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王の計画

鬼面族の村


地下


「速く歩け」


炎鬼に連れられている3人


「コレ、取ってくれる?」


「却下だ」


3人の目には目隠しがされている


「ここ、鬼面族の村かな…?」


「解らないわ」

「でも、行動を起こす準備はしておいた方が良いわね」


「言わなかったか?」

「全部、筒抜けだ」


「筒抜けな事が解って言っているのよ」

「私達が脱出しようとしてるって、アナタは解ってるでしょう?」

「脱出する上での計画じゃなければ、聞かれても構わないって事よ」

「捕まって脱出を考えないバカは居ないわ」


「フン…、気の強い女だ」


「あら?そうかしら?」


「その気の強さは俺の目的に役立つ」


「…?」


「ここだ」


バタン


部屋に入っていく秋雨達と炎鬼



地下研究室


「…目隠しを取ってやれ」


「はっ!!」


兵が3人の目隠しを取る


「ここって…!?」


「鬼面族の村の地下施設だ」

「心配せずとも、もうイトウ達は居ない」


「「もう」…?」


「コレを見ろ」


「う…!!」


口を押さえるGL


「コレって…!!」


「目を逸らすな」

「お前達が頼ってきた者の結果だ」


3人の目の前にはカプセルに入ったメタル


「何で…!?こんなに…!?」


その体はズタズタに引き裂かれており、原形を留めていない


「どうにか解る状態だろう?」

「このツバ帽子と顔が無ければ、誰かは解らないはずだ」


「…何故、炎鬼さんがメタルさんを?」


「死体を回収しただけだ」

「まぁ…、イトウ達にとっては、メタルが死ぬのは想定内だっただろうが」


「…!?」


「メタルが死んだのも金田が死んだのも、イトウが一時的に裏切ったのも、奴達が計画していた事だ」


「え…!?」


「この計画は単純明快」

「それ故に、ヤグモは奴達の計画性を読めない」


「…どうして、その計画をイトウさん達は僕達に教えてくれなかったんですか?」


「相手に精神攻撃を使う者が居たらどうする?」

「お前達の脳内を除かれて計画はパ-だ」


「それで…」


「今から奴達が話さなかった計画を話してやる」


「そんな事したら…!!」


「その通りだ」

「計画はヤグモ側に知れ渡る」


「竜山!GL!耳を塞げ!!」


「わ、解ったわ!!」


耳を防ぐGL


「…」


耳を塞がない竜山


「竜山!?」


「…今の話、おかしくないか?」


「?」


「鋭いな…、小僧」


「その計画をヤグモに知らせたいのなら、自分で言えば良いだろ?」

「どうして、こんなに回りくどい事するんだ?」


「確かに…」


「炎鬼…、って言ってたっけ?」


「そうだ」


「お前、敵か?」


「…合格だ」


小さく笑う炎鬼


「今回の計画、お前達に手伝って貰うぞ」


「「計画」?」


「俺の計画は、ヤグモが月神を復活させようとした時にメタルを復活させる」

「それだけだ」


「それだけ…?」


「メタルが死んだのは計算外だったが…」

「まぁ、俺の計画に支障はない」


ため息をつく炎鬼


「俺が前回の戦いでメタルを助けなかったのは、紋章をヤグモに渡したのは、ヤグモの信頼を得るため」

「ヤグモは俺が味方だと信じ切る」


「…それが目的でヤグモに味方を?」


「そうだ」

「後はヤグモの行動を見るため、仲間を演じ続ける」

「ヤグモに知れたら逃げるだけだが」


「…僕達が協力する事って?」


「簡単だ」

「ヤグモのアジトで騒ぎを起こす」


「何故ですか?」


「ヤグモのアジトに奴の死体がある」

「お前達が騒ぎを起こしてる間に、俺が奴の死体を奪う」


「「奴」?」


「金田だ」

「メタルと金田の死体さえ有れば、俺の計画は完全な物となる」


「…その計画は矛盾してないかしら?」

「確か、1人を蘇らせるのに1人分の魂が必要だから、メタルさんを復活させれば金田さんの分の魂が足りないはずよ」

「それに、私達がヤグモのアジトで騒ぎを起こした後は、どう脱出すれば良いの?」


「脱出ぐらいは手伝ってやる」

「金田の魂を蘇らせるには月神を使えば良い話だ」


「私達が従えば、メタルさんも金田さんも蘇るのね?」


「ああ、そうだ」

「ヤグモは誰かを月神の憑依体にし、シ-の機械で自在に操るだろう」

「だが、機械を壊せば俺達に月神は協力するはずだ」

「少なくとも、ヤグモに協力はしない」


「…その計画、成功するの?」


「ああ、成功するはずだ」


