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少女の悩み

寮に着くと、竜山が玄関にいた


「どうした?竜山?」


「…竜山?」



「秋雨…、追い出された」


「追い出された?」


「GLに」


「何で?」



「話せば長いけど…」


「俺が、火衣良ちゃんを連れて、食堂に行ったんだ」


「「おいしい!」って喜んでくれたけど…」



「食堂で働いている人達を見て、落ち込んじゃってさ…」



「何で、落ち込んだんだ?」


「「あの人達は、一生懸命働いてるのに、私は何にもしてない」って」


「ああ…、なるほど」



「寮に帰ったら、GLがワケを聞いて大激怒…」



「それで、今に至るのか…」



「誤解を解いてくれぇぇ!秋雨!!」


「解った!解ったから!!」




「…ただいまぁ~」



いつもの「おかえり~」が無い



「GL?」



「何よ!?」



キレてる…


「竜山も悪気が有って連れて行ったんじゃないんだから…」



「見なさいよ!!」


部屋の隅で火衣良ちゃんが泣いている



「確かに、可哀想だけど…」



「でしょ!?」



「…そう言えば!!」



「何よ!?」


「喫茶店で、人手が足りないって!!」



「…それがどうしたの?」



「火衣良ちゃんが働けば…!!」



スッパァァァン!!



スリッパで思いっきり叩かれた



「ッッッッッ!!」



「バカじゃないの!?アンタ!!」



「な、何が?」



「いくら金田さん達とは言え、男よ!!」



「それがどうしたんだ…?」



「火衣良ちゃんが酷い目にあったらどうするの!?」



怒りすぎて、冷静な判断を失ってる…



「まず、無いと思う…」

「そんな事、聞いたことないし…」



「万が一よ!!」



コレは、一旦、下がった方が良いな



「後で、もう一回来ます…」



「出直してきなさい!!」




どうしたら良いんだか…



竜山は完全にダメだし、GLは暴走してるし、火衣良ちゃんは泣いてるし…




「…あの人に相談しよう」




喫茶店は客も減り、落ち着いていた



「金田さん」



「お、秋雨君じゃないか」


「ロリコンですか?」



「な、何が…」


理由を説明した




「ふぅん…、なるほどね」



「火衣良ちゃんを雇ってくれませんか?」



「良いけど…、問題はGLだろう?」



「それなんですよ」



「この店にロリコン趣味の奴は居ないし、全員、戦闘にしか興味ないからね」



「凄い店ですね…」


「ほめ言葉として受け取るよ」




「じゃぁ、火衣良ちゃんに、直接聞いたら良いんじゃないかな?」


「直接ですか?」



「ここで、働きたいか、働きたくないか、ね」



「でも、GLが…」



「大丈夫!その点は任せて!!」


「え?」



「君は、寮に戻って玄関で待っててね」



「…はい」





いったい何のことだろう?


とりあえず、玄関で待つことにした



ピチュン!



何かが、風を切る音がした


バタン!!



部屋の中では、何かが倒れた音がした



「何だ!?」


部屋に入った僕の目には、倒れたGLが映った



「GL!!大丈夫か!?」



「ん…、ムニャ…」



…寝てる?



窓の小さな隙間から、何か見える



アレは…


金田さん!?


手にはスナイパ-ライフル!?



って、事は!!

睡眠弾でも撃ったのか!?



この距離を!?


あの人はゴ◯ゴ13か!?



「GLお姉ちゃん…?」


火衣良ちゃんがオドオドしながら歩いてくる



「死んじゃったの?」


「大丈夫!寝てるだけだから」



「本当…?」


「本当だよ」



「それより、聞きたいことがあるんだ」


「…何?」



「火衣良ちゃんは、喫茶店で働きたい?」


「…どうして?」



「竜山に、「私は何もしてない」って言ったんだろう?」



「意味が違うの…」



「意味?」


「GLお姉ちゃんは料理作ってくれる」


「竜山お兄ちゃんは布団を敷いてくれる」


「秋雨お兄ちゃんは洗濯物をしてくれる」


「他にも、皆、いっぱい仕事してる」



「なのに、私だけ何もしてないな、って…」



「それなら、心配は要らない」


「竜山…」



いつの間にか、竜山が入って来ている


「火衣良ちゃんが居ることで、皆、心が安らぐんだ」


「心配しなくても、火衣良ちゃんは、しっかり仕事をしているんだよ…」


そう言うと、竜山は火衣良ちゃんを、優しく抱きしめた


「竜山お兄ちゃん…」


「う゛…、う゛ぇぇええぇん!!」



流石、女心は解ってるんだな…



「…これは、喫茶店での仕事は無しだな」



「今、仕事してくれてるからな」


「…ああ」




次の日、僕は金田さんに謝罪に行った



「すいませんでした!!」


「いやいや、良いよ」


「中々、感動的な物を見せて貰ったからね」



「人手は、また、誰か募集しよう」



「…ありがとうございました!!」



「あの子を大事にしてあげなさい」


「…はい!!」



その日から、火衣良ちゃんは、さらに明るくなった



読んでいただきありがとうございました

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