裏の目的
裏は、秋雨達を襲撃し屋根の前まで来ていた
「次はテメェ達か…」
骸瀧が武器を構える
「来たわね…」
「水無月ちゃん!下がってて!!」
「う、うん…」
「テメェの鎖には、うんざりなんだよ!!」
手鎧を一度だけ上下に振る裏
「何をするつもりだ!?」
「何だろうな!?」
ダン!!
地面を激しく蹴り、骸瀧に向かっていく
「爆炎煙幕!!」
裏の手鎧から、黒い煙が吹き出す
「!?」
「熱い…!?」
「水蒸気みたいなモンだ!!」
「やけどする事はねぇから、安心するんだな!!」
「いつの間に、こんな物を…!?」
「この時期に備えて、表に秘密でカスタマイズしたんだよ!!」
「そう言うことだ!!」
ガッ!!
裏が骸瀧の頭を掴む
「眠れ」
「くぅ…」
「逃げて…!水無月ちゃん…」
バタン!!
骸瀧も深い眠りについてしまった
「残りはテメェだけだ!水無月!!」
「くっ…!!」
「ま、テメェの能力は厄介だからな…」
「確か、音波で相手の脳に障害を与えるんだったな」
「お見通しってワケね…」
「俺の精神崩壊の能力も、見くびるんじゃねぇぞ?」
ダン!!
地面を激しく蹴り、水無月に向かった走り出す、裏
「食らわないわ!!」
水無月が後ろに下がる
「甘めぇんだよ!!」
パァン!!
裏が、猫だましに似た形で、水無月の前で激しく音を立てる
「!?」
「…あれ?」
気が付くと、水無月の前に裏は居ない
「!?!!??!?」
困惑する水無月
屋根への扉を見ると、骸瀧の鎖でガッチリと固められている
「やられた…!!」
ガン!ガン!!
水無月の力では、骸瀧の鎖は壊せない
「どうしよう…!?」
屋根
「手こずらせやがって…」
裏が屋根に腰を下ろす
「おい!起きろ!!ガキ!」
裏が火衣良ちゃんの頬を軽く叩く
「ん…?」
目覚める火衣良ちゃん
「見ろ」
「俺を出してくれた礼だ」
「わぁ…!!」
空には、満天の星空
その一つ一つが、宝石のように輝いている
そして、見事な満月
宝石の中に沈む清らかな光
「キレイ…」
「だろ?」
「この季節の、この時間しか拝めねぇ景色だ」
「お前は、俺を出してくれた礼で見せてるが…」
「他のヤツには言うなよ」
「どうして?」
「ココは、俺の特等席なんだよ」
「他の奴らが来ると、うるさくて仕方ねぇ…」
「だから、全員にばれないように来てんだ」
「皆で見た方がキレイだよ?」
「景色は、静かなところで見たいんだよ、俺はな」
「そうなんだ…」
「ま、お前は運が良い」
「どうして?」
「ほれ」
裏が、屋根の奥から何か持ち出してくる
「月見団子だ」
「おいしそう!!」
「喫茶店のガルスに作ってもらったんだよ」
「アイツの料理はマジで美味いからな」
「うん!」
「特別だぞ」
「喰え」
「いただきま-す!!」
団子をほおばる火衣良ちゃん
「おいしい!」
「だろ?」
「この季節の、この場所での俺の楽しみだからな」
「おいしいね!!」
「慌てて喉に詰まらせるなよ」
ガン!ガン!!ガン!!
屋根への扉が強く叩かれる
「チッ…、来たか」
「どうしたの?」
「何でもねぇ、団子でも食ってろ」
「?」
ゆっくり扉に向かう裏
「もう、目的は達成した」
「朝には戻るから、今は帰れ」
「そう言うわけには行かないわよ!!」
扉越しに会長が怒鳴る
「アナタは良くても、私達が良くないのよ!!」
ガァン!!
ついに、扉が破られる
「チッ…」
「観念しなさい!裏!!」
「観念もクソもねぇだろ…」
「「目的は達成した」」って、言ってんだろ」
「目的って何!?」
「お前らには、関係ねぇ」
「失せろ」
会長が奥を見ると、火衣良ちゃんが団子をほうばっている
「裏!アナタの目的って…!!」
「チッ…、ばれたか」
「幼女誘拐ね!!」
「…は?」
「火衣良ちゃんに、あんな事やこんな事をするつもりでしょう!?」
「いや、何言ってるんだ?」
「信じられないわ!!」
「いや、ちょっと待て」
「火衣良ちゃん!今すぐ逃げなさい!!」
「あ!会長のお姉ちゃん!!」
「何してるの~?」
「裏!アンタってヤツは…!!」
「どう考えても、違うだろ…」
「おい!ガキ!!説明してやれ!!」
「え?」
「「何でココに居るか」だ!!」
「うん!解った!!」
「会長のお姉ちゃん!天鹿和お兄ちゃんがね、「お月見しよう」って連れてきてくれたの!!」
「微妙に違うぞ」
「嘘までついたの!?裏!!」
「火衣良ちゃん!あんな事やこんな事されなかった!?」
「え?されてないよ」
「…あれ?」
「だから、全部お前の誤解なんだよ」
「そうなの?」
説明中…
「何だ~!ややこしい言い方するから、てっきり…」
「ややこしいのは、お前の思想回路だ」
「…何ですって?」
「…」
「誤解も解けて、一安心ね」
「帰りましょ!岩角」
「お、おう」
「待て、会長」
「何?」
「この場所のことは黙っておいてくれ」
「解ってるわよ」
「勘違いしたお詫びって事で!」
「じゃぁねぇ~」
そう言い残すと、会長は帰っていった
「人騒がせなヤツだ」
「さて、ガキ!お前も帰れ」
「え~?どうして?」
「もう、夜も遅いからな」
「秋雨達を起こして、部屋に帰るよう伝えてくれ」
「うん!解った!!」
「天鹿和お兄ちゃんはどうするの?」
「俺は、もう少し、月を見ていく」
「うん!それじゃ、バイバイ!!」
「おう、気を付けて帰れよ」
「うん!」
そうして、火衣良ちゃんは帰っていった
「…見事な月だ」
その後、裏は月を観賞していた…
次の日
生徒会室
「いや-、天鹿和さんも、人騒がせですね」
「まったくだわ」
「しかも、鬼怒君は知ってたんでしょ?」
「まぁな」
「教えてくれたら良かったのに」
「「黙っておいてくれ」と言われたからな」
「そうなんですか…」
「あれ?そう言えば、天鹿和君は?」
「何処かに行ったんでしょうか?」
屋根
「…何で、俺は屋根に居るんだ?」
天鹿和、起床
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