看板少女
秋雨は、その日の任務も終わり、寮に帰ろうとしていた
「ん?何だ…、アレ」
喫茶店に、大勢の人だかりが出来ている
その人だかり、全員がカメラを持っている
「何だろ?」
見に行く秋雨
「はい!押さないでね-!!」
金田の声が聞こえる
「順番!順番!!」
ガルスの声も聞こえる
「えっと…、何してるんですか?」
「お!秋雨君じゃないか!!」
「これは…」
足元を見ると、メイド服を着た、火衣良ちゃんがポ-ズしている
「…?」
「あ!秋雨お兄ちゃん!!」
「…何コレ?」
「金田さんがね!「この衣装を着て踊って欲しい」って!!」
「…金田さん」
「何だい?」
「ロリコンの趣味はなかったんじゃ…」
「いや、違うよ!!」
「商売戦術だよ!秋雨君!!」
「商売戦術?」
「最近、給料が減額されてね…」
「で、稼ぎを増やすために、この企画を実行したんだ!!」
「名付けて、「喫茶店の看板少女と握手会!!」だよ!!」
「へぇ~」
「300円以上の賞品を購入した人に限り、一回の握手が可能!!」
「写真を撮るのは、自由!!」
「で、この人だかりですか」
「その通り!!」
「GLにばれたら、ぶち殺されますよ」
「「危ない事させるな」って…」
「その点は大丈夫!!」
「火衣良ちゃ-ん!!」
1人の男性客が、火衣良ちゃんめがけて走っていく
「あ!危ない!!」
咄嗟に、助けようとする秋雨
しかし、間に合わない
「ウチの従業員に、手を出さないでくれますか?」
バァァァァン!!
ガルスが、男性客を激しく地面に叩きつける
「…!?」
ガルスが男性の耳元でささやく
「握手するなら、賞品をご購入願います」
にっこり笑うガルス
「キャァァァァ!!」
人だかりの女性陣からの叫び声
「ま、ガルスがしっかり守ってくれるし、ガルスも人気だし」
「全て、計画通りだよ!」
ガッツポ-ズする金田
「すまないが、チョコパンを1つくれるかな?」
秋雨の横から、骸瀧が顔を出す
「毎度あり~」
「アレ?骸瀧さん」
「おや、秋雨君も来てたのかい?」
「水無月ちゃんも可愛いが、火衣良ちゃんも可愛いからね」
骸瀧が、ポケットから愛用のデジタルカメラを取り出す
「しっかり、撮っておいたよ」
「…流石ですね」
「骸瀧さんは、男性には興味ないんですか?」
「無いよ」
「男なんて、水無月ちゃんや火衣良ちゃんに比べたら、無に等しいからね」
「凄い言い方ですね…」
「当たり前だよ」
「はい!チョコパン1つ!!」
「あ!ありがとうございます」
「これ、握手券ね」
「…はい」
顔がにやけまくってる骸瀧
「手は出さないでね」
「解ってますよ」
全力で、火衣良ちゃん元へ向かう骸瀧
「…彼女も結構危険だね」
「ですよね…」
「チ-ズパン、100個」
「!?」
凄い数を注文してくる客が居る
「刃影さん!?」
「…秋雨か」
「100個って、100回も握手したいんですか!?」
「まぁな」
「ま、刃影君はイベントの常連だからね」
「そうなんですか!?」
「今回も、皆から頼まれたのかい?」
「そうだ」
「「頼まれた」?」
「「火衣良ちゃんの写真を撮ってきてくれ」と頼まれたんだよ」
「1枚、500円だ」
「た、高い…」
「元では取れるし、むしろ利益にすらなるからな」
「悪い話ではない」
「でも、写真って無料では…?」
「「近くで撮れ」だとよ…」
「握手の方が、よっぽど近いからな」
「馬鹿な奴らだ」
「写真に500円も出すか?」
「ま、こっちの利益になれば何でも良いがな」
「君とは、そう言う部分の話が合いそうだよ…」
フフフフフフと不気味に笑う金田と秋雨
「では、行ってくる」
「がんばってね-」
笑顔で手を振る金田
「結構、利益になるんですね」
「ま、イベントだからね」
「そう言えば、メタルさんは…」
「喫茶店の奥で寝てるよ」
「イベントに参加しないんですか?」
「そう言うのには、興味ないからね!アイツは…」
「そうなんですか」
「はい!次の衣装だよ!!」
「お!来たな!!」
アメ-ルが大量の衣装を持ってくる
「秋雨君じゃないか!」
「えっと、確か、戦闘訓練教官の…」
「アメ-ルだよ!」
「この衣装は?」
「僕の手作り!!」
「火衣良ちゃん用に作ったんだ!!」
「スク-ル水着に猫耳、セ-ラ-服にオ-バ-ニ-ソックスと…」
「全部、金田の注文通りだよ!!」
「…金田さん?」
「いや-、コレを着て貰うと、お客が10~20倍になるんだよ!!」
「GLにばれたら、マジで殺されますよ」
「心配ないよ!!」
「火衣良ちゃんは、ガルスが守るから!!」
「そう言う問題じゃないわ…!!」
「あ、GL」
鬼神のごときGLが、金田の背後に立つ
「どういう事か…、説明していただけるかしら?金田さん」
「…はい」
後日、「喫茶店のイベントは、しばらく開催されない」と、発表されたそうです
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