帰還
WG学園、生徒会室
「…うぅ」
「秋雨!大丈夫!?」
「G…L…?」
「ここは…?」
「学園よ!WG学園!帰って来たの!!」
「…帰って?」
「イトウさん達は…?」
「…」
首を左右に振るGL
「仕方が無いじゃない…」
「もう、あの戦いは私達が入っていける物じゃないわ…」
「そんな…」
「秋雨お兄ちゃ---ん!!」
ドゴッ!!
「うごぅ!!」
秋雨の腹部に火衣良の鋭いタックル
「心配したよぉおおおおお!!」
「ゴ、ゴメン…」
「うわぁぁああああああん!!」
「秋雨、仕方ないから首狩先輩達に挨拶に行ってこいよ」
「竜山…」
「仕方ないのか…?」
「…ああ、俺達がどうこう出来る問題じゃない」
「風華会長も、そのお兄さんも、凩も…、帰って来てる」
「…」
立ち上がる秋雨
「コレで…、良いのかな…?」
「良いんだよ」
「いや、コレしかない」
「…そうだな」
「俺とGLは済ませてるから」
「火衣良ちゃんと一緒に寮で待ってるよ」
「ああ…、解った」
2年寮
コンコン
部屋をノックする秋雨
「首狩さん」
「助けて!秋雨君!!」
「え!?」
ドタァァン!!
部屋から首狩が転げ出てくる
「ど、どうしたんですか!?」
「伏せて!!」
「!?」
首狩に押さえつけられる秋雨
カァァ-…ン
「…!!」
廊下の手すりに包丁が刺さる
「えぇ…!?」
「どうしてですかぁ!?首狩さん!!」
「夜風!勘違いだ!!」
「嘘をつかないでください!!」
「逃げて!秋雨君!!」
「何が有ったんですか!?」
「部屋に帰ったら変な女の人が居たんだよ!!」
「その女の人を追い出そうと、女の人を引っ張り出してる場面を見られたら…!!」
「夜風に勘違いされた…、と?」
「そうだよ!!」
「酷いです!!」
スパァァァン!!
秋雨と首狩の間を包丁が通り抜けていく
「に、逃げた方が良さそうですね…!!」
「早く!!」
全力で走り出す秋雨
「が、頑張ってください!!」
「秋雨君!!」
「はい!?」
「おかえり!!」
「…はい!!」
食堂
「死ぬかと思った…」
「秋雨君ではないか」
「毀棄梨さん…」
「何か有ったのかな?」
「毀棄梨さん、勝手に人の部屋に入りました?」
「ああ、素晴らしい学園生活を送っているよ」
「…それ、もう、やめてください」
「どうして?」
「様々な人が困ってますから…」
「どうかな?」
「泣いて喜んでいた人も居るぐらいだが」
「それでも、やめてください…」
「うむ、君の頼みなら仕方ない」
「では、今晩の相手は君かな?」
秋雨に寄り添う毀棄梨
「え、遠慮しておきます!!」
「そうか?残念だね…」
「ああ、そうそう」
「何ですか?」
「君が居ると言うことは、凩が帰って来たのか?」
「はい、帰って来てると思いますよ」
「ああ!愛しの凩!!」
走り去っていく毀棄梨
「大変な人だな…」
「そうだよね…」
「此所羅!!」
「凩が居なくなってから、白珠も静かになってね…」
「凩が居なければ、騒いだりもしないんだ…」
負のオ-ラを体中から放つ此所羅
「ま、まぁ、凩は白珠ちゃんの保護者みたいな物だし…」
「そうか…!そうだよね!!」
「ありがとう!悩みが吹き飛んだよ!!」
「それは良かったね…」
「それじゃ!!」
去っていく此所羅
「皆、大変だな…」
「その様だな」
「刃影さん…」
「帰って来たのか」
「…はい」
「お前に頼みがある」
「「頼み」?」
「あのガキが面倒でな…」
「えっと…、美海ちゃんでしたっけ?」
「そうだ」
「執事のジジィも面倒くさい」
「そうは言わずに…」
「美海ちゃんも、刃影さんの事が好きなんですから」
「俺にロリコンの趣味はない」
「女に興味もない」
「そうですか…」
「居ましたぞ!お嬢様!!」
「刃影さ---ん!」
「チッ!来やがったのか!!」
ガタン!!
席から立ち上がり、走っていく刃影
「…何が有ったんだろう?」
「まぁ、彼も、ああ言いながら、しっかり美海ちゃんの相手をしているよ」
カタン…
秋雨の机に焼きそばが置かれる
「久しぶりだね、秋雨君」
「岩角さん…」
「まぁ、焼きそばでも食べて」
「食堂でアルバイトを?」
「うん、トウツさんに教えて貰って、腕も上達したよ」
「秋雨君は何をしてるんだい?」
「あ!そうだった!!」
「挨拶して廻ってたんだ!!」
立ち上がる秋雨
「残しちゃダメだよ」
「あ…、すいません…」
ズルズル…
焼きそばを食べる秋雨
「おいしいですね」
「自信作だからね」
「最も得意な料理だよ」
「おいしいです…」
ズルズル…
「…それにしても、意外だね」
「何がですか?」
「初めて会った時は、校門で迷ってる男の子だったのに…」
「今じゃ立派な書記で、戦闘も一人前だ」
「…ありがとうございます」
ズル…
「ごちそうさまでした」
「うん、ありがとう」
「それでは…」
席を立つ秋雨
「あ、ちょっと待って」
「何ですか?」
「150円」
「お金…、取るんですか?」
「商品だから」
「…はい」
渋々、お金を払う秋雨であった…
読んでいただきありがとうございました