勘違い結婚式
夜風の両親が勘違いしてしまい、結婚することになってしまった2人
村の人達が総動員されて、結婚式会場の準備が進められていた
式場裏
「どうしましょうか?首狩さん」
完全に困惑している秋雨
「「ジョ-クでも、何でも良いから言え」とは、言ったが…」
「「お見合いみたいですね」は、無いだろ…」
「す、すいません…」
「今更、「冗談でした」なんて、言える空気じゃないし…」
「お!ココに居たのか!首狩君」
夜風の父が走ってきた
「そろそろ、準備が完了するから、君も着替えてくれ!!」
「着替える?」
「タキシ-ドに、ね」
「じゃぁ、行こうか!!」
「え!?ちょっと!!お父さ…」
ズルズルと引きずられていく首狩
「君も来なさい!!」
「は、はい!!」
夜風の父に言われるまま、秋雨もついて行った
準備室
「この村はね、結婚式は村の皆で祝うんだ」
「うぅ…、夜風もあんなに可愛くなって…」
涙ながらに、首狩の着替えを手伝う夜風の父
「幸せにしてやってくれ!首狩君!!」
「は、はい…」
「お-い!準備できたぜ!!」
若者が、準備完了を告げる
「おお!今行く!!」
「さぁ、行こうか!首狩君!!」
「悪いけど、秋雨君は客席で待っていてくれるかな?」
「は、はい…」
結婚式会場
「それでは、新郎新婦の入場です!!」
パチパチパチ!!
大勢の人の拍手の中、首狩と夜風が手をつないで入場してきた
「それでは、首狩 虚様と、夜風 珠洲三様との結婚式を始めます!!」
パチパチパチ!!
「この度は…」
司会が、だんだんと結婚式を進めていく
「ああ、どうしよう…」
頭を抱える秋雨
「それでは、乾杯!!」
「乾杯!!」
村の人達が、一斉に乾杯をする
「ほら!秋雨君も!!」
「あ、はい…」
「か、乾杯…」
「それでは、乾杯も終わったところで…」
「ウエディングケ-キ入刀に移りたいと思います!!」
パチパチパチ!!
ガラガラガラ!!
大きなウエディングケ-キが運ばれてくる
「新郎新婦、お願いします!!」
起立する首狩と夜風
スゥ-と、ケ-キに刀が入って行く
秋雨は、気が付いた
首狩がこちらを見ている
どう考えても、「どうするんだ!?」と、言う信号だが、秋雨にはどうすることも出来ない
静かに、首を横に振る秋雨
諦めたかのように、清々しい顔の首狩
「それでは、食事の方へ移りたいと思います」
ガヤガヤと、だんだん賑やかになる会場
首狩と夜風は、お色直しのため、一旦退場する
準備室
秋雨と首狩の2人になった準備室
「本当に、どうするんだ?秋雨…」
「このまま、結婚じゃないですか?」
「やっぱり、そうなるか…」
「良いじゃないですか!夜風も美人だし…、悪い話じゃないのでは?」
「そうかも知れないが…」
「俺達は出会って1年も経ってないんだぞ?早過ぎというか…」
「やはり、ダメですか…」
いつの間にか、夜風が秋雨と首狩の後ろにいる
「すいません、両親が勝手に話を進めてしまって…」
「会場で、「勘違いだった」と、皆さんに言いましょう」
「それで、事は全て丸く収まります…」
そう言い残すと、夜風は準備室から出て行ってしまった
「夜風!!」
「首狩さん…、どうするんですか?」
「…良い案かも知れないな」
「アイツも、俺とは結婚なんてしたくないのだろう…」
「そんな…」
「首狩君!式が再開されるよ!!」
夜風の父親が迎えに来た
「…はい」
結婚式会場
「では、新郎新婦には、誓いのキスをお願いします!!」
パチパチパチ!!
大きな拍手が会場を、さらに賑やかにする
「…キスより、皆さんに謝罪があります」
夜風が話を切り出す
「その…、この結婚式は…」
言葉に詰まる夜風
ざわめく会場
「その…、勘違いで…」
夜風の目から、涙がこぼれ落ちる
「私と首狩さんは…、その…」
静まる会場
「どうするんですか…!?首狩さん…!!」
秋雨が心配そうに呟く
「愛し合ってなどは…」
次の言葉に詰まる夜風
「その…、その…」
「首狩さん!!」
立ち上がり、叫ぶ秋雨
「----ッ!!」
首狩は、泣いている夜風を抱き寄せた
「ここに、幸せを誓います!!!」
大声で叫ぶ首狩
そして、誓いのキスが行われた
「おぉぉおお!!」
パチパチパチパチ!!
大きな拍手で、会場がわき上がる
「え、え-、では!少々のハプニングもありましたが式を続行します!!」
それから、式は何事もなく終了した
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