デ-ト作戦
「まずは、水無月さんを、誘うことだよ!」
「何処に誘えば良いんだ…」
「遊園地でしょ!!」
場所は、遊園地で決定
「私は、これ以上は協力できないよ!」
「何で?」
「…自分で見つけてね、ってこと!!」
「うん、ありがとう」
「頑張ってね!!」
「頑張る!」
2年寮の、水無月さんの部屋の前
「失礼します」
「…何だ?」
「先刻は申し訳ございませんでした」
「…」
「お詫びとして…」
「遊園地に出かけませんか?」
「…」
バタン!!
扉を、強く閉められてしまった
ダメだったかな…
ガチャッ
扉が開いた
「行くぞ」
…私服に着替えてる
「会長に許可は貰ったのか?」
「…まだです」
「貰ってきて」
「…はい」
会長に、この事を話すと…
「まぁ、良いでしょ」
「行ってきなさい」
あっさり、許可が貰えた
「行きましょう、水無月さん」
「…うん」
「ここが遊園地か…」
「何処に行きます?」
「何処でも良い…」
滅多に、遊園地なんて来ないから、何処に行けば良いか、解らない
「ん?」
足下には「お化け屋敷」と、書かれたチラシがある
「これ、行ってみます」
「!!」
「どうかしました?」
「…何でもない!!」
「フフフフッフ!!」
「作戦成功!!」
林の影には、会長と火衣良ちゃん、天鹿和さんのスト-カ-集団
「2人には気づかれてないですね」
「天鹿和君!!裏、出して頂戴!!」
「…何でですか!?」
「水無月ちゃんがお化け屋敷、苦手なの知ってる?」
「ええ、虫も嫌いでしたね…」
「お化け屋敷に先回りして、裏のセンスで改造してきなさい!!」
「…R18になりますけど」
「心配ないわ!!」
「…行ってきます」
「ここですね」
お化け屋敷、と、書かれた看板がある
「いらっしゃい」
「一周したら、出口から出てね」
「解りました」
暗いな…
中は結構、暗い
「水無月さん?」
「な、何だ!?」
「…手」
僕の片手は、水無月さんに、しっかりと握られていた
「…怖いんですか?」
「こ、怖くない!!」
ガッシャン!!
上から人が振ってきた
「!!」
「え-と…、水無月さん?」
片足が動かない
水無月さんが抱きついているからだ
「そこで、「心配ありませんよ」でしょ!!」
裏では会長と火衣良ちゃんがキレている
「戻ります?」
「う…、うん」
結局、退場することになってしまった
「あ-、最後まで行かなかったわね」
会長のため息
「天鹿和君!!戻ってきて~」
「改造、終わりました!!」
「もう良いわよ…」
「後は、看板にR18って書いときなさい」
「…はい」
「次は、メリ-ゴ-ランド、行きます?」
「行く!!」
反応が、早いな…
僕は、水無月さんの、隣の馬に乗った
「ここは、火衣良ちゃんの出番ね!!」
「まかせて!!」
「天鹿和お兄ちゃん!」
「何だい?」
「メリ-ゴ-ランドを、思いっきり揺らして欲しいの!!」
「良いけど…」
「おりゃ!!」
「何だ!?」
メリ-ゴ-ランドが大きく揺れた
「きゃぁ!!」
「危ない!!」
どうにか、水無月さんをキャッチできた
「大丈夫ですか?」
「…ありがとう」
「ナイス!火衣良ちゃん!!」
「流石ね!!」
「天鹿和君と違ってやるわね…」
「会長命令だったんじゃ…」
「何か言った?」
「何も言ってないです!!」
「最後は私の出番ね!!」
「もちろん、舞台は…」
「観覧車よ!!」
…?
林から「観覧車へ行こう」の、ビラが大量に飛んでくる
「観覧車、行きます?」
「…うん」
観覧車は結構、人は居なかった
「お乗りください」
黄色い観覧車に乗った僕達は、夕焼けを視ていた
「…その、水無月さん」
「何?」
「この前は、すいませんでした!!」
「…もう良いよ」
「私も、少し酔ってたから」
また、飲んでたのか…
「メリ-ゴ-ランドでは、助けて貰ったし…」
「…ありがと」
「…可愛いですね」
「え!?」
「あ、いや、何でもないです…」
しまった…
一気に気まずくなった…
「天鹿和君!!もう一回、頑張ってね!!」
「コレはキツいでしょ…」
「やれば出来るよ!!」
「頑張って!!お兄ちゃん!!」
「ウオォォォオオリャァ!!」
天鹿和さんの本気のパンチが、観覧車を大きく揺らした
「また!?」
「揺れます!気を付けてください!!」
「きゃぁ!」
「水無月さん!!」
…彼女を下から、支えようとしたのが間違いだった
「…!!」
こんな展開、有って良いはずがない
「揺れ、止まったね」
「…秋雨君?」
水無月さんが、スカ-トを着てきたのが、いけなかったのか?
「あの…、水無月さん」
「秋雨君!?何処行ったの!?」
「…下です」
スカ-トの下に、潜り込む形になってしまった
「!!」
「この…!!」
「変態!!」
「ガハァァ!!」
蹴りが、顔面に飛んできた
「…作戦成功みたいね」
「失敗と思いますが…」
「あの2人、大丈夫かな…」
「私たちは帰りましょう」
「そうですね」
「うん!帰ろ-!!」
帰り道は、大変だった
「水無月さん…」
「話しかけないで!この変態!!」
「アレは、事故だったんですよ~!!」
「私を支えようとしたんでしょ?」
「ええ、そうですけど…」
「ありがとう」
「…どういたしまして」
「でも、スカ-トの下に潜り込まないでよね!!」
「だから、事故だったんですよぉ~!!」
どうにか、水無月さんとは和解できた
骸瀧さんに殺されることもないだろう
後々、あの遊園地のお化け屋敷が、「日本一恐ろしいお化け屋敷」になったそうです
読んでいただきありがとうございました