陰陽の槍
バチバチバチ!!
激しく発光するヤグモの腕輪
「離せぇぇぇええええ!!」
ゴッ!!
「ッ…!!」
秋雨の腹部にヤグモの脚がめり込む
「ああ…!!」
ドシャァアアアアア!!
吹っ飛ばされる秋雨
「秋雨!大丈夫!?」
「どうにか…」
「危ねぇ…、もう少しで腕輪が破壊されるところだった」
「だが…、流石はシ-だ」
「この程度では壊れない」
バチバチッ…
(流石にダメ-ジぐらいは受けるか…)
「壊れないなんて…!!」
「…秋雨、お前が作った刹那は無駄だ」
「結果、自分の体を傷付けたに過ぎない」
「無意味じゃない」
ガッ!!
ヤグモの脚が大斧を受け止める
「…何をする?ガルス」
「お前は大人しく、オキナの相手でもしていれば良い」
「…オキナと戦う理由も必要もない」
「ただ…、漸く…、だ」
「あ?」
メキメキメキ…
(斧を押す力が…!?)
ガッ!!
さらに防ぐ脚を増やすヤグモ
「漸く…、ブチ切れられる」
ゴォアアアアァアアアアア!!
「!!」
ヤグモとガルスを凄まじい嵐が包む
「ガルスさん!?」
「感謝するぞ…、秋雨」
「そして…、離れていろ」
ピッ
ヤグモの頬が切れる
(月神と同化した俺の体を…!?)
「コイツ相手に…、手加減できる自信がない…!!」
ガガガガガガガガガ!!
「うぉおぉお…!?」
「ヤグモォ…、俺は、お前が世界を滅ぼそうとしている事に切れてるワケじゃねぇ…」
「お前が…」
ガシャァ…ン…
斧を振りかざすガルス
「従業員で、仲間で、戦友で…、親友を」
「殺した事に…」
ピピピ!!
ヤグモの腕が脚が頬が、鋭く、小さく切れていく
(マズイ…!!)
「ブチ切れてるだけだ!!!」
ゴォォォオォォオォォォオォォォォォオ!!
「うぐぉ…!?」
「大鎌鼬・神嵐…」
ガルスの回りを黒い風が包む
「逝け、冥獄に」
「全力を、総力を、尽力をもって…、俺はお前を殺す」
「笑えん冗談だ」
「貴様、この状況が解っているのか?」
「何が?」
「神に逆らったゴミクズが…、生き残れると思うな」
ヴヴヴヴヴ…
ヤグモの手に巨大で異形の槍が現れる
「コレが…、俺も初めて視る」
「それは…!!」
「月神の武器…、あの神具を作った天条が生涯をかけ、作ったとされる武器…」
「「陰陽の槍」だ」
ガシャァン
ガルスに槍を向けるヤグモ
「威力は…」
ブン!!
「!!」
ガシャァァァン!!
咄嗟に斧で防ぐガルス
カラン…
(斧が…!欠けた…!?)
「申し分ない…、と」
「面白い道具だ」
「面白い奴だ…」
「「他人の道具は自分の実力」…ってか?」
立ち上がるガルス
「「他人」?それは違う」
「月神は俺で、俺は月神だ」
「…本当に面白い脳ミソしてるな」
「この嵐も…、この武器があれば切り裂けるか?」
「切り裂けるだろうな」
「させると思うか?」
「するさ」
「お前に俺は止められない」
「止める!!」
「大丈夫でしょうか!?ガルスさん!!」
「大丈夫か、どうかは解らない」
「だが…勝算は有るかもしれない」
オキナの頬を汗が伝う
「え!?」
「普段、アイツは温厚で冷静だ」
「アイツが切れたは…、メタルを殴り飛ばしたとき以来だ」
「メタルさんより強いんですか!?」
「解らない…、だがガルスの強さはメタルや金田より未知数だ」
「もしかしたら…」
「ガルスさん…!!」
「ぐがぁ…!!」
「炎鬼!!」
炎鬼が苦しみ出す
「炎鬼!大丈夫!?」
炎鬼に駆け寄る亜門
「この野郎…!世界を滅ぼす手助けをしたのは、お前だろうが…!!」
「それでも…!生きてて良かった…!!」
ポツッ…、ポツッ…
炎鬼の顔に亜門の涙が落ちる
「冷たいだろうが…、バカ野郎…」
「うぐぅ!!」
「炎鬼!!」
「炎鬼!大丈夫か!?」
オキナが炎鬼に駆け寄る
「…!!」
「お前…!この体…!!」
「どうしたんですか!?オキナさん!!」
叫ぶ秋雨
「もしかして…!ヤグモの毒が!?」
「それなら!治療できます!!」
「直接、防がれてないなら…!!」
「…違う」
「コイツの体は、元々…、限界だったんだ」
「それ以上、言うな…!オキナ!!」
オキナを睨むえんき
「戦闘を重ねる日々だ」
「生命エネルギ-も…、体自体も限界だったんだろう」
「オキナ!!」
「戦闘の日々…?」
「…亜門、どうしてヤグモがお前に協力要請や拉致をしなかったと思う?」
「言うな!!」
「炎鬼が、ずっとお前を守り続けたからだ」
「…!!」
「このバカが…!!」
手で顔を押さえる炎鬼
「炎…鬼…?」
「ずっと…?」
「ガムナさんが教えてくれた」
「炎鬼はお前を「足手まとい」なんて思ってなかったんだよ」
「炎鬼…!!」
炎鬼に抱きつく亜門
「…離れろ、ウザってぇ」
「オキナさん、炎鬼さんを治療しましょうか?」
「ああ、そうだな」
「秋雨、GLは治療したのか?」
「はい!勿論!!」
「ちょっと手荒だったけど」
呟くGL
「…そうか」
「このバカの傷は残した方が良いんじゃないか?」
「良い薬だ」
「アハハハ…」
苦笑する秋雨
ゴォアァァァァァア…
嵐が静まる
「出てきたな」
「ガルスさ…ん?」
「雑魚が」
「言っただろう?」
「「神に逆らったゴミクズが…、生き残れると思うな」」と
槍に突き刺されているガルス
「ガルスさん!!」
「悪い…、ドジ踏んだ…」
「黙ってろ」
ゴッ!!
さらに深く槍を突き刺すヤグモ
「がぁ…!!」
「何奴も此奴も…」
「無駄な時間稼ぎばかりだな」
「黙れ…!!」
「それにしても…、この陰陽の槍は素晴らしい武器だ」
「人を殺すのには最高の武器だな」
「人を殺すために武器は有るんじゃねぇ…!!」
「死に損ないが…」
「メタルと金田に会ってこい」
「お前がな…!!」
ポス…
ヤグモの顔を蹴るガルス
「…何がしたい?」
しかし、その力は無に等しくダメ-ジは勿論、傷すら与えられない
「やっぱ…、ダメか」
「オキナ…、後は頼んだ」
「ガルス!!」
「死ね」
ゴッッッッッ!!
「ガルスさん…!!」
ドシャ…
地面に崩れ落ちるガルス
「…さて、コレでメタル組は死滅だ」
「次はオキナ組か?」
ガシャァン
槍を肩に乗せるヤグモ
「結果は変わらない」
「「お前達は死ぬ」…」
「それだけだ」
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