結婚祝い
「そうかい、もう帰るのか」
夜風の両親は、しみじみとしている
「首狩君、珠洲三をよろしく頼むよ」
「はい」
「珠洲三も、早く孫の顔見せてね」
「はい、お母さん」
「秋雨君もご苦労だったね」
「はい」
「それじゃ、元気でやるんだよ」
それから、両親と別れバスに乗り込んだ3人
「出発しま-す」
ブォォオォォ!!
山道を走っている途中、首狩も夜風も一言も喋らない
「…」
秋雨も、ため息をつくばかりである
それからしばらくして、学園前に着いた
「…降りましょうか」
「…ああ」
「…はい」
その後、3人は学園に戻った
「ただいま戻りました、会長」
「おかえり-」
「…どうだった?結婚式は」
「!?」
「何で会長が知ってるんですか!?」
会長が背中を指さす
「…?」
「気付かなかったの?」
背中を触る秋雨
「!!」
何か着いている
「これは…」
「超小型カメラと盗聴器」
「…のぞき見してたんですか?」
「風紀委員の会長も爆笑してたわよ」
「「結婚は早すぎだろ」ってね」
「もう、学園の大半は知ってるわよ」
「本当に、この人は…」
「あ!結婚祝い送らなきゃ!!」
「秋雨君!悪いけど、風紀委員室に届けてくれるかしら?」
「え?僕ですか?」
「私は、仕事があるの!よろしく言っておいてね」
風紀委員室に行くことになった秋雨
風気委員室
「失礼します」
「誰だ?」
「生徒会書記の秋雨です」
「おお!君が秋雨君か!!」
「えっと…」
「ああ!悪い悪い!!俺は風紀委員の3年、鏡燕 御烙だ!」
「よろしく!!」
「で、何の用だい?」
「会長からの届け物です」
「首狩さんと夜風さんに」
「そうか!残念だけど、今、首狩と夜風は居ないよ!!」
「何処かに行っていらっしゃるのですか?」
「寮」
「…はい?」
「2人の部屋が有る寮だよ」
「え、ええ…」
「ま、届けに行ったらいいじゃないか」
「…そうします」
2年寮前
「ココだな…」
「あれ?秋雨君じゃないか」
秋雨の背後には、教頭のスカルと金髪の女が居る
「教頭?」
「君も、首狩君のお祝いに?」
「は、はい」
「ちょうど良いし、一緒に行こうか」
「はい、お願いします」
「教頭と…」
「ああ!彼女は…」
「ネオンです」
「失礼ですが、教頭とネオンさんは、どういうご関係で?」
「今の首狩君と夜風さんかな」
「そんな!大声で言わなくても…」
顔を紅くするネオン
「大声じゃないけど…」
「そう言うご関係ですか」
「まぁね」
ピンポ-ン
呼び鈴を押すスカル
「…はい」
出てきたのは夜風
「こんにちは」
「…どうぞ」
部屋の中は、異様にサッパリしている
「結婚、おめでとう!夜風」
「…ありがとうございます」
「なんか、新婚さんの雰囲気じゃないね」
「いえ、まだ現状が飲み込めて無くて…」
「首狩さんは、風紀委員会長と出て行ってしまいますし…」
「私は、結婚式で涙を流してしまった後を、良く覚えてないんです」
「ボウッとしてしまって…」
「気が付いたら、式は終わってしまっていました」
「上手くいったのは確かなのですが…」
「何があったのか、首狩さんは教えてくれなくて…」
「そりゃ、教えないよね…」
「?」
「あれ?2人は見事にキスをして、結ばれたんじゃ…」
キョトンとするネオン
「…!?」
「!?!!?!?!??」
動揺しまくっている夜風
言っちゃたよ…、という感じで、肩を落とす秋雨とスカル
「わ、私は首狩さんとキ…キ、キ…!?」
「キスしたんだって」
ネオンの痛恨の追撃
「…」
急に静まる夜風
「あれ?どうしたの?夜風」
「…」
「夜風?」
「…」
「ねぇ、秋雨君」
「?」
「気絶してない?」
「…え?」
頭から煙を上げ、オ-バ-ヒ-ト状態の夜風
「うわわわわ!!」
「何してんですか?皆、揃って…」
首狩帰宅
「く、首狩さん!夜風が…!!」
「どうしたんだ!?」
「…気絶しました」
「気絶!?」
それから、数十分後…
「あ、あれ?私は…」
「気が付いたか!夜風!!」
「わ、私…、何を」
「大丈夫だ!大したことじゃない!!」
「え?そうでしたか?」
気絶前のことは覚えてないようである
「あ!首狩君!!」
「何ですか?スカルさん」
「はい!お祝いの品」
スカルの手には、テ-ブルクロスが入った袋が握られていた
「綺麗ですね…」
見とれる夜風
「あ!会長からも、お祝いの品が…」
秋雨が会長から受け取った封筒を手渡した
ビリビリ
中身を確認する首狩
「「6時ぐらいに届けます」って、書いてるぞ」
「6時って、もうすぐだよね」
「お-い!退いてくれ!!」
後ろから、岩角の声
「岩角さん!!」
「会長からのお届け物だ!!」
岩角が、巨大なベットを抱えてくる
「部屋の中に置いておくよ」
「お、お願いします…」
「あ!手紙も付いてるから!!」
「は、はい」
手紙の内容を確認する首狩と夜風
「「私からは、ベットをお送りさせていただきます、2人で楽しんでね!!」」
「…コレはダメだろ」
みるみる顔を紅くする夜風と、汗だくになっていく首狩
「ま、俺は失敬するとしよう」
「じゃあな!首狩!夜風!!」
そう言い残し、岩角は帰って行った
「会長は、何を考えてるんだ…」
「俺は知らねぇ」
刃影が、秋雨の背後に立つ
「俺からも祝いの品だ」
「大事にしろ」
刃影が、2人に花束を渡した
「…水差しにでも差してろ」
「ありがとう、刃影」
「フン!!」
刃影は、品を渡すと帰って行った
「アイツも、素直じゃないな…」
「さて、僕も帰るとします」
「お幸せに!!」
「ああ、ありがとう!秋雨君」
「ありがとうございました」
その場を後に、秋雨は帰って行った
「…結婚か」
帰り道で、1人呟く秋雨であった
読んでいただきありがとうございました