覚悟
1年寮
「お帰り!秋雨!!」
1年寮の秋雨達の部屋では、パ-ティ-が開かれていた
「よく戻ったね、秋雨君」
「本当に良かった…」
「俺達も行ってたんですけど…」
呟く竜山
「ああ、それも含めたパ-ティ-だよ」
「ともかく、皆、よく帰ったね!!」
「はい!!」
「さぁ!食べよう!!」
食卓には豪勢な料理
「GLお姉ちゃん!そこのサラダ、取って!!」
「はい、どうぞ」
「ありがと-!!」
「このチキン、美味いな!!」
「私が手塩にかけた作った料理だからね!!」
「マズイはずがないよ!!」
「…あの食卓の端に有る禍々しい料理は?」
「私が作ったの…、ダメかな?」
泣きそうになる水無月
「いえいえ!そんな事はありませんよ!!」
「竜山君、水無月ちゃんが作った料理を食べられないとでも言うのかい?」
「そんな事、無いですって!!」
バクン
「うぐ…!!」
「おいしい?」
「おい…し…」
バタン
「竜山君!?」
「水!水!!」
竜山に水を飲ませるGL
「ぶっはぁ!!」
「あ、生き返った」
「大丈夫!?」
「うん、水無月先輩の料理が美味すぎて…」
「じゃぁ!もっと食べて!!」
「え…」
「どうしたのかな?竜山君」
「何でもないです…、骸瀧先輩…」
「竜山お兄ちゃん!私が作ったのも食べて!!」
「火衣良ちゃんの?」
「お!美味そうだな…」
火衣良の手にはピザ
「どれどれ…」
「うん!美味い!!」
「ありがとう!!」
「私のは?」
「お、おいしかったです…」
「私もいただこう」
水無月の料理を食す骸瀧
「うん、おいしいね」
「そう!?やった-!!」
「秋雨君も、どう!?」
「…」
「秋雨君?」
「あ、いただきます…」
水無月の料理を食す秋雨
「う…!!」
「おい…しい…で…す」
(耐えた!!)
「やった-!!」
大喜びの水無月
「…秋雨、どうしたの?」
「…何が?」
GLが秋雨に語りかける
「何だか…、いつもと違う…」
「…何でもないよ」
「もしかして…、まだ異世界の事、気にしてるの?」
「…そうかも知れない」
「アレは…、仕方ないのよ」
「もう、忘れた方が良いわ…」
「本当に…」
「本当にそれで良いのか!?」
叫ぶ秋雨
「…え?何?何?」
困惑する竜山達
「確かに!イトウさん達は僕達を思って、学園に帰してくれたのかも知れない!!」
「でも!この学園には…!!」
「変な校長も!陽気な喫茶店の人達も!恐ろしい保健室の養護教諭も!気楽な二重人格の先輩も居ない!!」
「こんな学園…、僕の知ってる学園じゃない!!」
「秋雨…、お前、まだ異世界の事を気にしてたのか…」
「竜山!お前は忘れられたのか!?異世界の事を!!」
「イトウさんやメタルさん…、金田さんにガルスさんに校長!そして…天鹿和さんの事も!!」
「忘れるはずがないだろ!!」
叫ぶ竜山
「忘れられるはずが…!ないだろ!!」
「…だから、やる事は1つだ」
「もう1度、異世界へ行く」
「…俺達が試してないと思うか?」
「教頭に断られただろ?」
「…ああ」
「「どうしても」って言ったら、武器まで取り上げられたよ…」
「俺の日本刀も、お前のハンドガンも…」
「それで、どうするんだ?」
「例え、武器が無くても行く」
「僕の能力は自分の命を削るけど…、そんな事は関係ない!!」
ガランガラン!!
「え?」
秋雨達の部屋の前で大きな金属音がする
「何だろ…?」
「俺、見てくる」
部屋を出て行く竜山
「あ!!」
「秋雨!コレ!!」
「え?」
竜山の手には秋雨と竜山の武器
「あ…!!」
「どうして…!?」
「解らないけど…」
「コレで準備は整った!!」
「…行くのかい?」
「行ってきます!!」
「…悪いね」
秋雨達の前に立ちはだかる骸瀧
「教頭からキツく言われてるんだよ」
「君達を「異世界に向かわせるな」ってね」
「…ッ!!」
「行って、皆」
水無月が骸瀧の前に立ちはだかる
「…どういう事かな?水無月ちゃん」
「秋雨君達を行かせてあげて」
「…そう言うわけにはいかないよ」
ジャララララララ!!
玄関が鎖で封鎖される
「コレで…」
バチィン!!
骸瀧の鎖を溶かす秋雨
「後で直しますから!!」
「な…!?」
「行って!秋雨君!!」
「ありがとうございます!水無月さん!!」
走っていく秋雨と竜山とGL
「…仕方のない子だ、水無月ちゃん」
「反抗期だよ…!!」
屋根
「…随分、お人好しだな?白刃之」
「武器を運んだぐらいで「お人好し」か」
「笑わせる…」
小さく笑う白刃之
「…鬼怒、俺の役目は終わった」
「後はお前次第だ」
「…ああ」
バタン
屋根から出て行く鬼怒
「…まぁ、予想はしていた」
「彼達を行かせるわけにはいかないのでね」
スカルが白刃之の背後に立つ
「お前の相手は俺だ」
「解っているよ」
「悪い生徒にはお仕置きだね」
「やってみろよ…、教頭先生」
廃校、地下
「…誰も居ない?」
「そうみたいだけど…」
「見張りの1人ぐらいは付けるだろう」
「!!」
暗闇から柳舞と舞桜が出てくる
「柳舞さんに風華会長…!!」
「悪いけど、この「扉」を通すわけにはいかないな」
「悪いですけど、俺達も止められるわけにはいきません…!!」
「シャ-ク国王やティルリア国王達を異世界に帰した」
「もう、この「扉」は開かない」
「…イトウさん達は、もう戻ってこない、って事ですか?」
「そうだ」
「異世界で、この件を終わらせるそうだよ」
「…その後は?」
「関係ないね」
秋雨達に突っ込む
ガキィィィィィィィィン!!
「…!!」
鬼怒が柳舞を止める
「…鬼怒、どう言う事だ?」
「お前を止め、秋雨達を異世界に行かせる」
「それだけだ」
「…理由を聞かせて貰おうか」
「コイツ達の「覚悟」を見た…、と言っておこうか」
「言い出したのは白刃之か?」
「…よく分かったな」
「アイツらしい理由だ」
「舞桜!!」
「解ってるわよ」
秋雨達の前に立ちはだかる舞桜
「俺も来て良かったな」
ダァン!!
「アナタは…!!」
「会長がうるさくてね」
「「鬼怒を手伝え」って」
「アナタまで、学園に逆らうのかしら?鏡燕風紀委員副会長」
「幾らでも逆らうよ」
微笑む鏡燕
「残念です」
「俺も残念だよ」
「行け!秋雨!竜山!GL!!」
「は、はい!!」
「扉」に向かう秋雨達
バタァン!!
「扉」へ飛び込んでいく
「…今の距離、兄さんなら止められたでしょう?」
「どうして止めなかったのかしら?」
「…どうしてだろうね?」
「「覚悟」…、か」
「兄さん?」
「…さて、鬼怒、鏡燕」
「行こうか」
「来い…!!」
読んでいただきありがとうございました