「…どうして、アナタがメタルさん達の計画を知ってるのかしら?」


「何、このバカの脳内を除いただけだ」

「死人の脳内を除くのは容易いからな」


「私達を試した理由は?」


「お前達がバカか臆病かで計画に使うかどうかを決める気だった」

「どちらでもなくて良かったな」


「どういう事?」


「役立たずなら殺していた」

「この場を見られて、タダで帰すわけにはいかんからな」


「…そうですか」


「今からヤグモのアジトに向かう」

「行くぞ」


「今からですか!?」


「今からだ」

「お前達に選択権はない」


「またですか…」

「ヤグモのアジトで、どんな騒ぎを起こせば?」


「目に着く物、全てを破壊しろ」

「簡単だろう?」


「…解りました」


「ああ、始めに言っておいてやる」

「仲間が死んでも、放っておけ」

「構えば自分も死ぬぞ」


「…死なせません」


秋雨が炎鬼を睨む


「小僧、言葉に気をつけろ」

「コレは戦争だ」

「「死なせない」など、夢のまた夢だ」


「僕の能力なら…!!」


「お前の能力が異種だとは聞いている」

「だが、魂を呼び戻せる程の物か?」


「はい…!!」


「…クックック!!」


笑い出す炎鬼


「この小僧が」

「冗談も程々にしろ」


「本当です…!!」


「…では、試させて貰う」


ドスッ


「…え?」


炎鬼がGLの胸を刺す


「GL!!」


「お前!!」


炎鬼に突っ込む竜山


「引っ込んでいろ」


ドゴン!!


竜山を蹴り飛ばす炎鬼


「さぁ、やってみろ」

「この女は即死だ」


「GL!今、治す!!」


シュゥゥゥゥウウゥウウ…


GLを治す秋雨


「ほう、本当に治っていくな」


グゥン…


「出た…!!」


「闇か」


ズパァン!!


闇を斬り裂く炎鬼


「何を恐れている?」


「闇を…!!一瞬で…!?」


「早く治せ」


シュゥウウウゥウ…


「うぅ…」


目を覚ますGL


「GL!大丈夫か!?」


「ええ…、何とか…」


「女、何か見たか?」


「え?」


「地獄で何か見たか、と聞いている」


「地獄って…」

「先刻、私が見た物の事?」


「そうだ」


「何だか…、黒い物」

「動いてたけど…」


「…面白い事になってきたな」


「何が言いたいんだよ!?」


怒鳴る竜山


「この女が見たのは闇だ」

「冥獄に魂を連れて行こうとしていたんだろう」


「「冥獄」って…!!」


「地獄より、さらに下だ」

「冥獄に墜ちた物は、永遠に蘇えられない」


「それは知ってるわ…」

「でも、私を連れて行こうとしたって…!?」


「地獄の魂が不足している」

「恐らく、闇は魂のバランスを元に戻そうとしているんだろう」


「それなら、地獄に連れて行けば良いんじゃ…!?」


「ハジャが冥獄に魂を引きずり込もうとしているな…」

「と、言うことは…」


押し黙る炎鬼


「…小僧、メタルを復活させられるか?」


「出来ると思います」


「今はボロボロだ」

「体の回復を待つしかない…、か」

「メタルを回復させている間に、金田の体を奪いに行くぞ」


「どうして体が必要なの?」


「お前は、どうやってス-プを飲む?」


「え…?器に入れて…」


「それと同じだ」

「中身が有ろうと、入れ物がなければ意味はない」


「そうなんだ…」


「さて、ヤグモのアジトに行くぞ」


「は…い…」


バタン!!


倒れる秋雨


「秋雨!!」


「どうした?」


「エネルギ-の使いすぎだと思う…」

「この前も、こんな事が…」


「…エネルギ-量が少ないんだな」

「それ以上のエネルギ-を使えば死ぬ…、か」

「まぁ、良い」


歩き出す炎鬼


「行くぞ」


「ちょっと!秋雨はどうするの!?」


「知った事か」

「寝かせておけ」


「え…!?」


「早くしろ」


「…ッ!!」


「GL、秋雨の様子を見ていてくれ」


「竜山…」


「俺が行ってくる」

「すぐに逃げるから大丈夫だ」


「死なないでよ…!!」


「解ってる」


「この施設に残るのなら、外には出るな」

「鬼面族の連中に見つかると面倒だからな」


「…はい」


「行ってくる」


歩き出す竜山と炎鬼


「…竜山!!」


「何だ?」


「絶対…!絶対、死なないでよ!!」


「…解ってるよ」

読んでいただきありがとうございました

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