと、尚更です」
「考え過ぎじゃないですか?」
「いや、前例も有る」
「ですから、報酬によって依頼者を絶対に裏切らない刃影様をご指名したのです」
「なるほど」
「おや、ちょうど到着しましたよ」
「お嬢様の居る場所です」
3人の目の前には、異常な大きさの豪邸
国会議事堂すら、超えそうである
「大きいですね」
「ええ、コレは別荘ですが」
「先刻、言ったとおり本家までの護衛をお願いします」
大きな門をくぐり抜けるリムジン
「奥様が中でお待ちになられております」
「私はコレにて失礼します」
執事は、リムジンから降りて、庭の端の方へ歩いて行った
静かにリムジンは出発する
「長いな、しかし」
「500mぐらいか…」
ちょうど真ん中辺りで、また門がある
ギィイィィィ…
重い音と共に、門が開く
「ココでお降りくださいませ」
運転手が車から降りるよう指示する
「降りるぞ」
「ああ」
「はい」
車から降りる3人
ガチャガチャ!!
大量の銃口が3人に向けられる
「…どういう事だ?」
バババッババババ!!
問答無用で撃ってくる
カキキキキキィン!!
刃影は身動き1つ取らず、弾丸を服の下に仕込んだ鉄板で弾く
首狩は鎌を大きく振り、弾丸をはじき飛ばす
秋雨は能力で弾丸を鉛玉の塊に変える
「お見事ですわね」
拍手をしながら、立派な身なりの貴婦人が出てくる
「失礼ですが、実力を試させていただきましたわ」
「まぁ、心配無用のようで安心いたしましたが…」
「どうぞ、中へお入りください」
ゆっくり歩いて行く貴婦人
「手荒い歓迎だな」
「し、死ぬかと思いました…」
「死ななかったから良かったじゃないか」
3人も中へ入っていく
こうして、護衛任務がスタ-トした
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