成すべき事
「ゴホッ!ゴホッ!!」
(「大丈夫かい?秋雨」)
「はい…、どうにか…」
(「それにしても、よく頑張ったね」)
秋雨の回りに浮いている無数の魂
(「コレで良い」)
(「この魂は自然に体へと帰って行く」)
「そうなんですか…」
(「私も体に帰ろう」)
「体は?」
「鬼面族の村にある」
呟くウェン
「コレを使え」
「え?」
「煙幕移動と言ってな…」
「ヤグモ側の科学者が完成させた物だ」
「そうなんですか…」
「行ってこい」
「はい…!!」
ボンッ!!
「…秋雨君は行ったのかい?」
「そうだ」
「ケイジ、どうした?」
「何が?」
「えらく嬉しそうだな」
「…ミシロは生き返る」
「本当か!?」
「ああ…、本当だ」
「だが、良いのか?ウェン」
「…何だ?」
「その女性を残して」
「あ?」
「はい!?」
岩陰に隠れているキユラ
「…何をしている?」
「あ、えっと…」
「そう言えば、浮遊線にも乗ってなかったな」
「何故、乗らなかった?」
「私、敵だし…」
「そうかな?俺達は助かったが」
「え?」
「君のおかげでヤグモから月神を取り出せた」
「君のハジャに対する思いのおかげでね」
「…はい」
「…それにしても、面白い戦いだったな?蘭斬」
「何がだ?ノ-ス」
「ヤグモは「思い」が原因で負けた」
「時代は繰り返される物だ」
「…その繰り返される時代にも、奴は居ない」
「いつの大戦にも中心だった奴がな…」
「…いつかは戻ってくるさ」
「そう言う奴だ」
「…そうだな」
「そう…、信じたい…」
鬼面族の村
ボンッ!!
「敵襲か!?」
「何か…、慣れませんね…」
(「私も初めてだ」)
(「技術力は進歩するね」)
「そうですね…」
ガシャガシャ!!
秋雨に向けられる大量の武器
「はい…!?」
「侵入者だな?大人しくしろ」
「何処から来た?目的は?」
「え…、いや…、ちょっと…」
「やめんか!馬鹿者!!」
「ぞ、族長!!」
「彼は秋雨 紅葉、味方だ」
「秋雨、地下で和風が待って居るぞ」
「…はい」
「えっと…」
「この村の者共は全員、無事だ」
「和風の活躍もあってな」
「良かった…」
「早く行け」
「は、はい!!」
地下研究施設
「和風さん…?」
「来たね」
「月神の体はカプセルの中に有る」
(「私の体…」)
「懐かしいだろう?月神」
「お前の体だ」
(「…秋雨、変わってくれ」)
「え?」
(「良いから!!」)
「は、はい!!」
「変わったかい?」
「…コレが私の体」
「そうだ」
「再生に時間は掛かったが…、完璧な状態と行っていい」
「違う」
「何だと!?」
「私の体じゃない」
「バカな!間違いは…」
「こんなに胸は小さくなかった」
「もう1ランク上だった」
「…黙れ」
「そんな事ない!!」
「もっと、ボンッキュッボンッのナイスバディだった!!」
「いつ時代だよ…」
「体が有るだけマシだろ?」
「仕方ないね…」
「感謝してよ!?コレで我慢するんだから!!」
(何で俺が悪いみたいになってるんだ…?)
ガポン
カプセルから出される月神の体
「入るよ…?」
「ああ、入れ」
「拒絶反応が辛いかも知れないが…、すぐに収まるはずだ」
「…」
シュゥウウウウ…
「…っと!!」
「戻ったか、秋雨」
「月神さんは!?」
「目の前だ」
「この人が…」
「お前は一度、見ているだろう?」
「止まった時の中で」
「どうして知ってるんですか…?」
「…俺も計画の協力者だからね」
「メタル側と炎鬼側、両方の」
「…そうでしたか」
「メタルは死んだのか?」
「…死んでません」
「いつか必ず!帰って来ます!!」
「そうだ、その通りだ」
起き上がる月神
「希望を捨ててはいけない」
「必ず、彼は戻ってくる」
「希望じゃありません」
「絶対です」
「…メタルに似てるね」
「その帽子の影響?」
「え?」
「君なら、私を見て恥ずかしがると思ったんだけど」
「全裸だし」
「あ、そう言えば…」
「何でだろ?」
「…和風」
「何だ?」
「もしかして、メタルの帽子に浸食されてないか?秋雨」
「…かも知れないな」
小さく笑う和風
「本体が帽子で…、体は偽物!?」
「待て待て、想像を膨らましすぎだ」
「そんな事はない」
「だよね…」
「お前、行くんだろう?」
「使うか?煙幕移動」
「…いや、良い」
「自分の足で行く」
「…そうか」
「秋雨!!」
「何ですか?」
「月神について行ってやれ」
「月神さんに?」
「和風!私1人でも大丈夫だ!!」
「体が拒絶反応で上手く動かないだろう?」
「う…」
「月神さん、アナタを彼氏さんに合わせるのも僕が成すべき事の1つです」
「…解った」
「行こう」
「はい!!」
読んでいただきありがとうございました